「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里さんのお手伝いをさせていただいている関係で、先日「思想界の巨人=吉本隆明さん」のお宅に伺わせていただき、直接お話しを伺うという、本当に稀少で幸福な機会をいただきました。

 

「人は本物に触れる体験をすると、(たとえ内容をすべてなんて理解できなかったとしても)心が震えるような感動を受ける」という話をよく聞きますが、今回の経験はまさに、この「心が震える」ような強烈な体験でした。帰宅した後も、吉本さんのご本を読んでも、「あの場に同席させていただけた至福感」を、ゆっくりと味わわせていただいているところです。
 
吉本さんと、糸井さん、糸井事務所のみなさまに、ただひたすら、感謝の気持ちでいっぱいです。一生の思い出になるような、ステキな機会をいただき、本当にありがとうございました。

吉本隆明さんプロフィール

1924年生まれ。詩人、文芸評論家、思想家。

東京工業大学電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。現在に至るまで、幅広い層から支持を受けつづけ、 「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。

著書に『共同幻想論』『言語にとって美とはなにか』 『ハイ・イメージ論』『カール・マルクス』 『悪人正機』『最後の親鸞』『ひきこもれ』 『吉本隆明 自著を語る』『真贋』 『日本語のゆくえ』など。

(出典:ほぼ日刊イトイ新聞

(↓ご自宅でお話してくださる吉本隆明さん)

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(↓嬉しそうに吉本さんのお話を引き出されるイトイさん)
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浅学な私は、吉本さんのご本もまだ少ししか読めておらず、文学・宗教・哲学などに関する知識も本当に浅く、正直とても緊張して伺いました。
 
もちろん、私たちをお連れくださった糸井さんと吉本さんの間に、長きにわたる信頼関係があってこそ、のことだと思うのですが、「思想界の巨人」と呼ばれる吉本さんの語り口は、とてもソフトで庶民的。
 
お話の中には、夏目漱石、親鸞、マルクス、フーコ、などの歴史の教科書でしか見たことのないような人の話が、「ひょいっ」と出てくる。そういったスゴイ人たちは、吉本さんと同じ時代を生きてきた人なんじゃないか、と錯覚するくらいの親しみをこめた表現でお話くださる。だからこそ、「あぁぁぁぁぁー、もっと知りたいし、勉強したい」と、本当に思いました(ホントです)。
 
もっと知ったら、もっと楽しめることが沢山でてくるのではないか、とか、ちょっと大変なことやツライことも違った解釈をできるようになるのではないか、とか…。
 
糸井さんが、吉本隆明さんを心の底から尊敬しておられ、吉本さんの声を伝えることを、まるで「ミッション」のようにしておられ、多くの人に「オススメ」しているのは、こういった理由なのではないかと、吉本さん初心者の私は思っている次第です。
 
今回のお話の中で、最も考えさせられたのは「沈黙は言葉の幹と根である」という概念。直観的にわかる部分もあるのですが、それだけでなく、きっと相当深いものがあるのだろうと、じーーーーーっくり考えてみたいと思っています。
 
***
 
そして…
とうとう、明日、吉本さんの講演会↓が、開催されます。

「ほぼ日」10周年記念企画

吉本隆明さんの講演会

 芸術言語論 〜沈黙から芸術まで〜

チケットは完売だそうなのですが、「ほぼ日」上でも、当日の模様が「テキスト中継」されるようですので、ご興味がある方はご覧になってみてください。
 
講演には行けないけれど…、という方にも、朗報があります。吉本さんの今までの講演をお聞きになれる方法があります。(ちなみに、講演録を読むのではなく、耳から聴くというのは、なかなかステキな疑似体験です) 「ほぼ日」と全国の書店でお買いになれるとのことなので、ぜひぜひ、こちらもご覧になってみてください。
 
明日の講演が、今からとても楽しみで、ワクワクしています。ここでも、またご報告できればいいなぁ、と思っています。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
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22日に発売の洋経済の季刊誌『Think!』の「インテリジェンス思考力」という特集に、

「自分の市場価値を高める方法―ヘッドハンターは「情報活用力」を見極める」

という記事を掲載していただきました。

 
ヘッドハンターである私たちが、候補者の方の「経営のプロ」としてのポテンシャルをどのような軸で判断しているのか、をお話しています。
 
「経営のプロ」として求められる「インテリジェンス思考力」とは、因数分解するとどのようなものなのか、どうすれば高められるのか、といったことを、お話した次第です。
 
ぜひご覧いただければ嬉しいです。
 
プロノバ代表取締役 岡島悦子

お蔭さまで、『ビジネスプロフェッショナルの仕事力』の増刷が決まりました!

 「前のめり」な宣伝活動はしていないのですが、やはり7人の識者の方たちのコンテンツがすばらしい、ということではないか、と思っています。

紀伊国屋、丸善、有隣堂、等に伺ってみましたが、いくつかのコーナーに平積みにしていただいており、ありがたいです。

 また、多くの方にブログやアマゾン等々で書評を書いていただいているのも拝見しました。ここではひとつひとつはご紹介しませんが、本当ありがとうございました!

