「経営のプロ」市場動向予測の全体傾向 の続編エントリー。今回は「業界編」をお送りする。

「もっと人がいたら、もっと業績が伸ばせるのに・・・」という「人材獲得が成長のボトルネック」という企業は、業界を問わず多いが、その中でも特に「経営のプロ人材需要」に動きがありそうな業界について、予測してみたい。

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1. 「職人の世界に経営を入れる」が、キーワード

「職人の世界に経営を入れる」は弊社の造語。「アーティスト」や「職人」といった方々、即ち「経営のプロ」以外の「他の領域でのプロフェッショナル」の方々が「ビジネス」「経営」をやっておられた業界に、「経営手法」を持ち込む、ということを意味している。

例えば、医療業界。医師はもちろん医療のプロフェッショナルではあるが、経営を体系的に学んだことや経験したことはない方が多い。そのため、「医師としての優秀さ病院経営のうまさ」となっているケースが多い。

少子高齢化、医療提供者不足、規制緩和・変更等の環境変化の中で、経営効率が著しく悪い、患者指向のサービス提供ができていない、プロジェクトファイナンスなどができない、等のケースで、コンサルティング提供者も増加しているが現場側での「経営のプロ」を求める事例も増加している。合従連衡などの業界再編においても「経営のプロ」のニーズが今後も高いと思われる。

大学経営など教育業界にも同様のロジックで「経営のプロ」が求められている。規制緩和あるところには、「経営のプロ」のニーズあり、というところだろうか。環境業界などもこの一例。

また、この傾向が特に著しいのが、エンターテインメント業界。音楽、映画、アニメ、ゲーム、などのエンタメ業界は、2〜3年前から「経営のプロ」人材が流入しているが、今後この傾向は益々強まると思われる。

CGM(Consumer Generated Media)の台頭で、無料のコンテンツは溢れている。商業ベースのエンタメについては、洗練された経営手法が求められつつあり、「経営のプロ」人材の流入が著しい。より売れるものを考え、巨額のお金を様々な手法でファイナンスし、製作効率を高め、版権等権利関係の契約を最適な形に整え、流通チャネルを多様化、派生商品構築など、一作品からの多様な収益モデルを構築、市場(海外)を開拓する等々、「経営のプロ」活躍の場が広がっている。

ここ2〜3年の動きに加え、今年以降ますます需要増加が加速すると思われるのが「海外からオカネを調達し、海外市場開拓ができる人」。日本の市場はある意味飽和しつつある。海外でも著名なコンテンツクリエーターと「経営のプロ」が組み、作品を大規模化させる動きが加速している。投資銀行出身者がグローバル市場での調達を考え、商社出身者が海外市場開拓を行う、といったパターンも増加している。

「世界でお金を集めて、日本のコンテンツを世界に輸出する」という「日本発」というキーワードも、「経営のプロ」人材が魅力を感じる理由かもしれない。

その他、スポーツマーケティングの世界、美容・理容、(ハイエンド)外食・小売などのライフスタイル関連業界などにも、「職人の世界に経営を入れる」現象は拡大しているようである。

2. モバイル関連

「いまさら」感もありますが・・・。

モバイルコンテンツ・広告・コマース・ソリューション・メディア開発といったモバイル関連企業での需要は勿論。加えて「モバイル×●●●」系の需要は、今年もまだまだ好調の様子。従来PCでやっていたことのモバイルでの横展開的事業推進や、モバイルならではの新規事業開発、モバイル上のメディア開発(コミュニティー、ユーザー囲い込み)など、モバイルの特性を生かした「広義のモバイル関連」の人材需要は驚異的。

エンジニア出身でモバイル関連の事業開発ができる、といった「経営のプロ」の争奪戦は、はっきりいって凄い状況となっており、今後も続くと予測される。

3. カテゴリーキラー関連

業界という切り口?といわれると疑わしい感じではあるが、新規事業開発などで「経営のプロ」人材需要が多くなっている傾向があるのが、セグメント特化型で事業展開をするという業態。

2007年問題を逆手にとり「団塊の世代(のオカネと時間)」を狙ったアクティブシニア向けの金融事業、旅行業、小売業、サービス業などがこの例。

「30代働く女性」など、性別、年齢、趣味・嗜好、年収、ライフスタイル、家族構成等、様々な軸の掛け算によって生まれる小セグメントに対して、「しかけ」をしていく「経営のプロ」を求める声は多い。

CRMの精度のあがった昨今、マーケティング上意味合いのあるデータだけを取得し、解析し、事業開発に生かしていくというPDCAサイクルをまわせるような「経営のプロ」を求めている企業は多い。狭く深く、というコンセプトは今後も続くと思われ、人材需要もこの傾向は続くのではないかと思う。

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以上、「経営のプロ」の需要が顕著な事例で、この1年もこの傾向が続きそう、というものについて記載してみた。次回は、企業の成長ステージ別に、「どのような機能・役割の経営のプロが求められているのか」、という切り口で需要予測をしてみたい。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

皆様、あけましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

弊社は昨日が仕事初め。ということで新年にあたり、「経営のプロ」人材市場は今年どうなるのか?についてまとめてみたいと思う。

少し長いエントリーとなりそうなので、以下の切り口でまとめ、3回程度に分けてエントリーさせていただきたい。

  1. 「経営のプロ」人材市場全体の傾向
  2. 企業の成長ステージ別の需要動向
  3. 業界別の需要動向

尚、以下は、統計的なデータから分析したものではなく、人材紹介の現場データの蓄積から抽出、類推した「私見」とお考えいただければ幸いである。

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1.「経営のプロ」人材市場、全体の動向

全体の傾向値としては、「経営のプロ」人材市場は、昨年同様、候補者側の売り手市場が続くと予測される。

「経営のプロ」とその次世代候補人材は、景気回復の影響から、現職で魅力的な経営課題にチャレンジできる機会が増加している。不良資産処理やコスト削減といった後ろ向きな課題から開放され、事業拡大、新規事業開発、事業提携など、トップラインを伸ばす施策に従事し、活躍の機会を獲得している方が多くなっているという訳である。

 

一方、景気の回復によって「人材不足が成長のボトルネック」という企業が多く(次回エントリー以降に詳細説明)、企業側での人材需要は爆発的に増加している。

従って、以下の2セグメントとも減少しており、「需要>供給」という図式が存在。

 

  • 「不満があるから転職したい」
  • 「良い機会があったら転職を考えたい」

但し、以下に該当する方々が転職を検討される傾向(供給)は、絶対数としては少ないが増加傾向にあると思われる。

  • 「株主変更(ファンドが売却、2社合併)等で、想定よりも早く再生の局面が終了、あるいは戦略が大幅に変更したので、次の活躍の機会を検討したい」
  • 「IPOも終了し、企業の成長ステージが変わり、自分のミッションも終了したので、自分の得意な成長ステージでの活躍の機会を検討したい」

また、経営のプロとしての実績を早回しで構築している事例が少しずつ増加し、また露出も増えている影響が、今年は人材市場により効果を表すと思われる。

例えば、大学の同じゼミ、新卒で入社した会社で同期だったなど、自分とピアだと思っていた人の活躍事例などを目にする機会が、益々増加してくると思われる。これらの身近な事例を見て、

  • 「早回しで成長する機会があったら検討したい」
  • 「修羅場経験をできる場に飛び込みたい」

といった「20代後半から30代のファースト・トラック志向人材」も増加しており、今後人材市場に登場してくると思われる。

次回のエントリーでは、企業の成長ステージ別、業界別の需要予測など考えてみたいと思う。お楽しみに。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

年末ということで、業界や親しい方とのパーティーが今年は非常に多い。ちょっとバブル気味?などと思ってしまう年の瀬である。

そういったパーティーの場で、「岡島さん、人脈ってどうやって作っています?」と聞かれることが結構多い(それにしても、ストレートな質問(笑))。

ヘッドハンターという仕事柄、もちろん「オシゴト」として人脈づくりは重要。私の場合、三菱商事、ハーバード・ビジネス・スクール、マッキンゼー、グロービス、という人脈形成上とても有利な環境にいることは確か。その上、天性の人好きという性格と、人に関する記憶力だけは人に誇れる(数字の記憶力はさっぱりダメだが)と思われ、これも人脈形成には大いにプラスとなっている。

もちろん、私の周囲にもスゴイ人脈をお持ちの方は沢山おられるし、そのスゴサも知っている。従って、このエントリーは自分の人脈の広さを披露する、という類のものではない。

自分の好きな友人や後輩や部下に「人脈をどのように作っていったらいいのか」と真剣に聞かれた際に、

「人脈づくりは一日にしてならず。されど効率的に形成するTIPSはあり」

と受け答えし、お話していることをまとめたものである。日々多くの方々とお会いする中での試行錯誤から得たものや、人脈づくりの上手な方から教えていただいた秘伝のタレ的な要素。従って、これも日々進化しているとお考えいただきたい。

尚、以下は、社長ブログを開始する前に書いていたGREEの日記の「人脈構築のTIPS」を本ブログ用に少し書き換えたものであり、以前に日記を読んでいただいていた方は読み飛ばして下さいませ。

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私はヘッドハンターなくせに、所謂「異業種交流会」というのが苦手。旧知の方々はご存知だが、根っからの寂しがりやなせいか、プライドが高いせいか(笑)、とにかく「自分のことを誰も知らないような環境」に飛び込んでいって、名刺をばら撒く的なことができない。

したがって「●●●会にいったら、一挙に知人が増えた」ということはないし、そもそも知らない人ばかりの会には参加しない。

もちろん日々のお仕事では、年間相当数の優秀な方にもお会いし、その出会いは大事にしているし、その優秀な方が知人を紹介して下さったり、上記に書いたような「人脈構築的に非常に恵まれた環境」にいることも確か。

ただ、私自身は、良いコミュニティーに属しているだけでは、人脈を広げたり深堀したり、という人脈のレバレッジ効果
にはつながらないと思っている。特に人脈を維持して、最大限に活用できる資産にするには、それなりの事前準備と継続的な努力が必要だと思っている。


例えば、皆さんも経験があるとは思うが、「この人を紹介して欲しい」などと依頼された時に、「本当に紹介するアクションをとれるか」は、以下次第だと思われる。

  1. 誰から頼まれるか
  2. 被紹介者にも何かメリットがあるか
  3. 自分に紹介するだけの時間とエネルギーがあるか

活躍している方=多忙な方、に何かをお願いして動いていただくには、先方にとってもフェアーな意味でのGive & Take感が必要がある。被紹介者にもオトク感を感じてもらうための理由が必要となるということである。

良い人脈を構築するためには、相手にとってのお得感を醸造できるだけの濃い内容のコンテンツが必要となる。また、ケースにあわせて使いわけできるだけのコンテンツの引き出しの多さも持っていなければならない訳である。

 

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こう書くと、「自分が付加価値を生み出せるようになるまでは人脈構築はできない」という話になってしまう。「それでは時間がかかりすぎるし、今すぐ取り掛かったりできないのでは、TIPS披露にはならいないでしょ。」と言われそう。

ということで、結構メンドクサガリな私が励行している「すぐ取り掛かれる系の人脈構築のTIPS」を、少しご紹介することとする。

 

1.幹事、勉強会の主催者となる

とにかく「面倒だと思われる幹事役・事務局」などを引き受ける。

特に、長続きできるような「勉強会」を小さくはじめ、これを順次大きくしていくよう心がける。継続は力なり。面白いものを続けていれば、次第に数珠繋ぎ的に面白い人が面白い人を連れてきてくれる。(発起人の一人としてはじめながら、私自身が幽霊会員化してしまったものもあり。これについては深く反省)

事務局は面倒だが、情報は必ず自分に入ってくる。従って人脈のハブ(要)となることが容易であり、人脈構築の有効な手段のひとつである。

自分が幹事を行っているクローズドな会であれば、参加者のクオリティー管理は自分ですることが可能。人のクオリティーを担保することは、会を継続させる重要な要素。それを自分でコントロールできるのは、こうした会が人脈形成の母集団となるかどうかのキーを握れるということである。