 以下のような趣旨のコメントをいただいているケースが多いようです。

「情報活用力の高いビジネスプロフェッショナルなるための肝は、意識や心の持ち方なんですね、それだけ聞くと当たり前のようですが、識者の方の経験や事例を具体的にとりあげてご説明いただくと、その重要性がよくわかります」

巻頭にも書かせていただきましたが、7人の識者の方々は著作も多く、それぞれの本で書かれている内容とも当然かぶる部分もあるのですが、本書はそれぞれの方の主張のエッセンスの共通点や相違点などを一望できる、というしくみになっている所をお楽しみいただけたら、と思っています。
 
まだ手にとっておられない方、ぜひご覧になってみてください。
 
プロノバ代表取締役 岡島悦子

最近、告知系のエントリーが続き、恐縮です。明日発売の幻冬舎さんの月刊誌『ゲーテ』 8月号<巻頭特集>「ヘッドハントの裏の裏」

「真のヘッドハンター 岡島悦子の“目利き”」

 という記事(4ページ)を掲載していただきました!(表紙は、ハリソンフォードさま♪)

【ヘッドハンターって???】

本来、「経営者候補を探す」という仕事において、主役はあくまでもクライアント企業と候補者そのものであり、私たちヘッドハンターは「黒子に徹するべき」であると、私は考えています。

しかしながら、一昔前の戦略コンサルティングの仕事がそうであったように、ヘッドハンティング(エグゼクティブ・サーチ)の仕事は、なかなか正確に理解されていることが少ないように思います。

ヘッドハンティングの正式な名称は"Executive Search in Management Consulting"...

すなわち、ある企業のコンサルティングを行い、戦略を構築し、組織のケイパビリティを評価してみる。冷静に評価すると、その戦略をインプリする「経営のプロ」人材が、社内には存在しない。そういった場合に、社外から適切な「経営のプロ」人材を探し、投入する。という一連の支援を行うことが、ヘッドハンティングという仕事の起源なのです。

したがって、ヘッドハンターという仕事は、企業の課題解決を「人材」という側面からお手伝いする仕事であり、非常に奥の深い仕事です。「企業の課題」と「意志も感情も保有している財=人材」を扱う、という意味では、非常に難易度の高い仕事とも言えます。

私も日々、次世代の経営者が生まれその企業が強くなったり、個人の方の成長の「きっかけづくり」にお役にたてるといった場面で、「やりがい」を感じています。が、一方では、この仕事をはじめて7年弱になりますが、この仕事の難しさに、ヘッドハンターとしての限界と奥深さを感じることも多い毎日です。

私よりも、ご経験の豊富なヘッドハンターの方は、沢山おられると思うのですが、こうした私たちの「見えにくい」仕事の実態、といったものが、少しでも正確に伝わり、企業の経営者も、経営のプロを目指される方も、「ヘッドハンターをうまく使いこなす時代」が到来するといいなぁ、と思い、今回の取材を受けさせていただきました。

繰り返しますが、黒子体質の私としては、ちょっと恥ずかしい企画です…。

ステキな文章を書いて下さった『プロ論』のライターとしても有名な友人の上阪徹さん、ゲーテ編集部の米澤さん、私の周囲で取材に応じていただいた恩人のみなさま、本当にありがとうございました!

プロノバ 代表取締役 岡島悦子

昨日の告知に引き続き、明日21日にもう一冊、『戦略コンサルタントに学ぶ3倍速仕事力』(ムック本)が発売になります。こちらも監修(人選、巻頭提言)をさせていただきました。

(以下のコンサル出身者の方々に、ご自身の経験を事例としてお話いただきました)

巻頭提言:プロノバ 代表取締役 岡島悦子

本章

ライフネット生命保険 取締役副社長 岩瀬大輔
ポケモン ポケモンセンタートウキョウビジネスユニット ビジネスユニット長 宇都宮崇人
グロービス/グロービス経営大学院 ファカルティ・コンテンツオフィスマネジャー/主任研究員 君島朋子
リサイクルワン 代表取締役 木南陽介
マイクロソフト ビジネス&マーケティング部門ビジネスプランニンググループ シニアマネージャ 佐藤恭平
オイシックス 代表取締役 高島宏平
バンダイ グローバル戦略室 戦略チーム 高橋直哉
PEファンド 長田志織
クラシエ製薬 ヘルスケア事業部 マーケティンググループ長 原田佳実
RCF 代表取締役社長 藤沢烈
経営共創基盤 ディレクター 松岡慎一郎 氏

ご協力いただいた、みなさん、本当にありがとうございました!ぜひ打ち上げを企画させていただきたいと思っています♪

この本を出版した背景
 
戦略コンサル出身者の数は、明らかに増えてきています。数が増えてきた分、いろいろな事例がある訳なのですが、ヘッドハンティングの現場にいると、聞こえてくる3つの「都市伝説=幻想」があるように思えます。
 
1.戦略コンサルティングファームで鍛えられると、もの凄く何でもできるようになる
2.戦略コンサルティングファームで学べることは、他では学べないので、入社し経験しないと体得できない
3.戦略コンサルタントは戦略構築などの企画業務には強いが、評論家的であり、「人を動かす」ことや「実行(インプリ)」には弱く、現場で収益を作り出すことはできない
 
出身者の母数が増えてきているため、もちろん、上記の3に当てはまるような事例もあるのだとは思うのですが、私がお付き合いをさせていただいている方々の多くは、みなさんイキイキと活躍され、確実に実績を出されています。
 
私は、「事例が最も雄弁である」と信じています。そこで、戦略コンサルタント出身者で、活躍されている方々のうち、30代前半の若手ビジネスリーダーの方々を選ばせていただき、
 
1.戦略コンサルティングで学んだことは何だったか
2.現在の仕事を進める上で、1はどう有益か
3.今後どんなことにチャレンジしていきたいか
を、伺いまとめてみました。
 
ここで、比較的若手、あるいは、コンサルティングファームを離れてから5年以内、といった方々を人選させていただいたのは、読者の方々に「半歩先」のロールモデルとして見ていただきたかった、という理由からです。読者に近い世代の事例を見ていただくことによって、周回早く進んでいる人たちの濃い活躍経験を自分と比較したり、体感したりしていただきたい、と考えたためです。
 
人選にあたり考えたこと
 
また、人選にあたっては、その活躍のご様子を私自身が知っている方、ということに加え、以下の軸による多様性を考えてみました。
 
1.出身コンサルティングファーム(マッキンゼー、BCG、A.T.カーニー、ブーズ・アレン、トーマツコンサルティング、アーサーD・リトル)
2.コンサルティングファームに入った時期(新卒か中途か、MBAホルダーか否か)
3.現在の活躍のフィールド(起業、ベンチャー企業、日本大企業、外資系大企業、PEファンド・成長/再生支援、等)
 
お読みいただければ、上記の3つの都市伝説を、私が「幻想」と申し上げている意味を、実例で理解していただけるのではないかと思います。
 
戦略コンサルティングファームでの経験は、もちろん万能ではないのですが、ブーツ・キャンプ的に濃い経験や知識が、具体的にどのように今の仕事で財産となっているか、逆に戦略コンサルティングファームでは想定していなかったことは何だったか、をそれぞれの経験に基づき、お話いただいています。
 
こんな方にオススメ!
 
・今、戦略コンサルティングファームに勤めていて、次のキャリアで活躍するイメージがわきにくいなぁと思っている人(この手の相談は急増しています!)
・コンサルティングファームを使っていて、「彼らは、具体的に何がどう凄いんだろう」と思っている人
・自分の仕事には自信を持って活躍しているが、コンサルティングファームに勤めたことはなく、ちょっと疑似体験してみたいなぁと思っている人
 
それぞれの方が、自分の言葉で経験を語ってくださっていますが、「頭の使い方を学べる」「プロフェッショナルマインドを叩き込まれる」といった共通の認識も浮かび上がってきていると思います。
 
写真がズラズラ〜っと並んでおり、少しどぎつい(よく言えば目立つ)表紙になっているので、「ちょっと(恥ずかしくて)書店で手にとりにくいなぁ」と思われるかもしれませんが、疑似体験していただくチャンス、と思って、「えいっ」と手にとってみてください。

プロノバ 代表取締役 岡島悦子

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明日、6月20日に、私が監修(企画、巻頭書き下ろし、7名のプロの方へのインタビュー)をさせていただいた『ビジネスプロフェッショナルの仕事力』が、日本経済新聞出版社から発売されます!


(以下、目次です)

第1章:情報を使いこなす力量で差がつく
ボストン コンサルティング グループ(BCG)日本代表 御立尚資氏

 

第2章:ライバルの前例をレバレッジする
レバレッジコンサルティング代表取締役社長兼CEO 本田直之氏

 

第3章:ナレッジを発信して相乗効果を狙う
経済評論家(兼公認会計士)勝間和代氏

 

第4章:チームを活性化させる情報の仕掛け
行動科学マネジメント研究所所長 石田淳氏

 

第5章:〝心〟が消費と生産をクリエイトする
東京糸井重里事務所代表取締役社長 糸井重里氏

 

第6章:Web進化が働き方にもたらす変化
シンクタンク・ソフィアバンク代表 田坂広志氏

 

第7章:情報が錯綜する中で決めきる力
経営共創基盤代表取締役CEO 冨山和彦氏

 

特別付録:ツールを使って情報活用を実践する

本をつくった背景

この企画、私が雑誌に取材される際、いつも高い質のライティング(聞き書き)をして下さっているブリッジワークスさんと日本経済新聞出版社さんから、持ち込んでいただいたもの。

「知的生産性」への関心が高まっている中、超一流のビジネスのプロの方々に「情報活用力」の本質的な極意を伺う本を作りたい! というご依頼でした。

「これは、プロ中のプロにお話を伺わなければ」と意を決し、私がビジネスのプロとして尊敬してやまない識者の方々で、かつ、幅広い視点からも伺いたいと思い、専門領域においてもバラエティに富んだ方々にインタビューをさせていただきました。

超多忙な識者の皆様、ご協力をいただき、すばらしいお話をいただき、本当にありがとうございました!

内容をちょっとだけ…ご紹介

お手軽な「情報収集力向上ノウハウ本」にならないように「今、そして、将来にわたって、勝ち続けられる情報活用力とは何か、そしてこれからも求められ続ける仕事力の本質とは何か」をメインテーマとして、まとめてみました。

興味深いのは、活躍のフィールドはそれぞれ違う方々なのですが、

  • 変化の速い時代に陳腐化しない「情報活用力」を養うにはどうすべきか
  • 情報をうまく使って、仕事で「結果」を出すためには、どうすべきか
  • 「人に動いてもらい」組織の生産性をあげるにはどうすべきか
  • ビジネスをとことん楽しむには、どうすべきか
  • 知的生産性をあげて、人生を楽しむにはどうすべきか

など、実は共通したテーマがいくつも浮かび上がってきている点です。

巻頭にも書かせていただきましたが、こうしたテーマを結びつけていくと、伺わせていただいたお話のエッセンスが、以下のように分類できます。

  • 心=ビジネス界の未来予想図とはどんなもので、その変化に対応するために必要な意識・心得とは何か
  • 技=変化の中でも陳腐化しない知的生産性をあげる技術とは何か、どう向上させるべきか
  • 体=成果を出すためには、何を考え、頭をどう使い、どのように行動していくべきなのか

こんな方におススメ

「優秀な人にこそ仕事は集まって来る」と言われていますが、そんなビジネスに忙殺されがちなビジネスプロフェッショナルの方々!これは、手軽に読め、「ハッとする気づき」や「そうだ、忘れていた」と思い返せることが、いろいろと詰まっている本となりました!

私自身は、「ビジネスプロフェッショナルがもつべき仕事力の心技体の解体新書」になったのではないか、と思っています。

ぜひぜひ、お楽しみください!