  

2.WISHリスト用意+アピール

「自分が会いたい!」と思っている人をいつもリストアップしておく。そして重要なのは、その人の1 degree くらいの所にいる人に、

「●●●という理由でこの人がとても魅力的だと思っていて、会いたいんだけれど」と折に触れアピールする(ウザクない程度に熱く、かつサラッと)。

会いたい理由がミーハーな理由ではNGであり、理由に説得力があることが必要。「念じれば花ひらく」じゃないけれど、言い続けていると不思議とご縁があるもの。「なんらかの理由で先方も会いたいと思っていた」というケースもありうる。


 

3.筆まめ効果

とにかくお礼状や季節の挨拶状などを出し続ける。時には手紙も有効。その場合には印刷したものでも、手書きで必ず一言添える。挨拶状などを定期的に出し、そこに一言添えてあるだけで、思い出してもらえる効果や、その人のショートメモリーに入る確率は高く、誰かを紹介してもらえたり、何かの機会に声をかけてもらえる効果は格段にあがる。

ご紹介を受けたら経過を「必ず」報告する。「きっかけは●●さん」「●●さんのお蔭で・・・」といわれて嬉しくない人はいない。

 

4.コレゾ、と思った相手にはトコトン興味を持つ

これは基本の基本だろうけれど、とにかく興味を持った相手に会う場合には、その人のプロフィールや志向等をきちっと頭にいれて、いつでも取り出せる状態にする。要は事前準備が非常に大事。常に仮説を持って臨む、という感じ。


相手が「この人は自分に関心を持ってくれているんだ」と思ってくれる状況をつくり上げる。しかも上っ面な話ではなく、本心から語ることが重要。

会話の中でその人が「何気なく言っていた一言」を聞き漏らさず、情報や本を贈るとか、人を紹介するとか、何かの機会に声をかけて誘うとか…


この辺は訓練だけでなく、一種の才能も必要だが、関心と努力も必要なことは確かだと思う。良い人脈をうまく維持している方は、実は頭が下がるほど本当にマメ。
 

5.コレゾ、と思った相手にはキーワードを置いてくる

パーティーなどでたまたま出会えた人が、実は非常に会いたいと思っていた人だったとか、知らなかったけれど実際は非常にイケテイル人だったとか、という場合。この場合には、次に会うきっかけになるような具体的なキーワードを投げかける。

「ぜひまたご飯でも」などというあいまいなものでは次への展開はない。「今、こういう課題に興味があって、●●という勉強会をやっているんですが」とか「(先方の相手が)やっておられる▲▲という取り組みに興味があるんですが・・・」といった風。

タイミングも非常に重要。セミナーや講演の後の名刺交換の長い列に並んだ際に、何か気の効いたことを言おう、などというのは難易度が高すぎ。相手の迷惑にならない、人と重ならないタイミングを見計らう。これまた才能かもしれないが・・・。


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ここまで書くと「何だあたりまえのことばかりじゃない」という感じで「岡島、もっとスゴイこと言ってくれ〜」と怒られそうでもある。

しかし、上記をやり続けておられる方がいらしたら、きっと人脈はかなり広く&濃く、構築されているはず。

 (自分の魅力度を上げる)×(人が面倒クサイと思うことをやり続ける)

って、結構「言うは易し、継続は難し」で、実は効果抜群だと思うのだが・・・。
 

最後に、上記のTIPSを励行する際や、人に誰かを紹介してもらう際に、最も重要なことをひとつ。

「いかに上品に人にお願いをできるか」がとても大事。

これで、成否が決まるとも言える。「あー、私っていつもこの人に利用されているのね」ということがバレバレだったりすると、やっぱり長続きはしないものだと思う。

特にビジネスにつながるとか、お金のにおいがするものであればあるほど、「上品に」お願いする心配りは本当に重要だと思う次第。皆様いかがお感じでしょうか。

 

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

クリスマスは夫と二人でスパ三昧、ということでmagmaへ。ここはいつもお世話になっている(大口クライアント様の)テイクアンドギヴ・ニーズさん経営のスパ。溶岩浴が売りだが、エステのトリートメントもスバラシイ。クリスマスということで、未踏の計5時間のスペシャルコースを堪能。

実は、ここでびっくりしたことが・・・

セラピスト:「お客様、顔が相当凝っておられますが・・・」
私:「えっっ、肩じゃなくて、顔 ?!?!?!」

(確かにゴリゴリいっている。)

私:「なんで顔が凝っているんですかね?」
セラピスト:「口の使いすぎじゃないでしょうか。よく話すとか、食べるとか・・・」

私:「あぁぁぁぁ(悲鳴)・・・・・・・・・」
夫:「(爆笑)」

確かに、よく話して、よく食べている。特に「よく話す」については、職業病ともいいわけできそうではあるが、本性(サガ)だろう。が、ここで重要なのは、

「思えば、40年間生きてきて、”顔が凝っている”という自覚症状は一度も持ったことがない」

という事実。実は、これって非常にアリガチな私の特徴では・・・、とちょっと焦った。意外に自分のことがわかっていなく、他人から言われて気づく、という典型的症状ではないか、と思った次第。

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私の場合、自分の強み・弱みがどこにあるか、ということを職業柄考えることが多いので、「他人と比較しての自己認識」、すなわち相対的な「自己認識」については、極めて適性に考えられているのではないかと思っている。

日々多くの方々の長所短所を抽出するような仕事をしているため、ベンチマークとすべき優れた方々のサンプルデータは大量に蓄積されており、いやがおうでも自分はそのどこに位置するか、という相対的なポジショニングを認識せざるを得ない状況にさらされている。

ところが、今回のように「自分はどこが弱っているか」とか「自分は何をしたいのか」など、自分を見つめる「内省型自己理解」 の機会はそれほど多くなく、この力はそれほど強くないように思う。

また、私の場合、自己理解を進めるにも、他人を利用する傾向が強い(らしい)。人と話をして他人との違いを見つけ、自己理解を深めていくタイプ。例えていえば、車庫入れする時に、強引に車を入れてみて、壁にあたって自分の大きさを知るタイプ。

一方、私の周囲には、「自分はなぜそう思うのか」「そう感じるのか」などを自問し、深堀していくほうが得意、という内省型自己理解タイプの人も存在している。自分の体の大きさから車の大きさを類推し、計算してから車庫入れするようなタイプ。

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日頃、皆様に「自分の価値観に合致した仕事選びをして欲しい」と申し上げていながら、「内省的には自分を見つめられていないのか」といわれると面目ない次第。

しかしながら、実はキャリアコンサルティングをしていて思うのは、内省型自己理解タイプの人は結構少ない気がしている。「自分の力で自己理解するほうが得意」という人は少なく、私のような「他人の力を借りて自己理解をする」というタイプの人のほうが多いように感じている。

 

そういう方の場合には、自分の適職を考える時に、

  1. できること(skill)
  2. やりたいこと(will)
  3. 大事にしたいこと・好きなこと(value)

の1はわかるが、2や3がなかなか掘り下げられていない、という方が多い。他人と比べて何ができるか(自己認識)はできているが、自己理解はできていない、というケースである。

2のやりたいことについても、社会的認知の高い職業だからということで「やりたい」とおっしゃっているだけで、実は3の価値観などと合致していなかったり、3の自分の価値観といったものが実は明確でなかったりするケースも多くみうけられる。

例えば、「事業再生の現場で働きたい」と言っておられても、実は知らない人の中に入っていって人をやる気にする、といったことはあまり好きではなかったとか、人から嫌われるのが極端に嫌いだった・・・、というケース。他にも、投資銀行で働きたい、といっておられながら、実は人との交渉・競争は本質的には好きではなかった、というケースなどである。

実はこれは危険で、「期待される仕事をしていたら、実は自分のスタイルに合わず、結果的に燃え尽きてしまった」というケースも拝見する。

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年末年始のこの時期、久しぶりに会う人とゆっくり話しをする機会も多いのではないだろうか。

上記の「他人の力を借りて自己理解を進める」タイプの方は、マッキンゼー的「頭貸して」の効用のエントリーにも書いたが、ぜひ自分と違うタイプの人と話をされ、自己理解を深めてみてはいかがだろうか。

もちろん、弊社でも、自律的にキャリアをお考えになる皆様に対しては、「価値観の深堀のお手伝い(キャリアコンサルティング)」をさせていただくことも可能であり、自力解決しようと思っていたが、他人(プロ)の力も借りたい、という方はぜひお声がけいただきたい。

私も年末年始、顔のマッサージでもしながら、たまには自分と向き合って自己理解を深めてみよう、と思う次第である。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

新春企画第一弾。好評の弊社「”経営のプロ”へのキャリアセミナー」の第7回を来年1月28日(日)に開催予定。

今回は、楽天株式会社 吉田敬取締役常務執行役員をお迎えし、吉田さんがいかにして早まわしのキャリアを歩んでこられたのか、をじっくり伺ってみたいと思います。

32歳の時にリクルートを退職し、30人規模の楽天に入社。プログラマーとして入社し、その後、営業本部長(楽天市場事業責任者)、開発本部長、六本木ヒルズ移転の引越委員長、楽天球団初代社長を経て、ポータル・メディア事業カンパニー社長、を歴任、というキャリア。

楽天の中で手がけてこられたプロジェクトは数知れず、ということですが、なんと言っても吉田さんの武器は、「ヒューマンリソース(人的資源)を生かす能力」。吉田さんのような「組織・人を動かすリーダー」が存在している、というのが楽天が成長し続け、勝ち続けている理由の大きなひとつなのではないか、と思われます。


ご存知の通り、弊社「経営のプロへのキャリアセミナー(通称、経プロセミナー)」では、通常2〜3名のパネリストをお呼びしています。各々の方にポジションをお取りいただき、対立構造を明らかにしたり、共通項を抽出してキャリアへの意味合いに繋げていったり、といったパネルディスカッションを構成するように企画しています。

しかしながら、今回は、敢えて吉田さんお一人だけ。私岡島とのかけあいのパネルということになります。楽天というメガベンチャーの成長の仕掛人が、30代のこの7年間でどうチャンスを勝ち取り、実績をつくってきたのか、を徹底的に伺いたいと思います。

敢えてお一人に伺う理由は、吉田さんのキャリア事例は「早回しで経営のプロになる秘訣」の宝庫であり、参加者の方それぞれへ意味ある示唆が導きだせると、NILSのパネルでも事前取材でも確信したためです。吉田さんのリーダーシップスタイル、そしてリーダーの育て方、などもいろいろ伺えそうです。

人を動かすチャーミングな人間力いっぱいの吉田さんの魅力を知りたい方、早回しで成長する機会のヒントを得たい方、必見のセミナーです。応募多数が想定されるため、抽選になる可能性が高いですが、↓受付開始しましたので、ご興味のある方は、ぜひ早めにご応募下さい(弊社HP経由お申し込み下さい)。

前3回のアンケート結果報告エントリーのおまけエントリー

経営のプロの定義のアンケートに

トムソーヤのペンキぬり

との記載があった。意味わかります?