プロノバ 代表取締役 岡島悦子

プロノバ1周年のエントリーに続き、シリーズもののようで恐縮ですが・・・
 
最近、糸井重里さんの糸井事務所のお仕事を、マッキンゼー時代の友人とともにお手伝いさせていただいます。先週の金曜日、6月6日に、「ほぼ日刊イトイ新聞」が10周年を迎えられました!

 

ほぼ毎日、と題しながら、一日も休むことなく10年間、コンテンツを更新を続けられ、このたび10周年を迎えられたのです。
 
本当におめでとうございます!
 
私自身は、人と仕事を「おススメする」ことを生業(ナリワイ)としていることもあり、「おススメの天才」である糸井重里さんという人物そのものに、とても興味があったわけなのです。したがって、完全なる「ほぼ日」初心者。
 
そんな私ですが、縁あってイトイさんたちとお仕事をさせていただくにつれ、完全に「ほぼ日」の世界観のトリコになっております・・・。
 
ベテラン「ほぼ日」読者の方々は、きっとそれぞれの愉しみ方をしておられるのではないかとは思うのですが、私自身は「もっと人生、楽しんでみたら?」というメッセージを、いただいているような気がします。「呪縛からの解放」。しかも、作り手であるイトイさんたちだけでなく、ウェブ2.0的な消費者とともに「みんなで作る」という実験を10年も続けてきているわけです。
 
10周年の節目にあたり、もちろん、いろいろなイベントが目白押し。中でも、この週末は、ナント、イトイさんが京都から東京まで飛行船で旅をする、その模様をNHKが生放送する、飛行船を陸上で追う人・待ち受ける人が「ほぼ日」上で「テキスト中継(投稿!)」する、というステキな実験企画がありました。まさに「中継」の名にふさわしい臨場感。
 
ニワカ「ほぼ日」ファンの私は、テキスト中継を見ていたら、一緒にお仕事させていただいている方々が、あまりにもイキイキと楽しそうに中継されているのを拝見して、なんだか自分まで嬉しくなって、東京班(糸井事務所)に差し入れを持って駆け付けてしまいました(本当にミーハー)。
 
しかも、図らずも、その模様をテキスト中継していただきました・・・⇒(糸井事務所への差し入れをする私と「機長」(15時15分の所をご覧ください))

 

こうやって、「ワクワクを創り出すことをされている方々」って、本当に尊敬。しかも、IT技術を難しく語るのではなく「こんな使い方したら楽しいかも・・・」と常に実験してみているって、本当にすばらしいですね。
 
イトイさん、追跡班のみなさま、待ち受け班のスガノさん、東京班のみなさま、臨場感あふれる楽しい週末を、本当にありがとうございました!
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
株式会社プロノバですが、この6月で一周年を迎えました!
 
お蔭さまで無事黒字となり、税金も納められそうで、ほっとしています。
 
これも、グロービス、経営共創基盤、クライアントの皆様、プロノバに集まってくださる「経営のプロ」の皆様、取材の方々、もちろん株主様、と多くの方々に支えていただいているお蔭です。あらためて、心から御礼申し上げます。
 
この1年、「経営のプロになる機会を創出する」というミッションのために、様々な活動を行ってきました。
 
次世代経営者を発掘・育成したいという経営者とのディスカッション、PE・VCファンドの皆様と支援先・投資先の経営チームづくり、「経営のプロ」を目指す方々へのキャリアアドバイスや啓蒙活動。
 
その「経営のプロ」を目指す方々への啓蒙活動の一環として、来月には、インタビュー・監修をさせていただいた以下の本が出版されます!
 

・『ビジネスプロフェッショナルの仕事力』 (日本経済新聞出版社)
・『戦略コンサルタントに学ぶ3倍速仕事力』 (PHP研究所)

私自身は、質の高い「経営のプロ」の数を増やすためには、機会(経験をする場)の創出それをイメージできるための事例(ロールモデル)紹介が、非常に重要だと思っています。そういった文脈でいうと、どちらの本も活躍している「経営のプロ」の姿をイメージできるような本になったと思っています。

出版の日程が決まりましたら、またご報告させていただきます。

 
プロノバ代表取締役
 
岡島悦子
この週末までが修羅場的に忙しかったので、だいぶ出遅れてしまった感がありますが…
 
先週4月17日(木)に日経新聞主催の「丸の内キャリア塾」で、元マッキンゼー3人組で「専門性を高める」というパネルディスカッションを行いました。今ベストセラー作家として「時の人」である勝間和代さんと、αブロガーとして有名な渡辺千賀さんのお蔭で1000人を超える応募があったとのこと。さすがです。
 
 
当日の様子は、パネリストの勝間さんのブログをご覧ください。
 
今回は私自身は、モデレーターとパネリストの両方をさせていただきました。通常、モデレーターをするときに気をつけていることは3つ。
 
(1)会場の期待値やニーズに応えられるものをつくる
 
主催者の方とのお話や、事前のアンケートなども参考にしっかりと準備するものの、当日の進行をしながら会場の温度感などを見て、臨機応変に対応していく。パネリストが創り上げるその場のケミストリーのようなものも大事にする。
 
(2)会場とパネリストの共通言語をつくれるようなチャートを作る
 
パネリストがどの部分の説明をしているのかが一目でわかるようなチャートを作るようにしています。今回は各パネリストのキャリアを時系列のチャートにし、どんなタイミングで専門性に気づき、高めてきたのかの年齢との相関もわかるように、3人分を比較できるようにしてみました。(千賀ちゃん、年齢ばらしちゃってごめんなさい! )
 
(3)議論が深まるように、対立構造がでる論点をつくる
 
何らかの論点で対立構造をある程度つくり、各パネリストの立ち位置や主張が明確になるように、方向づけていくようにしています。こうすることによって、議論が一方通行でなく、パネルディスカッションにする意味合いがでてきます。
 
今回については、(3)の部分が、3人とも「お互いの手の内をよく知っている」ということもあって、私が論点をあえて作らなくても、それぞれが絶妙にポジショニング。「いいね、いいね〜」っていう感じで、非常に楽しく楽にモデレーターをさせていただきました!
 