答えは、以下の通り。

トムソーヤは非常に多くの塀のペンキをぬらなければならなかった際、「自分ひとりではできないなぁ。みんなを動員しなければ」と思った。まず手始めに、自分が相当楽しそうに(どのように???)ペンキぬりをして見せたところ、他の人も「自分もやらせてくれ〜」となり、多くの人が楽しそうにペンキぬりに参加してくれ、夢中になってやってくれたことから、あっという間にペンキぬりの作業が完了した。

このことから転じて、「トムソーヤのペンキぬり」とは、「人を動かすことのできるリーダーシップ」、特に目標に向かって人を夢中にさせ、組織の最大限の力を発揮させることのできるリーダーシップのことを言う。

これ、実は記載してくださった方の「造語」とのこと。言葉のセンスに脱帽。
通常、「定義」と言われたら、「〜〜〜の人」といったように記載してしまうことが多いところを、さらっと「トムソーヤのペンキぬり」と書けるセンスに完敗。

実は、ネタを明かすと・・・、この回答をしてくださったのは、よく私の取材原稿を書いて下さっている超一流のビジネスライターの方。

経営者の方を数多く取材されているので、勿論一流のコンテンツがご自身の中に蓄積されていくのだとは思う。そして本当によく勉強されていることがいつも伝わってくる。いつ原稿を書いていただいても、質問力、理解力、文章力ともにすばらしく、こちらの趣旨を的確に把握、抽出し、自分がお話したことの200%アップくらいの完成度のコンテンツを作成いただけるプロである。

経営者の方々とお話していても、情景が浮かぶような表現や、喩え、が上手な方が多い。私のネタ帳はそんなお宝キーワードでいっぱいになっていく。

言葉の選び方はセンスだとは思う。一方で、相手にわかりやすく、イメージが膨らみやすい表現は、相手の視点にたって言葉を選ぶ想像力と、サービス精神のようなセンシティビティー、の賜物なのではないかと思う。言葉選びの一流な人は、ビジネスセンスも一流だなぁと、新たな法則を感じたできごとであった。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

先日の経営のプロに必要な資質とは(その2) の続編エントリー。アンケート3問目の「”経営のプロ”に必要な資質は後天的に習得可能か」に対し、ご来場の皆様から頂いた回答は、以下の通り。 

【アンケート3 「経営のプロに必要な資質は後天的に習得可能か」の回答結果:有効回答数=59】

  • YES = 46
  • NO = 1
  • どちらともいえない = 5
  • 無回答 = 7

経営知識・スキルは後天的に習得が可能と言われている(サイエンス)。しかしながら、アンケート第2問目の回答でも多くの方が記載してくださっていた「リーダーシップスキル」については、「先天的な資質(アート)であり、後天的には習得不可なのではないか」とも言われている。この仮説についての皆様のご意見を伺ったもの。

回答欄にはYESとNOしか「敢えて作成しなかった」ため、ポジションを取ってYESかNOかを回答してくださった方が多いと思う。が、正直予想を上回る数の方々が、「YES」と回答されている。これが「経営のプロ」としてご活躍中の方の実感値であるとすると、「経営のプロ」をつくる活動をてがける弊社としても、非常に勇気付けられる結果を頂戴したと思っている。

残念ながら、イベントでは、この回答理由について伺う時間を十分にとることができず、本当に申し訳なく思っているが、ご回答いただいた皆様には、ぜひいろいろな機会に個別に持論などを伺ってみたいと思っている。

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ちなみに、この質問は、11月に開催した第6回「経営のプロ」へのキャリアセミナー、キャリア新潮流:「右脳型経営のプロ」の必要性でも取り上げた話題であり、今回のイベントでも皆様にぜひご意見伺ってみたいと思ってきかせていただいた次第。

実は、先のセミナーのパネリストとしてご登壇いただいた元産業再生機構の小城武彦氏もBCGの菅野寛氏も、リーダーシップに代表されるような右脳的スキルについては「後天的」に習得した、とご自身では認識されているとのこと。セミナーの中でご自身の習得の経験や具体的な習得方法、習得を可能にする環境、についてもご教示いただいた。

【10人中何人が経営のプロになれるか?】

菅野氏は著書「経営者になる経営者を育てる」 の中でインタビューした経営者の方々にも

 「経営者を志す10人のうち、何人が経営者になれるか」

と質問をしたとのこと。勿論、経営者になる強い意志を持ち、思いっきり苦労してでも習得することを厭わない方の場合、という前提条件付での質問である。

ユニ・チャームの高原会長は「10人中10人」、ファーストリテイリング柳井会長兼社長は「10人中2〜3人」とお答えになったそうである。その他の菅野氏がインタビューをされた「日本を代表する経営者」の方々も、「2〜3人」という回答が多かったとのこと。

  1. そうなりたいという強い意志
  2. 正しい習得の機会
  3. 正しい習得方法

があれば、少なくとも30%くらいの確率では「経営のプロ」に到達可能とのご意見とのことである。

今回のイベント出席者には、次世代の「経営のプロ」を創っていくことに賛同いただく経営者の方も多い。志とポテンシャル能力の高い方々に、未経験でも責任あるポジションをご提供いただいているケースである。

弊社も、こうした方々とともに「成長の機会(上記2の正しい習得の機会)」をつくりだし続け、一人でも多くの「経営のプロ」をつくるお手伝いをしていきたいと思っている次第である。

最後になりますが、ご多忙な中イベントにご出席いただいた皆様、本当にありがとうございました。弊社一同、深く御礼申し上げます。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

先日の経営のプロの考える「経営のプロ」の定義とは の続編のエントリー。

アンケートの2問目の「経営のプロ」に求められる資質とは?(3つまで回答可)に対し、ご来場いただいた「経営のプロ」の皆様から頂いた回答について。

「経営知識・スキル・論理思考力・問題解決能力」といった左脳的スキルについての記載は、相対的に少なめ。皆様、資質としては大前提と思っておられるため、敢えて「3つまで」と言われた場合には、いわゆる右脳系リーダーシップスキルを記載されている方が多い様子。

経営知識・スキルとリーダーシップスキルの双方を挙げておられる方も多く、双方のバランス感覚や、時局によって使い分ける力、が重要と思っておられる方が多いのではないかと思う。

目だって多いキーワードは、ビジョン、先見性、リーダーシップ、コミュニケーション力、共感力、決断力愛情人に対する優しさ(仕事に対する厳しさと)といったワーディングも目立つ。

「あきらめないしつこさ」などを指摘する記載も多く、名著ビジョナリー・カンパニー2 にある第五水準の経営者*に求められる資質までを求める、いわゆる次元の高い経営のプロを規定されている方が多かったのも特徴的。

*第四水準の経営者
明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を産み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える

*第五水準の経営者
個人としての謙虚さと職業人としての意志の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる

(出典:
ジェームス・C・コリンズ著 「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」より)

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【アンケート2 「経営のプロの資質」の回答結果:有効回答数=54、順不同】

  • 先見性(先を見通す力)、献身性(組織に対して血を流す力)、決断力(粘り強くあきらめる力)
  • 論理性、歴史観、情
  • 決断力、リーダーシップ、戦略構築力
  • リーダーシップ、コミットメント、柔軟性
  • 明るさ、誠実さ、気前のよさ
  • あるべき未来についての確信、経済を道具として使うスキル、人に信頼されるに足る人格の成熟
  • ハードワーク、ビジョン、周囲を巻き込む力
  • 専門知識(業界の)、しつこさ(あきらめない)、楽天的な性格
  • 決断力、社員の心情を感じ取る力
  • ヒトへの愛、事業への愛、利益への愛
  • 器、決断力
  • 集中力、決断力、遊び心
  • 愛、気持ち、ビジョン
  • 人間力、体力、忍耐力
  • 成長意欲を持ち続ける、リーダーとしての自覚を持つ、他者を信用する
  • 情報収集力、物事・環境を整理する力、相手を動かすことのできるアウトプット力
  • コミュニケーション力、決断力、覚悟(責任)
  • 共感する力(感性)、リードする力、ベーシックなビジネス力
  • 1番にこだわる、あきらめない
  • ビジョン・目標の設定力、逃げない・負けない・投げ出さない、コミュニケーション力
  • ビジョン・目標を描くことができる、目標到達までの道のりを描くことができる、ビジョン・目標でヒトを動かすことができる
  • 経営組織の成長課題に挑戦し学習すること、経営することにおいて愛を実践し深めること、使命を果たすこと
  • 将来を見通す(予測する)力、人望、ある程度のわがままさ
  • 革新力、想像力、構造力
  • 戦略構築力、実行力、反復力
  • 人を理解すること、ゼロから作りだす力、冷静な判断力
  • チームワーク、チームワーク、チームワーク
  • 決断力
  • 基本的な経営に関する知識、人を動かす力、強い精神力
  • ストーリーを語ることができる、物事を定量化することができる、人を成長させることができる
  • リーダーシップ、明確なビジョン、忍耐力
  • リーダーシップ、数値判断ビジネスの本質を見抜く力
  • 世の動きを見通す・読む、リーダーシップ、経営の一専門分野を持っている
  • 自らの考えを明確にわかりやすく伝えられること、人の心情を深く理解できること、知覚している事象を論理的に理解できること
  • 先見性、リーダーシップ、危機回避能力
  • リーダーシップ、度量の大きさ、すばやさと柔軟性
  • 常識人、お金儲けに対する意欲、楽天家
  • 人間力、市場と対話できる力、無私の心
  • あつい、しつこい、タフ
  • 視野の広さ、つじつまのあわない現実の中で発揮できるロジカルシンキング、しなやかな人間力・共感力
  • リーダーシップ(人格)、金に強い、ビジョン
  • 意思決定できること、分野の専門性があること、先を見れること
  • 健康、仕事に厳しく、人に優しく(正直、誠実、素直)
  • 演出力、信じて疑わない力、とにかく結果を出す力
  • バランス感覚、決断力、状況把握
  • 合理性、戦略性、まき込み力
  • 想像力、創造力、巻き込んで実行していく力
  • 明確なビジョンを持っている、意思決定力がある、部下と体当たりで議論ができる
  • 自分自身の経営哲学、グローバル・コミュニケーション能力、真の問題解決能力

次回は、アンケート3の「経営のプロ」に必要な資質は、後天的に習得可能かについて。また、おつきあい下さい。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子


先週、弊社で100名を超える「経営のプロ」人材の皆様をお招きした「あるイベント」を開催させていただいた。

弊社は「経営のプロ」に特化した人材紹介サービスをご提供している。が、経営課題の複雑化、モノ言う株主の台頭、チーム経営の浸透、などの要素によって、「経営のプロ」に求められる資質は、ここ数年で様変わりしているように感じている。

ということで、本年華々しい上場を飾られたベンチャー企業の社長、急成長ベンチャー企業の経営メンバー、再生ファンドやコンサルティング会社などのプロフェッショナルファームの方々、次世代に「経営のプロ」となることを嘱望される皆様等をお招きしたこのイベントで、「今、求められる経営のプロ像」について、アンケートにご協力いただくことができた(皆様、本当にありがとうございます)

質問項目は以下のとおり。

  1. 経営のプロの定義
  2. 経営のプロに求められる3つの資質
  3. 経営のプロに求められる資質は後天的に習得可能か

今後、弊社が「経営のプロ」を目指す方々に、「どのような経験の機会」をご提供していくべきかを考える際に、多いに参考にさせていただきたいと思っている。

が、多様なご経歴を持たれご活躍中の「経営のプロ」の方々からの回答なため、さすがに示唆に富む記述が多く、ぜひここで共有させていただきたいと思う。

まずこのエントリーでは、1.経営のプロの定義について(「経営のプロとは〜である」の〜部分の記載)

以下の3つの項目に関する記述が多い傾向があるように見受けられる。 

  1. 組織・人の能力を最大化し、結果を出せる
    個人の力だけではなく、組織・人を動かして・・・
  2. 多様なステークホルダーを満足させつつ、結果を出せる
    顧客重視、株主重視などのどれかだけでなく・・・
  3. 継続的に勝ち続けるしくみを作り、結果を出せる
    短期的にではなく、継続的に・・・

「目標達成、結果」などを求めていること、同時に「夢、ビジョン、愛、情熱、イノベーション、遊び・・・」などのキーワードが入っていることも特徴的。

***

【アンケート1「経営のプロの定義」の回答結果:有効回答数=52、順不同】

  • 顧客・社員・株主・取引先などのステークホルダーを満足させる結果を継続的に出せる人
  • 明日を信じずに明日を夢見ること
  • 約束を守る人
  • ゴール設定・コミットメントを行い、きちんと達成できること
  • 洞察力、決断力、実行力のある人
  • クリエーター
  • 皆に愛される人
  • 変革のメッセンジャー
  • 企業の継続的成長を演出する者
  • 会社をリードし、動機付け、投資家・債権者・従業員の期待にこたえる存在
  • 社員が全幅の信頼を置ける人
  • 組織・人のモチベーションをマネージできる人
  • イノベーションを続けること
  • 自己変革
  • ハードコミットメントと遊びを兼ねること
  • どのような状況下においても経営を行うことができる人
  • 覚悟を決められる人
  • ビジョンやミッションを明確にして、組織を動かすことができる人のこと
  • 責任から逃げない人
  • 全体をリードしつつ、個のモチベーションと能力を最大化する仕事ができる人
  • あきらめない人間のこと
  • 目標を定め、倫理上問題のないあらゆる手段を使って最後まで折れずに目標を達成できる人
  • 楽しみながら目標達成ができる人
  • この世に生まれてきた目的を「経営することによって成就すること」をあらかじめ計画して生き抜く人
  • 決定力と聞く耳を持つ人
  • 長期にわたり変化と安定を実現できる仕組みを作り、運営することができるリソースを確保すること
  • リーダーとして事業価値を継続的に高めることのできる人材
  • 情熱と冷静さを持つ人のこと
  • コミットメント×LOVE
  • バランス感覚
  • 方針を作り、その方針通りに人を動かすことができる人
  • 物事が「上手く進んでいる感」を関係者に実感させることのできる経営者
  • 自分とはまた違うもう一人の人格
  • 「数字」と「思い」を持った人
  • 組織のメンバーに活力を与え、業績を常にアップさせる仕組みをつくる人
  • 人や社会を活性化させる人
  • 勇気
  • 活用できるすべてのリソースから成果を産み出す人
  • 冷静に今の状況を判断でき、常に先を予想して行動できる能力を有する人材
  • プロの常識人
  • あきらめないこと
  • 人を活かし、付加価値を生み、決断できる人
  • 気配りと負けず嫌いの人
  • マネジメントを成功させて社会貢献する人
  • 夢をカタチにできる人(スペシャリストとプロフェッショナルの違い)
  • 結果を正しく出す事
  • トムソーヤのペンキぬり
  • 正しく儲ける仕組みをつくれる人
  • 意思決定の可能な人間
  • ステークホルダーからの期待と自らのビジョン・計画を適合させ続けられる人
  • ビジョナリスト
  • あらゆる状況ですべてのステークホルダーを満足させることのできる人
  • 自分が信じる事業・組織のあるべき姿に向かって、どこまでも努力し続けられる人
  • 結果を残し、世の中に貢献できること

続きは、次のエントリーで。

グロービス・マネジメント・バンク 代表取締役 岡島悦子

親友でアルファブロガーとして有名なチカちゃん、こと渡辺千賀ヒューマン2.0 web新時代の働き方(かもしれない)を出版!スバラシイ。

彼女とは、17年来の友人で、三菱商事女子総合職仲間。新卒総合職200人くらい採用していた時代、私が3期で女子2人、彼女が4期で女子1人という、「天然記念物」的境遇で入社したころからのつきあい。ハワイでの彼女の結婚式でのブライド・メイドも私でした・・・。

私のほうが(いちおう)先輩ながら、その後、ビジネススクールに行ったり、マッキンゼーに行ったり、というのは私が完全に「後追い的おっかけ」になっている(笑)。

***

と前置きはいいとして・・・

早速、一気に本、読みました(出版日8日に買おうと思っていたら、夫が買ってきて読んでいたので、夫婦で一冊になってしまいました(ごめんなさい))。

で、内容ですが、はっきり言って、すばらしく良い本。

フラットする世界で描かれている「最後にどういう仕事だけがローカルに生き残るか」のエッセンスが、シリコンバレーの事例満載で書かれている。

シリコンバレーという極めて特殊な世界で展開される「ヒューマン2.0的な働き方」を、事例や統計を駆使して紹介。こういうスタイルを「好き」という人で、「能力」のある人(ここが重要)にとっての選択肢=「シリコンバレー的働き方・生き方」を提案している。

シリコンバレーでフリーランスで働いている友人を個別では知っていても、それがどういう文脈の上に成り立っているかを明らかにした本は今までになかった切り口だと思う。それを彼女は、シリコンバレーという生態系のインフラ的要素を抽出し、その要素故に「ヒューマン2.0」的な働き方が存在することを提示。

 

大事なことは、シリコンバレーには「ヒューマン2.0」的な働き方を支える環境=ゲームのルールが存在しているからこそ機能しており、このゲームで働けない人はシリコンバレーを去る、という図式が存在しているところ。だからこそ、彼女は「シリコンバレーで働いてみたい」という人は自分の適性を見極めたうえで「どうぞ検討してみて」といっている(その上、サポートもしますよ・・・とも)

***

さて、日本にいる私たちがここで考えなければならないのは、こうした「ヒューマン2.0的働き方」の波が日本にもやってくるか、という命題。

ヘッドハンターである私にとっても、非常に大きな命題である。(なぜなら私たちの仕事にも大きなパラダイムシフトが訪れるかもしれないため)。

そして私の仮説は、
YES = ヒューマン2.0的働き方は日本にもやってくる
というもの。

 

【フリーランス増加の兆候】

現に、私の周囲のイケテイル人の中にも、フリーランス的に働き、プロジェクト型チームで仕事を推進している人が、少しずつ増えている。

経歴的には、元コンサルタントが圧倒的に多い。同じコンサルティングファームで働いていた人どうしが、ゆるい連携を持って仕事をするケース。共通言語を持っているため、いわゆる「あ・うん」の呼吸的にお互いの期待値をコントロールすることが可能なため、うまく機能しているらしい。

グロービスの講師をしていただいている方の中にも、元々は事業会社やコンサルティングファームの一線で活躍し、今はフリーランスとなられた方も少なくない。メインの仕事としてはフリーランスでコンサルタントなどを請負い、講師業務もしてくださっている。

コンサルティングや投資業務をしながら、監査役や社外取締役を兼任されている方も増加している。

もちろん、この本の記載のように、

「シリコンバレーの全就業人口のうち、15〜30%がフリーランス。」

というように、日本がすぐに変化していくとは思えない。上述のようにシリコンバレーの生態系の成り立ちとゲームのルールは、日本には存在していないからである。

しかしながら、日本の環境も変化してきている。中途採用を推進する大企業も増えている。スペシャリスト採用のみだった中途採用が、所謂コア人材採用にまで広がっている。すなわち終身雇用的パラダイムは変化してきている。経営の根幹に関連する業務も、手塩にかけたプロパー社員でなく、即戦力として実績をだしてくれる中途採用社員にも開放し始めている。

また、株主の声が大きくなり、企業は急成長を求められている。要は成長のスピードが重要。そうした中、効率化のためのアウトソーシングではなく、「時間を買う」ための「プロへのアウトソーシング」の動きも加速している。

「殿、外様には、このような重要な仕事は任せることができません」という時代が終わりつつあるということである。

「コンサルティング・ファームなどに依頼をして結局使えなくって痛い目にあった」という話は、実は一昔前の話。依頼する側と依頼される側の期待値コントロールがうまくいっていなかった、という話のようであり、だんだんと双方が学習してきた結果、期待値コントロールのレベル観は格段に上昇しているようである。

従って、フリーランス(チーム)に仕事を依頼する土壌(企業側のマインド)は整備されつつある。

【報酬問題】

ただ、一番難しいのは「報酬の値決め」。フリーランスの人(あるいはチーム)に依頼する時に、「いくら払うのが適性か?」というものが、まだまだ日本では定まっていないと思われる。それゆえ、フリーランスを志向する人たちも、どのくらいの報酬を得ることができるのか、が不安(周囲に事例情報も少ない)で、フリーになることに二の足を踏んでいるような気がする。

この辺は、市場メカニズムが存在しないと「適性値」が明確になっていかないような気がする。ある程度の経験値をベースに「この仕事ならこれくらい」という適性値が収斂されていくのではないだろうか。

【社会的認知】
そして最後に残るハードルが「社会的認知」問題。日本では、まだまだ「フリーランス=脱サラ=組織に属して働けない個人主義的な人」というイメージが強いような気がする(事実無根だとは思いますが・・・)。

人と名刺交換する際に「(企業名)の(氏名)です」と自己紹介する人が多いことでもわかるように、社への帰属意識は非常に高い。どの企業に属しているかが、まるでステータス・シンボルのように勘違いしている人もいるほどである。

ただし、企業に属する人・フリーランスが、勝ち組・負け組み、という構図ではなく、あくまでも「志向するスタイルの違い」という風に必ずや変化していくのではないか、と思っている。

これは、現在フリーランスで働く人が、どのくらい付加価値の高いプロフェッショナルな仕事を提供できるか、という事例を積み上げていけるか、にかかっていると思われる。

***

一度しかない人生、仕事できちっと価値は提供しつつも、「自分の望むスタイルで働く」という選択肢が、少しでも増えるといいなぁと日々思っている。「人間は好きなことをやっているときに一番力が発揮できる」と信じているからである。

ヒューマン2.0 web新時代の働き方(かもしれない)では、渡辺千賀という実物の人物が、「自分の望むスタイルで働いてハッピー」というロール・モデルを提示してくれている良書だと思う次第である。

グロービス・マネジメント・バンク 代表取締役 岡島悦子

追伸:
千賀ちゃん、出版記念パーティーにかけつけます!

候補者の面接をして下さる経営者や人事の方と話ししていて、最近盛り上がった話題。
「最近、面接にくる人が、みんな”早回しで成長したい”ていうんだけど・・・。岡島さん、なぜなのか教えてよ・・・」という話。なぜ、早まわしで成長したい人が増えているのか、どうしたら早回しで成長できるのか、について、考えてみたい。

「白馬の王子待ち症候群」急増?! のエントリーにも書いたが、現在のジョブマーケットに多いのは「不満はないが、不安がある人」

どうやら自分の仕事に不満はないんだけれど、
「大学の同じゼミの奴と比較してみると、なんだか成長の角度が鈍い気がする・・・。自分の置かれている環境には、死ぬほどのプレッシャーがあるわけではないし、骨がメリメリきしむような成長実感もない(から不安・・・)」
ということらしい。

どうせ頑張るなら、自分の時間とエネルギーのROIを高めたい、と思っている人が多いということのようだ。

「プロフェッショナル仕事の流儀」などのTV番組でも、お決まりのパターンとして

  1. 成功していていい気になる
  2. そのままでは成功しなくなって、挫折する
  3. そこから這い上がるために、自分なりの流儀を考案する
  4. 修羅場を解決し、大成功し、成長を実感する

というシナリオになっているが、こういうものに影響を受け、

「あぁ、自分も修羅場経験をするとか、ストレッチしまくるとかしないと、一皮向ける経験はできない」
と思っている方が増加している気がする。

実際、日頃、弊社にキャリアのご相談にいらっしゃる方は、今現在はご活躍中。しかしながら、「3倍速くらいで成長できる機会があったら、ぜひ挑戦してみたい(例えそれが短期的に修羅場のような経験でも・・・)」という人が、確かに増えている。

***

ところで、短期間に急成長したい、というけれど、急成長はどのようにして計測するのだろうか。

「成長前と成長後の市場価値の差異(デルタ)」と「期間」で、計測するということだろう。
それぞれの時期の市場価値は、以下のように計測できると私は考えている。

 市場価値=(経営知識・スキル)×(業務上の実績)