パネリストとモデレーターとの兼業ってことで、私自身は(いつもに比べて)若干コメントに切れ味を欠いていたように思っており、ちょっと反省中です。
 
***
 
今回の丸の内キャリア塾に参加した方々が、
 
「専門性」の定義を「専門性=資格」とかに狭めずに、人と差別化した「自分らしい」専門性を高めて、周囲に必要とされて、働き方の自由度が広り、イキイキと暮らせる、といったことへのヒントをお持ち帰りいただけていたら嬉しいなぁ、と思っている次第です。
 
参加いただいたみなさん、勝間さん、渡辺さん、日経のみなさん、ありがとうございました!
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

4月17日(木)の夜、第45回丸の内キャリア塾で「専門性を高める」というお題のセミナーでパネリスト&モデレーターをつとめます。

パネリストは、見る人が見ると笑える3人組ですが、『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』など、ベストセラーを連発し、一躍「時の人」となっている勝間和代(さん)と、、私の20年来の親友で、日米論客、アルファブロガーとしても有名な渡辺千賀(さん)、そして私、という超個性の強い3人。

3人はマッキンゼー時代の同僚です。

 

残念ながら「女性限定」とのことですが、申し込みが始まったようですので、ご興味のある方はぜひこちらから↓お申し込みください。

丸の内キャリア塾 第45回レギュラーセミナー 「 専門性を高める」

日時: 2008年4月17日(木)
場所: 日経ホール(東京都千代田区大手町1−9−5 8階)
開演: 18時30分
テーマ: 「専門性を高める」
受講料: 3,000円(消費税込み)
定員: 350人(女性限定)

主催者の日経新聞社の方には、「ステキなイケメンの男性を、モデレーターにぜひ!」とお願いしたのですが、「そんな度胸とスキルのある猛獣使いは探せませんでした・・・」ということで、結局私がモデレーターもやらせていただくことになりました。
 
今は活躍するフィールドは別々だし、タイプもぜんぜん違いますが、お互い手の内もよく知っているので、他では見られないような「リアルに濃い面白いセッション」を、短時間で創り上げられるといいなぁと思っている次第です。
 
まあ、難易度高めな専門的な内容あり、過激な発言あり、のジェットコースター的なセッションになるかもしれませんが、刺激を受けたい方も、怖いもの見たさの方も、ぜひどうぞ。
 
(株)プロノバ 代表取締役 岡島悦子
事業計画作成のバイブル誕生!
 
「事業計画を作れ!」と言われて、どのような項目が含まれていなければいけないか、ぐらいはわかったとしても、どの程度のレベルのものを作ればいいのか、良い事業計画のKSF(Key Success Factors)とは何かということに迷われたりはしないだろうか。
 
事業計画を作成しなければならないのは、資金調達をしなければならないベンチャー経営者だけではない。大企業で新規事業の事業計画を作成しなければならない担当者、いつか起業したいけれど、どこから手をつけたらいいのかわからない潜在起業家の人々、にとって、「バイブル」とも言える資料が、総務省から発表された
 

「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」及び「事業計画作成支援コースの運営とベンチャー支援上のポイント」の公表

 総務省では、創業期から事業拡大期のICTベンチャーの経営者にとって求められる事業計画作成能力の向上を、効果的に支援するための教育プログラム「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」PDF版、パワーポイント版)および「事業計画作成支援コースの運営とベンチャー支援上のポイント」(PDF版、パワーポイント版)を開発しましたので公表します。

 (平成20年3月7日発表、総務省報道資料より)

このバイブルの持つ意味
 
とにかく、中身を見ていただいたらわかると思うが、事例が豊富で非常に具体的でわかりやすい。ベンチャー経営者が陥いりやすい事業計画作成上の失敗例が、端的に指摘されており、初めて事業計画を作成する人は、これを見て「未然に人の失敗から学ぶ=時間を買う」ということができる。また、事業拡大をするベンチャー経営者が、成長の痛みをどのように超えていくべきなのか、の打ち手についても、経営のしくみのつくり方などが、非常に具体的なレベルで記載されている。
 
「こんなスゴイ資料を、(無料で!)発表してしまっていいのか!」と、世の中のベンチャーキャピタリストもびっくりのマル秘ガイドブック。ベンチャーキャピタリスト自身にとっても、バイブルとなると思われる資料である。
 
実は、このバイブルを作成されたのは、マッキンゼーの先輩でもあるブレークスルーパートナーズ赤羽雄二さんと森広弘司さん。日本発世界レベルのベンチャー企業を創出しようと、ベンチャー企業への投資・支援活動を幅広く行っておられるお二人である。
 
この資料に価値があるのは、ベンチャー企業の経営の現場に深く入り込んで、数々の支援をハンズオンで行ってこられているからこそ、経験に根ざした、非常に具体的なアドバイスのエッセンスが、このバイブルに詰め込まれているからである。よくある教科書的なテンプレートがあるマニュアルではない。
 
ベンチャー経営者のクリエイティビティーを尊重しつつ、ベンチャーキャピタリストなどの「事業計画書の読み手」の視点を、あますことなく披露し、ベンチャー経営者が抱える課題への本質的なソリューションの「ヒント」すらも与えてくれる良書である。
 
赤羽さんとは、昨年、総務省の「ICTベンチャー人材確保の在り方研究会」の委員としてご一緒させていただき、多くの刺激を与えていただいた。今回の資料のドラフトも、一足早く、拝見させていただいた。赤羽さんが、「日本から世界級のベンチャー企業を輩出したい」という強いアスピレーションをお持ちであることも、その研究会へのご尽力から強く感じた次第。
 