さて、この「業務上の実績」の部分でひとつ大きな問題が発生する・・・
業務上の実績をつくるための実績は、どうやってつくるのか?」

つまり、即戦力的な実績を持っていないと責任ある仕事をさせてもらえない企業の場合、実績がない人は、いつになっても実績を積む機会に招聘されない。

「頑張った人には機会が開ける」という会社だったとしても、頑張る機会が与えられないと実績のつくりようがない。「わらしべ長者」になろうにも、最初の「わらしべ」がないわけである。

要は、「やりたい」と手をあげた人に、未経験でもチャンスを与えてくれる企業にいて、最初のチャンスをどれだけ早めに得られるかが、その後急成長していく機会に恵まれるための分水嶺となる。

そう考えると、ジャニーズ事務所のしくみは、理想的なスター養成システムだといえるだろう。

例えば、亀梨くんの出るドラマの主題歌はもちろんKAT-TUNであり、歌番組でその主題歌を売り出し、ジャニーズジュニア(=ポテンシャル人材)はその後ろでとはいえ、舞台で踊るチャンスが与えられる。ジュニアとはいえ、ステージという場数を踏むことで、人の目に触れ、頭角を現し抜擢されるチャンスが、与えられるわけである。

最初は場の雰囲気にのまれつつも、ガムシャラにやっていたら、結構できるようになっていた、という場の提供が必要なのである。

もちろん養成所のようなところで数々の基礎訓練(歌とかダンスとか?)を叩き込まれているのだろうから、ビジネス界でいうところの「経営の知識・スキル」は習得した上で、実践の場に立たせてもらえる、という仕組みである。

つまり「教育」と「抜擢の場」の双方を付与するという意味で理想的人材育成方法といえる。かのドラッカーもチャンスの場を与えることの重要さを以下のように述べている。

成功の鍵は責任である。自らに責任を持たせることである。あらゆることがそこから始まる。大事なものでは地位ではなく責任である。

責任ある存在になるということは、真剣に仕事に取り組むことであり、仕事に相応しく成長する必要を認識するということである。
(P.F. ドラッカー)

ビジネスの世界でも、ジャニーズ事務所に近い仕組みを持つ企業は、数は少ないが存在している。

例えば、先日日経キャリアビジョンフォーラムのパネルでご一緒させていただいた、GE(リーダーシッププログラム)、ミスミ(ディレクター公募性)の両社は、この好事例だろう。「うちの会社の最大の資源はヒトですから」と言われる企業は多いが、GEほど徹底して「成長の場」をつくることを、全社(それもグローバルで)がコミットできている会社はないだろう。

コンサルティング・ファームなどのプロフェッショナルファームも、同様の取り組みを行っているといえる。ポテンシャル能力の高い人は採用しているものの、コンサルティング未経験という人を(教育はしつつも)バンバンと顧客の前に出して鍛えていく。

また、ベンチャー企業の多くでは、組織ごとの機能(ケイパビリティー)が整備されきっておらず、どの組織がやるかではなく「(やれそうで)やりたいと言った人にその仕事を任せる」といったお家事情だったりする場合も多く、結果として「抜擢の場」「成果を上げる場」は多く存在しているといえる。

実際、「ベンチャー企業で経営資源の乏しい中でガムシャラにやってきたら(いつのまにか)大きな成果が出ていた」という若手メンバーは確実に存在する。その早回し感にびっくりさせられることも多い。

ベンチャーと多少同義ではあるかもしれないが、創業社長が経営している企業、というのも、成長の機会が得やすい企業かもしれない。理念の体現者たる創業経営者が「失敗したらオレが責任をとってやるから、アイツにやらせて見ろ」と、ポテンシャルの高い人材に責任のある仕事を任せているケースも見受けられる。

 

***

 

いずれにせよ、「早回しで成長したい」というのであれば、「成長させてくれる機会を与えてくれる企業選び」は極めて重要であることは間違いがない。「ポジションが人をつくる」とよく言われる。ストレッチしたポジションについてみて責任を持たされたことで、「目線がグンとあがり一皮むけた」ということは、私自身も経験済みだし、事例としても数多く拝見し、成長のKSF(Key Success Factors) と言えると思っている。

 

ただし、今までの議論については、経営者から「岡島さん、これ必ず言っておいてよ」とよく依頼されるので、以下を付記しておく。

 

あくまでも上記の議論は、「チャンス」を与えられば、セルフスターターとして頑張る、ということが大前提。企業は学校ではないので、「何を教えてくれるのか」などと望むのは筋違い。

 

そして、成長するためには、最低限の経営知識の習得は必要条件。「勉強しすぎでプライドだけは高いが本番で使えない」という人が増えているのも事実。このような人が増殖しすぎると「MBA不要論」が出没する。

が、成果を出すためには、最低限の筋トレ程度は必要(優れた経営者は、MBAをとらないにしても、必ず勉強している)と心得たほうがいいだろう。 

 

弊社では「経営のプロ」を一人でも多くつくりたいと思っている。上記のような「成長の機会を提供していこう」と思ってくださる「志を同じくする企業の経営者の方々」と、今後とも成長の機会づくりに奔走できればなぁと思う次第である。

 

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

追伸:
金曜日に弊社イベントにご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。本当は米倉教授と上記のような話を展開したかったんですけれど(汗)・・・。

ご記載いただいたアンケートの結果についても、言及できず申し訳ありません。アンケートの「経営のプロ」の定義と資質については、集計して、このブログでも発表させていただきたいと思っております。

ご多忙な中、本当にありがとうございました!

ブログ更新をさぼっていながら、告知ネタばかりで恐縮ですが・・・(来週から又コラム系を再開します(汗))

明日、第二回日経キャリアビジョンフォーラムの第二部パネルディスカッション
  「キャリア採用に積極的な成長企業が公開
  〜我が社の人を活かす条件〜」(タイトル長っ・・・)
でモデレーターをさせていただきます。

住友商事、ミスミ、プラウドフットジャパン、GEの4社のパネリストをお迎えし、
「同じ個人でも場(企業)の選び方で、成長の質とスピードは異なるのではないか」
というテーマでディスカッション。

各社の人材育成・活用の枠組み、その背景にある「人材観」といったものを比較し、具体的な事例を伺いながら「人材をうまく活用する企業の強さ」を明確にしていこうと思います。

特徴のある4社なので、盛り上がりそうで楽しみにしています。

第一部のピーチ・ジョンの野口美佳社長にはお目にかかったことがないので、リヴァンプ玉塚さんとのかけあいも含め、こちらも楽しみ。

本日からNILS2006Fall開催、ということで来ております。今回はIT関連ベンチャー企業の経営者270名。海外の経営者も含め豪華な顔ぶれです。GCPの小林氏がほぼすべてを取り仕切ってくれていますが、私も企画メンバーということで第一回からお手伝いをしています。

今回で5回目を迎えますが、mixi笠原さん、ドリコム内藤さん、GREE田中さん、等に始めてお目にかかったのは、実は2年前のこの第一回NILS。その時からたった2年しか経過していないのに「隔世の感があるなぁ」など思っています。今回のNILSからも将来のメガベンチャーが出現するかも、と思うとワクワクする次第。

私のほうは、いつも通り、
キーノートパネルのモデレーター。魅力的なパネリスト3名で今から非常に楽しみです。今の所、NILS後アンケート評価の結果で最高得点セッションを連続受賞(勿論パネリストの皆様のお蔭!!!)しています。今回も参加者に有意義な、内容の充実したパネルにできれば、と思っています。

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【明日のパネルディスカッション】

9:00-10:00    Session 5  Keynote:

「急成長のマネジメント- 高成長を実現する戦略とマネジメント」

(Speaker)
株式会社オプト    代表取締役CEO    海老根 智仁 氏
株式会社シーエー・モバイル    代表取締役社長    外川 穣 氏
楽天株式会社    取締役常務執行役員 吉田 敬 氏

(Moderator) 株式会社グロービス・マネジメント・バンク    代表取締役    岡島 悦子

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【NILS2006Fallプログラム概要】

NILS2006Fall プログラム

(初日)13:00-13:30  オープニング

 

13:30-14:30    Session 1-A:
「中国インターネット業界の投資動向とWeb 2.0 の潮流」
(Speaker)
DCM - ドール・キャピタル・マネジメント
創業者兼ゼネラル・パートナー
茶尾 克仁 (David Katsujin Chao)  氏

Oak Pacific Interactive
Chairman 兼 CEO
Joe Chen  氏

(Moderator)
グロービス・キャピタル・パートナーズ 
パートナー 小林 雅

Session 1-B
「ソフトウエア産業の新潮流」

(Speaker)
インフォテリア株式会社 代表取締役社長/CEO 平野 洋一郎 氏
サイボウズ株式会社 取締役副社長 津幡 靖久氏
株式会社jig.jp 代表取締役社長CEO 福野 泰介 氏

(Moderator) 渡辺聡事務所 代表 渡辺 聡     氏

 

15:00-16:00    Session 2-A:
「Second Lifeの世界」

(Speaker)
Linden Lab
Vice President, International & General Counsel   
Ginsu Yoon 氏

(Moderator)
グロービス・キャピタル・パートナーズ 
パートナー 小林 雅

Session 2-B
「Search Innovation」
(Speaker)
Qunar.com  Co-founder 兼 CEO
Frederick Demopoulos 氏

YiCha Online Inc    CEO    Bin Liu  氏

(Moderator)
Adobe Systems Incorporated
Director of Emerging Market Investments 田中章雄 氏

 

16:30-17:30    Session 3  Keynote:
「リーダーシップ」

(Speaker) ソニー株式会社 最高顧問 出井伸之 氏

GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長 熊谷 正寿  氏

(Moderator)
グロービス・グループ 代表
堀 義人 氏

 

16:40-17:40    Session 4 Keynote: 
「ソーシャルメディアの将来展望」
(Speaker)
株式会社サイバーエ-ジェント 代表取締役社長 藤田 晋 氏
株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ    専務取締役 伊地知 晋一  氏
株式会社ミクシィ 代表取締役社長 笠原 健治 氏

(Moderator)
グロービス・キャピタル・パートナーズ 
パートナー 小林 雅   

 

19:00-21:00    レセプション・パーティ   

9:00-10:00    Session 5  Keynote:
「急成長のマネジメント- 高成長を実現する戦略とマネジメント」

(Speaker)
株式会社オプト    代表取締役CEO    海老根 智仁 氏
株式会社シーエー・モバイル    代表取締役社長    外川 穣 氏
楽天株式会社    取締役常務執行役員 吉田 敬 氏

(Moderator) 株式会社グロービス・マネジメント・バンク    代表取締役    岡島 悦子   氏

9:00-10:00      特別企画 「Launch Pad – 新サービスのデモンストレーション」

8社予定

 

10:30-11:30    Session 6-A:
「Search & Share 」
(Speaker)
株式会社 ECナビ    代表取締役CEO    宇佐美 進典 氏
チームラボ株式会社    代表取締役社長    猪子 寿之 氏
Riya, CEO & Co-Founder, Munjal Shah 氏

(Moderator) Mitsui & Co. Venture Partners, Inc Investment Partner,  竹内 寛 氏 

Session 6-B

「ネット・デジタルコンテンツ分野の投資戦略と投資事例」

(Speaker)
株式会社サイバーエ-ジェント    専務取締役    西條晋一 氏
株式会社GDH 代表取締役社長 / CEO 石川真一郎
Adobe Systems Incorporated 
Director of Emerging Market Investments 田中章雄 氏

(Moderator) カーライル・グループ ディレクター 吉崎 浩一郎    氏

11:30-13:00    ランチ

13:00-14:00    Session 7-A :
「Future of User Generated Content」

(Speaker)
Grouper    VP,  Engineering, Chris Amen-Kroger 氏 
WangYou Media  Co-Founder & CFO  EDWARD HAYNES 氏

(Moderator)

DCM-ドール・キャピタル・マネジメント  プリンシパル・日本統括責任者
伊佐山 元 氏

 