出る杭が打たれやすいこの日本で、起業家として活躍する人々が次々にたたかれ、ベンチャー業界全体が、停滞してきているように見受けられる。また、私のようなベンチャー業界に深く関わっているヘッドハンターの目からみても、優秀な人々のベンチャー業界への流入も、減少してきて潮流を明らかに感じている。
 
このような状況下だからこそ、一人でも多くのベンチャー経営者が、この資料を参考にされ、永続的に勝ち続けられるような強いベンチャー企業が、ひとつでも多くできれば、との想いから、この「秘伝のタレ」を世の中に発表されたのだと思う。
 
私は、数多くのベンチャー企業の経営チームづくりや、組織開発アドバイスをさせていただいているが、本書の
 
「7. 急成長ベンチャーの組織構築=事業計画を実行する筋肉作り」
 
「8. 社長自身の成長=事業計画を実行する牽引役」
 
の記載は、賛同する部分が非常に多く、示唆にとんだ内容であり、ぜひ経営者のみなさんにもお読みいただきたいと思う次第である。
 
***
 
この力作に、心から感謝し、多くのベンチャー経営者のみなさんに本書の存在をお知らせしようと思っている次第である。また、私がお手伝いさせていただいている、グロービス・キャピタル・パートナーズや、経営共創基盤でも、この資料を参考に勉強会などをしてみたいと、切に思っている次第である。
 
(株)プロノバ 代表取締役 岡島悦子
スバラシイ方々への取材機会
 
日経さんと、いつも私の取材原稿を書いてくださっているブリッジワークスさんからの依頼で、『ビジネスプロフェッショナルの仕事力』という本の監修を、お引き受けすることになり、先週からインタビューが始まった。
 
今回は、各界を代表するプロフェッショナル7名の方に、仕事力を高める情報の収集・分析(意味合い出し)・整理・発信・伝達に関する極意を伺うという企画。

『ビジネスプロフェッショナルの仕事力 』にご登場頂く方々(順不同)

田坂広志氏 シンクタンク・ソフィアバンク代表

冨山和彦氏 経営共創基盤代表取締役社長

石田淳氏 ウィルPMインターナショナル代表取締役社長

本田直之氏 レバレッジコンサルティング代表取締役社長

糸井重里氏 コピーライター

勝間和代氏 経済評論家、公認会計士

御立尚資氏 ボストン コンサルティング グループ 日本代表

と、多忙を極める本当にすばらしい方々が、取材を受けてくださるということで、心から感謝している。
 
私の役割=監修とは、お話をいただく方へのインタビュアーをし、それぞれのお話の要素が、現代のビジネスのプロにとって、なぜ重要な要素なのか、という意味合いを解説させていただく、という役割。
 
一流の方々の一流たる所以を引き出し、今、ビジネスのプロに求められる仕事力とは何か、を抽出していく作業を担当させていただく。その仕事力の中でも、特に「情報活用力」という切り口にフォーカスするという試みである。
 
ヘッドハンターとしても、スピードの速いこの時代に、情報活用力の差異が、個人の市場価値とどう関係しているのか、という観点でも考えてみたいと思う。一流の方々に取材させていただくことで、私自身も大いに参考にさせていただけると思い、今から楽しみ。
 
この本の持つ意味
 
ここにも登場していただく、友人の勝間和代ちゃんの『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』が、爆発的に売れていることを考えても、情報を使いこなす力量の向上への関心は高いようである。
 
言わずもがなではあるが、ネット環境の整備された現代の私たちの周囲には、情報があふれている。検索エンジンもどんどん高度化される中、どれだけの情報を知っているかの知識量での戦いは、既に終わっている。いかに限られた時間の中で、自分にとって必要な情報を効率的に収集し、そこから本当に「意味のあるチエ」に変換できるか、活用できるか、の活用力への戦いへのパラダイムシフトが起きている。
 
前々職のマッキンゼーでは、"Don't boil the ocean!(海を沸かすようなことをするな)"という表現が使われていた。これは、関連する情報も、必要そうな分析も、ものすごくたくさんあるが、それを全部やっていたのでは、海を蒸発させるくらい時間がかかってしまう。もっと賢く情報を選択して、賢く分析せよ、という意味。要は「時間との戦い」ということである。「情報の海に溺れてしまわずに、賢く泳ぎきれ!」ということだと、私は理解している。
 
ただ、上記の人選を拝見して、この本の本質は、いわゆるテクニック的な情報活用力という部分ではないと思っている。メディアの多様化、情報の個人発信の時代、といった流れのある中で、情報感度や発信力の高い方だけを、集めたのではない。
 
アプローチは違っても、「情報をチエに変えて、人々を動かしていくことのプロ中のプロ」が、この方たちなのではないか、という仮説を持っており、その意味で、いわゆるテクニック本とは一線を画す本ができるのではないかと、非常に楽しみに思っている次第。
 
5月末ごろには、書店に並ぶ予定、とのこと(がんばらねば・・・)。
 
ぜひご期待ください!
 
プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子
来年への決意

ダボス会議2008が閉幕した。昨年WEFからYoung Global Leadersに選出いただいたので、今年のダボス会議にも招待していただき、出席を予定していた。特に今年のテーマはinnovationということなので、楽しみにしていた

 
しかしながら、公私における事情からどうしても東京を離れられず、今年はキャンセルせざるを得なくなり、大変残念ながら、出席を見合わせた。事務局の方からは、ありがたくも「来年はぜひ」と言っていただいたので、WEFの活動にも貢献しつつ、ぜひ来年を楽しみにしたい。
 
私が心から尊敬する、ダボス会議の常連の石倉洋子教授が、今年のダボス会議の様子を克明に伝えてくださっている。昨年の大連で行われた夏ダボスには、私も参加したが、石倉さんのブログによれば「ダボスは(夏ダボスとは)格が違う」とのこと。
 
今年は、福田首相も環境サミットに向けて「クール・アース構想」について講演されたとのことで、日本からの参加者(特に政治家の方々)も多かったらしい。日本のメディアの注目度も高かったようである。
 
しかしながら、昨年の夏ダボスでも体感したが、日本への注目度は相対的に低く、”Japan Passing”からJapan Nothing”への潮流を止めきれていないようである。
 
ひとつには、このような国際会議などで、議論をまとめあげるDiscussion Leaderとしてのモデレーターやスピーカーとして活躍する日本人は、非常に少数であることがあげられるだろう。内閣特別顧問の黒川清氏や前述の石倉洋子氏は、いろいろなパネルで八面六臂の大活躍をされているが、人数としては極少数である。
 
私も日本では、数々のカンファレンスでのモデレーターや講演などをさせていただいているが、こうした国際会議で議論をリードしていくのとは、求められる力量のレベル感がまったく違う。
 
世界に発信できるだけのコンテンツを持つことは、勿論大事であるが、自分なりの視点を持つこと、議論をまとめ上げていくだけのコミュニケーション能力をあげることを、少しずつでも努力していきたい。
 
来年ダボス会議に参加できたとしても、初参加者として右往左往するだけになってしまいそうではあるが、「1問でもいいから良い質問をしてみる」などのチャレンジができるようになれるよう、鍛錬してみたいと思っている次第である。
 
㈱プロノバ 岡島悦子
p.s.
石倉先生、帰国されたら、お話聞かせてくださいね。
リーダーシップのクラスなどで、ケーススタディー型で講師をすることが多いが、最近その経験を通して痛感することがあったので、エントリーしておきたいと思う。
 
***
 
グロービスでは、Harvard Business School(HBS)で作られたケースの和訳版を利用していることが多い。当然、米国企業のケースが多く、登場人物もアメリカ人のケースが多い。
 
最近、受講生(それもいろいろなクラスの受講生)と話していてわかったことなのだが、どうやら、アメリカ人の名前というのは、なかなか覚えられないらしい。また、男性か女性かを名前から判断するのが結構難しいらしい。
 
例えば、「ドナ・ダビンスキーとアップルコンピューター社」という、リーダーシップのクラスでは古典とも言える代表的なケースがある。
 
ここで出てくる主人公のドナはハーバード出身の女性マネジャー。一方宿敵となるデビ・コールマンはスタンフォード出身のジェネラル・マネジャー。ドナは、デビ・コールマンがドナの担当領域である物流部門について「すばらしいプレゼンテーションの改革案を作成している」という噂に翻弄され、頑なに反論していく、という文脈がある。
 
ハーバードvsスタンフォード、女性どうしのライバル心、といった文脈が、ドナの心理状態を考える上で重要な要素となっている。ところが、何名もの受講生から「デビ・コールマンは、てっきり男性だと思っていました。」と言われて、びっくりした。
 
もちろん、男性か女性か、ということだけが、重要なケースファクトというわけではない。ただ、ことほどさように、ケースの文脈をアメリカ人同様に理解する、というのは、なかなか難しいことのようである。聞いてみると、ケースに出てくるような管理職的な人物は男性に違いない・・・という固定概念もあるらしい。
 
確かに、私も海外のミステリー小説などを読んでいて、登場人物がある一定数を超えると、「あれ、これ誰だっけ?」とわからなくなり、カバーのところ書いてある登場人物説明などを何度も見返してしまったりするわけで、一方的に受講生をせめられる類の話しではない。
 
一方で、ケース・スタディーの学びを成功させるためには、「その状況に自分がおかれたら、どのように意思決定し、どのように行動するかを、どのくらい当事者意識を持って具体的に考えられるか」にかかっている。したがって「当事者意識を持てるか」「ケースの主人公にどのくらい感情移入できるか」は、学びの歩留まりのためにも、非常に重要な要素になるわけである。
 
***
 
ということで、最近私が試してみて、成功率が高いなぁと思っているのが、イメージ写真を入れた組織図を作成して見せる方法。リーダーシップの授業の場合には、マネジメント・レベルが異なる登場人物が複数登場することが多い。プロジェクト・チームにおけるリーダーシップのケースなど、プロジェクト・メンバーが多く、なおさらである。
 
勿論、先のケースで言えば、スティーブ・ジョブスなど現在も活躍している人物の写真も使えるわけだが(肖像権の問題もあると思うので、あくまでも「教育目的」ということで、配布資料には使わず、パワーポイントで見せるのみ)、通常、パワーポイントのクリップ・アートから、年齢や文脈に合うような写真を見つけ、組織図上に貼り付け、クラスで使うようにしている。
 
特に、外国人の写真が多いので、米国版のMS Office Onlineのクリップアートを愛用している。写真収集マニアのように、いろいろな写真をダウンロードして切り張りしているので、時々横で見ているうちの夫にも「よくやるよね~」と、半ばあきれられている感じ。
 
 
とはいえ、この効用は非常に大きい。文字によるテキストに加え、写真を見ることで、TVや映画で見るのと同様、人の顔が結構記憶に焼き付けられやすいようである。いろいろなケースで試してみているが、明らかにクラスの中での登場人物の記憶浸透度が高くなっており、より当事者意識を持った発言が出やすくなっていることを実感する。
 
この体験を通じて痛感するのは、記憶や学びにおける「視覚」の持つパワーの重要性。文字というテキストで長く説明しなければわからないことを、映像は短時間で伝えてくれる。もちろん「見たもの以上にイメージを膨らますことができない」といった副作用はあるのだと思うし、文学を味わう時には、そういった想像を膨らますことにこそ、醍醐味があるというのも理解できる。
 