13:00-14:00    Session 7-B: 
「成長の階段」
(Speaker)
オイシックス株式会社 代表取締役社長    高島宏平 氏
株式会社ネクスト    代表取締役社長    井上高志 氏
(Moderator)
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ    パートナー 仮屋薗 聡一   氏 

14:30-15:30    Session 8-A
「モバイルサービスの今後の展望」
(Speaker)
株式会社インデックス・ホールディングス    取締役 新規事業推進室 室長    大森 洋三  氏
株式会社シーエー・モバイル    専務取締役    小野 裕史 氏
株式会社ディー・エヌ・エー    取締役 モバイル事業部長    守安 功 氏

(Moderator)

株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ    パートナー
小林 雅   

 

14:30-15:30    Session 8-B

「グローバルIT企業のエマージング市場・企業に対する取り組みと実際」
(Speaker)
IBM Venture Capital Group ベンチャーディベロップメントエグゼクティブ日本担当 勝屋 久  氏

Microsoft Operations Pte Ltd   
Regional Director - APAC,  Partners, Emerging Technology &  Venture Capital    
John Hummelstad 氏 

Google.  Corporate Development, Principal
Charles C. Rim 氏

(Moderator)
General Atlantic LLC 日本代表 本荘 修ニ

 

16:00-17:00    Session 9  Keynote

「Baidu(百度) - 中国No.1 サーチエンジン企業の成功物語と今後の展望」

(Speaker)
Baidu.com, Inc.  Chairman 兼 Chief Executive Officer  Robin  Li 氏

(Moderator)
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ    パートナー
小林 雅 

17:30-19:00 クロージングパーティ

ご好評の弊社「”経営のプロ”へのキャリアセミナー」の第6回が、今週末19日(日)に開催され、元産業再生機構の小城武彦氏に、ご講演スピーカー、パネリストとしてご登壇いただく。

実は、小城さんに弊社セミナーにご登壇いただくのは2度目だが、今回は、
     キャリア新潮流:「右脳型経営のプロ」の必要性 
   〜いま「経営のプロ」に求められる人間力とは〜

と題したセミナー。

CCC、カネボウ等、急成長ベンチャーや再生の局面にある企業の経営の現場でご活躍された経験を踏まえ、日本企業における「経営者の役割」について、独自の視点からお話いただく。

独自の視点のポイントとなるのは、今、見直されている「日本型経営」。「日本的組織」の強みと弱みを分析し、今の日本企業の活性化に必要とされる「経営のプロ」の役割についてお話いただく。


「日本的組織」を動かすために、経営者は何をすべきか。一方で、「会社は誰のものか」の議論ではないが、今の時代、日本企業経営者も「米国的価値観」を持つ株主に対峙しなければならない。この極めて異なる特質の「二つのステークホルダー」双方をマネージしていくことこそ、今、日本企業の「経営のプロ」に求められる職務である、というのが小城さんの主張である。

ご講演では、この難しい役割を担う「経営のプロ」の難易度と醍醐味について、たっぷりと伺わせていただく。また、今回のセミナーテーマである「右脳型スキル」について、小城さんがどのように習得されたのか、そしてこの難しい役割を担うために「右脳型スキル」はなぜ必要なのか、どのように駆使されてこられたのか、についてパネルディスカッションでも斬りこんでみたいと思っている。

「これからの時代に要請される経営のプロ像とは何か」という問いに対する、ひとつの大きな回答をいただけるセミナーになると思っている。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

昨日、News2Uさんの経営者向けエグゼクティブセミナーで講師を務めさせていただいた。

ベンチャー企業が、成長ステージに応じて、どのような経営チームを組成していくべきか、CXO人材はどのように探すべきか、といった内容と、神原社長との対談。

その中で最も刺さったのが↓のチャート(もし途中で右端が切れていたらクリックして見て下さい)

 

ベンチャー企業が「成長の痛み」を超えられない際に「かかりやすい病気TOP10を記載したもの。ベンチャー企業経営者の相談相手をさせていただいている中から、経験則的に得た症例を、私なりにまとめてみたものである。

創業期→事業拡大期→プロフェッショナル化期→最強化期、と企業が成長していく過程で、本来は組織開発をして機能をわけたり、経営管理体制を整備したり、企業文化(DNA)を醸成したり、経営者自身が成長・脱皮したり、しなければならないにもかかわらず、事業の成長に体(組織)がついていけずかかる病気である。

1.CEO多重役割症候群
トップ営業、事業開発、資金調達、人材採用など、CEOが非常に多くの役割(複数の帽子)を担いすぎ、
属人的組織となってしまう。経組織としての機能を担保できず、かえって急成長が停滞する。

2.CEOスーパーマン症候群

CEOが自分の強み弱みを認識できないケース。「自分以上に出来る奴が社内にはいない」と思い込み、すべてを抱え込んでしまうタイプ。自分の好きな事業をするために起業した社長は、24時間仕事のことを考えているケースも多く、またハイレベルな他の経営者との交流もする。結果として情報も知識も蓄積され、どんどん社員との間に情報量・スキルのギャップが生まれることにも起因。

3.CEO多忙皿回し症候群
短期的に売上が稼げる仕事、火消し的な仕事、でCEOが手一杯(皿回し状態)になり、長期的に戦略を考えたり、組織開発をしたりができなくなってしまうケース。

4.創業メンバー役割分担あいまい病
元々経歴の似た2〜3名の経営者で起業した企業におこりやすいケース。成長ステージがあがり、機能と役割を「1:1対応」させていく規模になったにもかかわらず、役割分担が明確でないケース。重複する業務ができたり、意思決定メカニズムが不明確だったり、社員が誰に相談していいかわからないなどの症状が出る。最悪の場合には、創業メンバーをめぐって派閥ができたりするケースも・・・

5.落下傘受入体制不備病
創業当時の経営チームと若手メンバーで組織を創ってきた企業で、IPO準備のためにCFOを採用しなければならないなど、初めてCXO的な人材を採用する際の話。マネジメントレベルの高い人材が落下傘で入社することに対し、経営者も社員もなれておらず、戦々恐々としてしまい、落下傘入社のCXOが早く活躍できる環境を整備できないケース。情報隔離してしまったりすることで、新CXOが実績を出すことが難しくなる。本来はCEOが他の社員がモチベーションを下げないように配慮しつつも、新CXOが社内の信頼を獲得する小さな成功、をしやすいように地ならしすべき。

6.仲良しクラブ病
創業から比較的少数精鋭で成長をしてきた企業において、「純血主義、家族的な雰囲気」を大事にしすぎるがために、5のような中途採用者に対して排他的になるケース。また、成果主義的な人事評価体系を導入したとしても、厳格な運用ができず悪平等も発生。良い企業文化を維持と、企業の成長規模に応じた経営管理体制の整備は、両立可能だが、そうならないケース。


7.短期収益市場主義病
予実管理が徹底され、4半期ごとの個人目標が設定され、個人の業績評価が報酬・人事評価にも紐づくような経営管理体制が整備されてきた際に発生する。個々人が短期的数値目標に終われ、長期的なしこみ、投資が後回しにされるケース。短期的には売上が上昇するが、次の収益の柱が構築されないことから、どこかで急成長が失速・・・

8.ミドル層不在病
組織は拡大してきたのに、経営チームと現場スタッフという2階層しか存在せず(フラットな階層がいい組織もあると思うが)、次世代経営者候補層が育成されていないケース。スタッフが現場好きであり、人のマネジメントはしたくない、というタイプのエンジニアやクリエイターが多い企業でも発生しやすい。「ポジションが人を創る」という言葉どおり、少しショートだと思ってもミドルマネジメントのポジションを与えることによって、ポテンシャルの高い人材の目線が「グン」と上がり、結果として素晴らしいリーダに成長することも・・・

9.昇格ポジション不在病
逆に落下傘的にシニアポジションの人材を採用しすぎてしまい、内部昇格のポジションが結果的に少なくなってしまい、古参の社員や若手社員のモチベーションが下がってしまうケース

10.YESマン多発病
創業者がカリスマ化し、社員がCEOに対して建設的に意見をする企業文化が薄れてきたり、社員が思考停止する企業風土になってしまうケース。企業規模が急速に大きくなり、アントレプレナーシップを持った社員より、サラリーマン的社員が増加してきた場合にも、このようなケースが・・・

***

以上のように、企業が急成長すると、どこかにヒズミが来るのは当たり前だろう。多くの経営者の方が「あるある・・・」と首をタテに振って下さることが多い。私自身も小さな会社の経営をさせていただいている身であるが、身につまされる症状も多い。

繰り返しになるが、上記の症状は、企業ステージが若いときには病気ではない。創業間もない会社であれば、CEOは多くの役割を担うべきであるし、仲良しクラブでかまわないし、ミドル層も不在でもまったく問題がない場合も多い。

ただ、企業が一定の規模に成長しているにもかかわらず、小さな器のままでは、器(組織)そのものが成長のボトルネックになる。組織開発コンサルティング、人材紹介サービスの提供という局面で、客観的に拝見していると「ああ、成長の痛みが・・・」と外からのほうが見えることもある。

また、経営者の方が成長の痛みを認識されていたとしても、痛みを超えられない結果起こる「事象」を想定できず、問題解決を後回しにしてしまうケースも拝見する。

時々、「岡島さんの予言どおりになってしまいました・・・」といわれるケースもある。これは、まったく嬉しいことではない。私自身も半人前の経営者であり、皆さんに教えていただきながら四苦八苦している訳だが、多くの事例を拝見していることから、「病気が発生しそう」という症状が見えてくることがある。

例えば創業当時からいた古参のメンバーが10人まとめて辞める、といったような病気が発生する前に、できれば「組織支援」という立場から、処方箋を一緒に考えさせていただければと思う次第である。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

前回のマッキンゼー的「頭を貸して」の効用の続編のエントリー。

11月19日(日)開催の「経営のプロ」へのキャリアセミナー:「右脳型経営のプロ」の必要性 にパネリストとしてご登壇いただくBCGの菅野寛VPと、事前ディスカッションさせていただいた際の「目うろこ」な話

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菅野氏は、『経営者になる経営者を育てる』 の著者。この本、私の愛読書であり、弊社の読書会でも使わせていただいた名著である。下記の「アート系スキル」が「右脳系スキル」と同義語である

「優れた経営者との議論と、筆者のコンサルタントとしての経験に基づき、経営者に必須のリーダーシップ能力を抽出し、それらの能力を実践的に身につける方法を提案します。
本書では、経営者に求められる能力を、「科学系スキル」と「アート系スキル」に大別し、「アート系スキル」に焦点を当てます。暗黙知である「アート系スキル」を、エッセンス・スキルに因数分解して、できる限り形式知化して習得する方法を追求しています。

第 I 部 経営者スキルセット
・経営者に必要なスキルセット
・経営者のアート系スキル(1) 強烈な意志
・経営者のアート系スキル(2) 勇気
・経営者のアート系スキル(3) インサイト
・経営者のアート系スキル(4) しつこさ
・経営者のアート系スキル(5) ソフトな統率力

第 II 部 いかにして経営者スキルを習得するか
・習得プロセスを構築し、習慣化する
・体験を通じて習得する・スキルセットを使い分ける

いつか菅野さんにセミナーにご登壇いただき、
『右脳系スキルは後天的には習得不可能ではないのか?』
という仮説について、徹底的に議論してみたい」という夢が、今回実現する。

そのうえ、「後天的に右脳系スキルを習得した」と自らがおっしゃる元産業再生機構MDの小城武彦氏が、急成長のベンチャー企業や再生の局面にある企業で、どのように「右脳系スキル」を習得され、経営をリードされてきたかについて実体験をご披露下さり、菅野氏との熱いパネルディスカッションも実現する。小城さんの大ファンでもある私にとっては、まさに夢の企画。ぜひ内容の濃いディスカッション展開をできればと思う次第である。

***

さて、菅野氏とのディスカッションで「何が目うろこだったのか」という話だが・・・

「三人目の自分」という概念。いわゆる「メタ認知能力」と同義語である。

菅野氏は、「右脳的なスキル」を後天的に習得できる理由として、以下のポイントをあげている

  • 「左脳的な自分」も「右脳的な自分」も、いずれも天性の自分ではない
  • 「左脳的な自分」は左脳のプロフェッショナルに徹した自分であり、「右脳的な自分」は右脳のプロフェッショナルに徹した姿であり、どちらも「素の自分」ではない
  • 自分を客観的(メタ認知的)に見る「三人目の自分」が意志を持っており、局面によって左脳・右脳のどちらの自分を演じるかに指示を出すようになる
  • イメージとしては、元々「素の自分」だったものが、訓練によって「幽体離脱」できるようになり、「左脳のプロ」と「右脳のプロ」の自分を使い分けできるようになる、という感じ

正しい訓練をつめば後天的にでも、自分が苦手な方のスキルを習得できたり、この「幽体離脱」ができるようになる、というのは、「経営のプロ」を目指す人にとっては、朗報といえるだろう。

それでも、私は「敢えてポジション」を取り、「後天的に右脳系スキル」を身につけたり、「幽体離脱」ができるようになるためには、後天的には習得できない「資質」や「一定の条件」、があるのではないかと思って、菅野氏にチャレンジし続けたのである。

「三人目の自分」を持たなければならないとか、「右脳的スキル」が重要だと、「気づく」資質や、「痛感する」体験がなければ、習得は難しいのではないか、という仮設である。「三人目の自分」を持つという概念にしても、どのくらいの修羅場を経験した人かによって重要さの「腹落ち感」は違うはずである。

菅野氏ご自身も著書の中で、

「分析やロジカル・シンキング、フレームワークを考えることは(BCG)三年生としてはそこそこできるが、クライアントの気持ちや情がまったくわかっていない。あれではクライアントに心底信頼されるコンサルタントにはなれない」

と言われた経験を元に、スキル習得法を考え、愚直なまでに訓練を繰り返し、習慣化した方法についても、赤裸々に開示しておられる。

もしかしたら、誰しもが「修羅場」を経験すれば、資質がなかったとしても上記のスキルの必要性に「気づき」「習得せざるを得ない」と考えるのかもしれない。問題は

  • 「修羅場」を体験してまでも、そういった「高次元のスキル」をつけたいと思うかどうか
  • 「修羅場」を経験しなかったとしても、「修羅場」を想像して、自分に足りないスキルをハードな訓練をしてでも習得したいと思えるほど、「経営のプロ」になりたい、という高い志を持てるかどうか

ではないかと思う。

ちなみに、菅野氏によれば、著書のために取材した経営者に「右脳系スキルは、後天的に習得可能か」という質問をしたところ、多くの経営者の方が、「相当の努力をすればできる」と答えられたとのこと。ただ、その答えは

  • 10人中10人が習得可能
  • 10人中3人が習得可能
  • 10人中2人が習得可能

といった回答にわかれたという。

修羅場や逆境という環境下に直面してなくても、自分を追い込んで「経営のプロ」になる訓練、をしたいかどうか・・・
ぜひ、セミナーで来場者の皆さんに質問してみたい問いである。

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

前職のマッキンゼーで使われる表現に「ちょっと頭借りたいんだけど・・・」がある。
「ブレスト(ブレイン・ストーミング)したいので、少し時間をくれ」を意味している。

同じプロジェクト以外のメンバーと話すことで、違う視点や新しい切り口を得て、ブレークスルーをひねり出したい時に使うことが多い。イメージで言うと「一人ブレスト」に限界がきて、「外付けのCPU」をもうひとつつけて、もう一度グルグルと高速回転でまわしてみて解を見つける、という感じ。


これは、結婚祝いにホワイトボードを所望した「ブレスト夫婦(笑)」であるわが家でも、よく行われる光景。私はHBSやマッキンゼーで無理やり「左脳強化特訓」をされたものの、根っからの感情共感型「右脳人間」。通常は結構無理してロジカルに振舞おうとしている。一方、夫は「頭の中身はロジックツリー?!」というくらい理路整然とした「左脳人間」。しかも、仕事の質的には近いものがあるが、生息している業界は別である。

従って、言語やフレームワークは共通しているが、「思考のくせ」が両者異なる。双方が思いっきりポジションを取ってブレストすると「やられた・・・、その手があったか・・・」的な解が見つかる(こともある)。少なくとも自分と違う思考パスを通る人が、どういった論理展開をしてくるか、どんな視点を持って意思決定してくるか、ということは明確になる。

***

ダニエル・ピンク著 ハイ・コンセプトの前文に、大前研一氏が右脳と左脳を自由に往来することができる人材(「脳梁」が発達しているタイプ)がこれからの時代に求められており、それが1人で達成できなければ、右脳型、左脳型、の違うタイプの人で集まって、相互に利用しあうべき但し、日本人は類友で固まりやすいので、異なるタイプと戯れにくい。家族内はじめ、対極的な人と交わることができる「環境」が重要になると、違うタイプの人の「頭を借りる」効用を述べている。

情報化、グローバル化の波の中で、企業経営にもパラダイムシフトがおきている。日々多くの経営者とディスカッションさせていただいて体感していることだが、いわゆる「経営機能」と呼ばれていたものの中でもアウトソース化が進んでいる部分もあり、経営者には「より複雑な問題を、より速いスピードで意思決定/解決する」ことが求めらてきているようである。

このような環境下であれば、ますます「頭を借りる」的アプローチが効果的ではないかと思う。より複雑な問題であるからこそ、左脳的・右脳的アプローチ双方をフル活用することによってしか、ブレークスルーできない課題も多いだろう。

また、現在のような環境変化の早い時代には、「①A、②B、③どちらとも決めず意思決定を延ばして様子を見る」、の③という選択肢は最悪の意思決定であることを経営者は認識している。従って、①か②か選ばなければならない。「1人高速右脳左脳往来」ができない場合には、異なるタイプの「頭を借り」て高速シュミレーションした上で意思決定をすることによって、ダウンサイドリスクを軽減できるはずである。

弊社では、企業ステージが成熟してくる過程において、「経営者の右腕」探しや、「経営チームの再組成」のお手伝いをさせていただいている。このときにポイントとなると思っている点のひとつに、「価値観や経営言語は共有するが、思考プロセスや強みの多様性を経営チームとして担保する」という点があると思っている。経営メンバーの中で「頭を借りる」的アプローチが相互にできるか、という観点だ。


例えば、左脳主導型の戦略コンサルタント出身者数名で設立した企業が、ある程度の規模になった際に、共感系右脳型の参謀を投入するケースがある。組織が大きくなり、人材も多様化した時には、この企業では経営者のビジョンや戦略性が現場と共有しきれなくなる症状が現れた。「成長の痛み」のひとつである。右脳型参謀が経営陣に入ったことで、左脳型の経営者が作成したメッセージが、現場スタッフにも共感しやすいメッセージへと昇華され、現場はビジョンや戦略を当事者意識を持てるようになった、という事例である。

***

ここまでお読みいただいて、右脳型、左脳型、のどちらかがいいという議論をしていない、ということは十分におわかりいただいたと思う。もちろん、一個人の中で右脳と左脳を往来できる、というのがベストではある。ただ、通常極端ではないにしても、どちらかが強いタイプの人が多く、逆側は意識して鍛錬し、プロフェッショナル・キャラクターとして習得すべきものらしい。


左脳的論理思考力や経営スキルを身につけた上で、「右脳的スキル」も身につけ、 双方をバランスよくマネージすることによって、ビジョナリー・カンパニー2で言うところの「第五水準の経営者」になることができるのではないかと思われる。

11月19日(日)に弊社で開催する第6回「経営のプロ」へのキャリアセミナーでは、元産業再生機構の小城武彦氏とBCGの菅野寛氏をお招きして、「右脳的スキルは、後天的に習得可能か」というテーマについても徹底的にディスカッションをする予定である。

次回のエントリーでは、先日、BCGの菅野氏とこのテーマで議論させていただいた点について、掘り下げてみたいと思う。「目うろこ」のインサイトがあったので、「乞御期待!」。

グロービス・マネジメント・バンク 代表取締役 岡島悦子

現代人はピアノの上達が早い?ものすごい集中して、メールの早ウチをしていて原稿を書いていてフト思ったこと。


実は私は、巨人の星「強制ギブス」並の「おもり」を腕につけ、重くした鍵盤で練習する、といったピアノの英才(スパルタ?)教育を受け、コンクールに出るということをしていた暗い過去を持っている。


今ではまったく練習していないので上手く弾けなくなっているし、あれだけの時間を投資したにもかかわらず「絶対音感を持っている」くらいしか回収できたことはないなぁ・・・と思っていた次第。


ところが、先ほど仕事をして「私ったら、ものすごい量のメールを一気に打っているけれど、これって半端なく速いスピードでキーボードを叩いている。これってもしかしたらピアノの猛特訓の賜物では?」という思ったのである。


これと同時に考えたことは、現代人は(PCの)キーボードを叩くことが多く、昔の人に比べて左手と右手を同時に速く打つ、といったことに長けている。かつブラインド・タッチだってできてしまう。即ち、大人から始めたとしてもピアノの上達度が速いのでは???という疑問。


PCのキーボードを打ち始めた時は、誰しも自分の頭の処理スピードの方が速く、キーボードを打つ手がもどかしい、と思ったことがあったはず。しかし訓練とか日常習慣というものは恐ろしいもの。PCを日常的に使っている人で、今そんなことを言っている人はいないだろう。


勿論、ピアノの上手さというのは、音楽性とか情緒とかいったものが必要になるわけで、指が速く正確に動かせればいい、というだけではない。ただ、仮説としては、ピアノを習ったことがなかった人が大人になってから指の使い方を習った場合に、PCのおかげで指筋肉は発達していて、初歩のピアノのレッスンの進み方が速くなったのではないかなぁという仮説である。


周囲のピアノを習ったことがない人や、大人になってからピアノを習い始めた人に聞いてみたわけではないので、真偽のほどは不明なのだが・・・(どなたかご存知の方がいらしたら教えてください)。

***


というわけで、ヘッドハンターである私がどうしてこんなことに興味を持ったかというと・・・


私たちヘッドハンターの仕事は「本人も気づいていなかった能力や活躍の場を見つける」という仕事である。その方のスキルや能力や実績を因数分解して、

  1. 汎用的な筋肉(スキル)を探したり
  2. 「この業界での経験・スキルを持つ人は、この業界でも活躍できる」といった法則(アルゴリズム)を見つける
といったことを日常的にやっているわけである。

特に 上記2.は「橋本聖子理論」と呼ばれている。スピードスケートをやっていた人は、足の筋肉が強いので、自転車競技にも強い、というアレである。同じ業界・同じ職種の人を右から左に動かす、ということでヘッドハンティングが成立するほど、現実は甘くない。実際には「成長欲求」や「やりがい」を求める人が、「斜め上」や「飛び地」の領域での活躍を望む場合が多いのである。


よく知られている事例としては、

  • 戦略コンサルタントだった人は、事業会社で経営企画において社内コンサルタント的な入り方でソフトランディングすると成功しやすい、とか
  • 営業のエースは、採用担当をすると自社のアピール力が高く成功する確率が高い、とか・・・
皆さんの会社でも、「A社から来た人は業界が違うのにウチと相性がいいのか成功している人が多いよね〜」といった経験があるはずである。


こういったアルゴリズム、特に他人や他社が見抜けないような法則を、
 

  • いかに独自に見つけることができるか、
  • そしてこのアルゴリズムが仮説検証を繰り返し確度の高い法則になっているか
が、腕利きヘッドハンターの大きな武器のひとつであるといえるだろう。

良い成功事例が蓄積されていくと、このアルゴリズムも多種多様になり、また確度もあがってくるものである。もちろん具体的なアルゴリズムについては、企業秘密であり、お客様限定で披露させていただく、ということでお許しいただきたい次第・・・


グロービス・マネジメント・バンク代表取締役 岡島悦子

まだ日本では馴染みの薄い用語である「カーブアウト」。


先週金曜日、 このカーブアウトを取り上げ第5回「経営のプロ」へのキャリアセミナー を開催した。

事例としてウィルコム、ユニバーサルソリューションシステムズの2社をとりあげ、各社の経営者とスポンサーファンド(カーライル、グロービス・キャピタル・パートナーズ)とのパネルディスカッションを行った。


盛り沢山の内容のセミナーであったため、セミナーでは語りきれなかった「カーブアウト型独立のキャリア上の意味」について、ここでもう少し掘り下げて整理してみたいと思う。セミナー参加者の方にも、参加できなかった方にとっても、有益な情報となればと思う次第。

 

***

 

「事業や技術を企業から切り出し、外部資金を投入して、戦略の自由度を高め、事業の成長を加速させる」というのが、一般的なカーブアウトの定義。

「親会社、ファンド、事業責任者」の3者にとって、いかにWin-win-winの関係を構築できるか、が良いカーブアウト案件を組成できるか、のKSF(Key Success Factor)となる。

親会社にとっては、売却益による収益アップに加え、経営資源をコア事業へと再配分できるオプションである。

また、ファンドにとっては、(成長性の見込める事業・技術であれば)、ゼロから事業開発を行う企業に投資するよりも、短期間に価値創造支援をし、収益確保をできる可能性の高いオプションである。

では、「事業責任者=個人」のキャリアにとっての意味合いはどうだろうか。「起業を考える個人」との比較で考えてみたい。

 

【カーブアウト型独立のメリット】

起業する場合、通常、経営者はゼロから事業開発も組織開発も行っていかなければならない。技術系のベンチャーの場合であれば、製品開発に中長期の開発期間と資金が必要となる。VCなどの投資家は、製品のプロトタイプができているとか、ある程度の技術優位性が確証されていなければ、投資しないだろう。従って、最初のタネ金を出資してもらうのは、極めて難しいことである。

 

ところが、カーブアウトの場合には、技術あるいは事業そのものが、ある程度確立されているところからスタートができる。従って、技術・事業の成長性が見込める場合には、ファンド(VC、Growth Capital Fund)からの資金調達も可能となる。個人としては基盤となる「事業を購入」し、外部資金を投入し、事業を短期間で急成長させることができる訳である。

 

また、カーブアウトの場合には、組織ごとの「切り出し」となることから、組織開発の部分でも、起業に比べ優位な部分がある。親会社が機能担保していた「管理部門」については、通常、新たに採用を行う必要があるが、それ以外の機能については、既に組織として機能している部分の切り出しとなる。この「超売り手市場」の採用市場の中、起業したアーリーベンチャーに比べ、組織開発の部分においても「ジャンプ・スタート」をきることができるわけである。

 

短期間でIPOをすることができたケースにおいては、経営陣は勿論その企業をより大きくしていくというオプションがある。一方で、どうしてもゼロからイチを作り出すことがしたい、といった志向がある人の場合には、IPOによるアップサイド(金銭的報酬)と「IPOするまでに企業を成長させたという実績」という信用を持って、いわゆる「シリアル・アントレプレナー」として起業をする、という「わらしべ長者」的なキャリアのつくり方をすることも可能となるのである。

 

【カーブアウト型独立のデメリット】

では、キャリア上のデメリットはないのだろうか。

 

ファンドから投資してもらうリスク、はどうだろうか。ファンドは、どこかでキャピタルゲインを確保しなければならないという命題があるため、ある程度の付加価値が創造できたタイミングで、以下のexitオプションを求めるだろう。

  1. IPO
  2. 親会社への売り戻し
  3. 他社への売却

 

れがデメリットとなるとすれば、経営陣が望むより「早い時間軸」でのexitを求められる場合である。経営陣は、もっと設備投資をし、もっとじっくりと事業開発をしたいと思っていたが、ファンドがより短期にexitを求める場合がこのケースであろう。ただ、これは起業してVCが大株主となっているケースでも同様であろう。
また、ファンドと経営陣の戦略の方向性の不一致により、ファンドがガバナンスを強化し、場合によっては新しい経営者の投入を求めてくるケースも考えられる。せっかく「事業を買い、カーブアウトし、一国一城の主となった」と思ったものの、自身では経営ができなくなるパターンである。
但し、これも起業してVCが大株主となるケースにもおき得るケースである。スポンサーとなるファンドの性質にもよるとは言えるが、「事業責任者にコミットメント・リーダーシップ・資質があり、ファンドと二人三脚で事業を成長することのできるに足る人物だと判断するからこそ投資する」といった投資スタイルのファンドであれば、このリスクは回避できる、ということになる。
 
***
 
きれいごとのようではあるが、要は、上述の通り、カーブアウト案件をつくりあげる際に、徹底的に議論・交渉を重ね、「親会社・ファンド・事業責任者」の3者にとって、どのようなWin-win-winな状況を作り上げることができるか、が個人にとっての「カーブアウト型独立」という選択肢を成功させる肝であると言えよう。
 
カーブアウトする事業部門の大きさ、親会社の大きさにもよっても、必要な交渉期間は違うのだと思うが、日本最大級2200億円というウィルコムのカーブアウトのケースでは、カーブアウトが成立するまでに、ナント3年以上の交渉期間が費やされたとのことである。
 
上記を踏まえた上であれば、カーブアウト型独立は、「どうしても世に出したい技術・事業がある」という場合には、十分に検討に値する「キャリア選択肢」なのではないかと思う。日本には、潜在的な成長性を秘めるすばらしい技術を持つ事業でありながら、集中と選択の流れの中で経営資源の投下をされていないノンコア事業もあるのだと思われる。日本からメガ・ベンチャーといわれる企業が誕生するためにも、ぜひカーブアウト型独立がひとつのキャリア選択肢として浸透していくといいな、と思う次第である。
 
グロービス・マネジメント・バンク 代表取締役 岡島悦子

おなじみNILS(IT関連ベンチャー企業経営者会議)のサービス産業版をつくろう!ということで、SILC(Service Industry Leaders Conference)の第1回が開催されました。


私も「Growing Pains(成長の痛み)を乗り越えろ〜事業拡大に伴う組織の痛みとその処方箋〜」のモデレーターとして出席してきました。


テイクアンドギヴ・ニーズ取締役人事部長の桐山さんと英会話のGABA COOの須原さんにパネラーとしてご登場いただけたので、非常に内容の濃いパネルとすることができました。(お二人、本当にありがとうございました!)


今回は、ウェディング、葬儀、保育、教育、外食、小売、観光、運輸交通、人材派遣、など多様なサービス産業のベンチャー企業の経営者が200人くらい集まるイベント。


星野リゾートの星野さん、グッドウィル・グループの折口さんの2人のキーノートスピーチに加え、産業再生機構の冨山さんを初めとする様々なパネリストにご登場いただくパネルディスカッションがあり、私自身にも気づきや学びの非常に多いカンファレンスでした。


 サービス産業は「人が財産」。店舗や拠点の現場に多くのスタッフが働いているのが、サービス産業の特徴。顧客フロントにたつこの現場レベルのスタッフの質と量をどう担保するか、が急成長と成功の鍵。


ということで、以下のような様々なトレードオフをどのように考えて執行していくのか、といった話が、多くのセッションの中で共通のテーマとして浮かびあがっていたような気がします。

  • 顧客満足度向上 vs 売上急成長・利益重視
  • 現場のスタッフの「感じる能力」向上 vs マニュアル化・サービス均質化
  • 現場主義 vs 経営インフラ整備
  • 情理 vs 合理
  • 価値観・理念共鳴型社員採用 vs 即戦力社員採用
もちろん、上記の各項目は両立できる場合もあるわけですが、経営資源が有限の場合、経営戦略とは捨てるものを決めること。したがって、どちらかに比重をかけたり、どちらかをあきらめたりしなければならない場合もあるわけです。

数多くのセッションで、急成長を志向する企業だからこそ、このような戦略、哲学でどのようにバランスさせてきたか、というような事例ベースの具体的なお話も伺え、非常に参考になりました。


中でも、グッドウィル折口さんの「70%の精度論」は、現実感のある非常に含蓄のあるお話でした。
サービス業の場合には、規制が緩和されて市場が急成長していたり、顧客の嗜好も変化し続けており、「日々是決戦」。精緻な事業開発や組織開発よりも、いかにスピード早くPDCAサイクルを早くまわすことができるか。


70%の精度のサービスを市場に出して、どんどん試していっていみる。これが急成長の成功の秘訣。これより精度をあげたものを作っている間にどんどんスピードが遅くなり良いサービスだとしても陳腐化する。
ブランディングを考えると「失敗はできない」と思いがちで、ついつい精度の高いものを時間をかけてつくりがちであるが、失敗したときの対応策さえ用意されていれば、スピードを落とした時の機会損失のほうが恐ろしい」というもの。


これはサービス業の場合には、事業開発のみならず、組織開発においても同様かもしれない、と思った次第です。


「成長の痛みを超える組織開発をどのように設計・推進していくべきか」という私たちのセッションでも、この部分についても、議論をさせていただきました。


経営管理体制・人事組織・人事制度も、理念・経営戦略・採用・育成と一貫性のあるものを構築すべきであることは譲ってはいけないのですが、店舗数・現場のスタッフ数の多いサービス業の場合には特に、「70%の精度の制度」といったものを導入し、現場に浸透させながら、改善していく。ある意味「永遠のベータ版」であるべき。


人事制度は、従業員のモチベーションをコントロールする「非常に有効な経営の武器」。顧客と向き合う現場にいる従業員の多いサービス業の場合には、ことさら強力な武器と言えるかもしれません。
だからこそ、企業ステージにあわせて「適切なタイミングで適切な要素の制度」を導入しなければならない。あまりアーリーステージの企業であれば導入する必要はないかもしれないし、遅すぎればモチベーションを正しくコントロールできず、退職者が続出するかもしれない。


適切な要素を正しい配分で導入しなければ、例えば、従業員が顧客満足度向上に非常に振れてしまって、利益がおざなりなってしまう、などという急ぶれの原因にもなってしまう。


ガチガチの制度にしてしまわず、こういった急ぶれを微調整しながら、70%の精度のものを現場と試してみて、徐々に調整しながら制度の精度をあげていくべき、という議論です。そして制度を導入・変える時には、ソフトランディング的な導入の仕方にしていく。


これらの鉄則を、GABAの須原さんは「単純、あいまい、ゆっくり」の原則と述べていましたが、納得感のあるキーワードだと思いました。


ベンチャー企業の人事のプロ中のプロであるテイクアンドギヴ・ニーズの桐山さんが、1000人の会社である同社で「人事制度らしい制度(コンピテンシーモデルのようなもの)は、敢えて作っていない」と言い切り、「機が熟すまで待っている」と言っておられたのも非常に印象的でした。まさに、業種の特性と、適切なタイミングを熟慮して、という背景とのことです。


もちろん、同社の場合には、制度がなくても経営陣の大いなるコミットで「従業員の評価やモチベーションを担保するしくみ」、をきちっと持っておられ、実行されているからこそ、成功しておられる訳ですが・・・。


・・・という訳で、感じたこと、考えたこと、などまだまだいろいろあるのですが、またまた長くなってきてしまいましたので、またのエントリーの機会に譲ることにしたいと思います。


学びも楽しさもネットワーキングも満載な、右脳も左脳も刺激される1泊2日のカンファレンスとなりました。ここで学ばせていただいた数々の示唆や洞察を、日々の仕事に生かしていければ・・・と思う次第です。


グロービス・マネジメント・バンク 代表取締役 岡島悦子

代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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