ただ、授業やプレゼンテーション、といった場で限られた時間で何かを伝えなければならなかったり、共有しなければならかったりする場合、映像・視覚に訴える、というコミュニケーション手法の強さを、再認識した次第。
そういえば、最近、企業のプレゼンテーションなどでも、自社製品のデモ・ビデオを流す企業などが益々増えている。そして、デモのつくりかたも益々洗練されてきていると思われる。通信環境などのインフラがますます整備されていることも、要因のひとつだと思うが、どんどん洗練されるデモなどを見ていると、映像が短時間で与えるインパクト、をひしひしと感じる次第。
 
***
 
私がよく使っている言葉の中に、「人はイメージできないと、行動できない」というものと、「コミュニケーションは受け手が決める(伝え手の意図にかかわらず、受け手に正確に伝わらなければコミュニケーションとしては意味がない、という意味)」というものがある。
 
受け手が共有イメージを持ちやすい「視覚」というコミュニケーション。人々が多忙になり、また人々のバックグラウンドも多様化する中で、共有イメージを持ちやすい「視覚」というコミュニケーション方法は、今後ますます重要な価値を持ってくるに違いないと思っている。伝えたいことを視覚的にどうコミュニケーションすべきか、ということを益々真剣に考えたい、と思った次第である。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

今回のIVSの中で、個人的に最も興味深かったセッションが↓のパネル。

13:30-14:30 Session 6-A: Creative Ventures – 創造型企業の挑戦

(Speaker)

* takram design engineering 代表取締役 田川 欣哉 氏
* チームラボ株式会社 代表取締役社長 猪子 寿之 氏
* 株式会社ユビキタスエンターテインメント 代表取締役社長 清水 亮 氏

(Moderator)

* ケイ・アンド・カンパニーLLP 代表パートナー 小林 雅 氏

innovativeな事例の紹介innovationが生まれ続けるためにしていること(環境・しくみなど)」について、各社からプレゼンという形式だった。
 
何が興味深かったのかというと、日本にこんなにもエッジのたった才能あふれる人たちがい、という事実。そして、自分たちの才能を最大限にレバレッジできる「スタイル」を貫き通している、という事実。
 
***
 

タクラムの田川さんは、よくご一緒させていただいており、代官山サロンにもプロノバのオフィスにも来ていただいている。お目にかかる度に、その才能の凄さと先見性に感動し、触発される。

 

今回のプレゼンの中にも出てきたが、現在ミッドタウンの21_21 Design Sightで開催されているwaterへの出品作品を先日見て、またまた感動。水を「可視化」「可聴化」するというコンセプトにチャレンジし、それを見事に具現化しておられる。コンセプトをつくりだす能力も、それを具現化する能力もすばらしい(1月14日まで開催中なので、ご興味ある方はぜひ!)
 
チームラボの猪子さんは、ユニークな方だというのは存じ上げていたが、事例説明などを伺うのは始めてだった。auデザイン携帯のコンセプトの根底に流れるもの
 
(=「本来の目的でやっていることで別の価値をつくる」⇒「行為そのものを楽しめるものにする」)
 
の説明を伺い、テクノロジー+アートと言っておられることを始めてきちんと理解することができたような気がする。
 
「やばい、すごい」と思われるようなアートや製品を作っておられる訳だが、人の集め方もマネージの仕方も面白い。「普通の人がチームでやって成長できるっていうのが好きなんですよ」とサラッと言ってのける。このスタイルを貫き通していけるのではないかと思わせる。
 
そして今回、初めてお目にかかって本当にびっくりしたのが、UEIの清水さん。いやー、この方、本当に突き抜けている。とことんゼロベース思考でやっているんだなぁという感じ。ニコニコ動画の発想の仕方にしても、人の集め方にしても・・・。
 
特に人の集め方で面白いと思ったのは、GEのcollected genious companyにならい「とにかく天才を集める」方法。「120以上のIQで、科学を愛し、人間を愛せる人」が入社の条件で、社員全員を毎月テストしているらしい。会社で学んだこともどんどん本にして「自分の名前で」出せ、など、究極のオープン・プラットフォーム型の会社にしているらしい。
 
***
 
私はデザインエンジニアリングやアートや技術のプロではないので、その部分では語れないが、「人の目利き」のプロとして、非常にワクワクする3人である。「自分の好きなことをしてインパクトを出すために、徹底的に自分らしいスタイルにこだわる」がキーワードであるように思う。とかく周囲には「ダメだし」をする人が多いが、事例による説得力によって「いつのまにか周囲を巻き込んで味方にしている」的な先天的なチャーミングさ、をもっているような気がする。
 
規模を追求するという意味ではなく、グローバルの壁に風穴をあけるインパクト=無限大の成長の可能性を秘める、という意味で、まさにInfinityの名にふさわしい3社3名だった。
 
これからも、こういう「すごい人」に多くあっていけたら本当にスバラシイ、と心から思った次第。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

先週になるが、グロービス(GCP)を卒業・独立した小林雅さんがAdobeの田中章雄さんと新しく立ち上げたIVS(Infinity Venture Summit)に先週参加した。

 IT業界の経営者が約300人が集結。以前のNILS(New Industry Leaders Summitよりも、若干だが年齢層が若返っているのが特徴のように思える。

NILSでは、創設以来過去6回、企画メンバーをしていたため、パネルの企画から参加していたが、今回はモデレーターということで、小林さんから依頼のあった経営パネル↓「成長の壁」というパネルのモデレーターを担当。NILSの経営パネルでもお馴染の論客。

15:15-16:30 Session 2-B: 成長の壁

(Speaker)
* 株式会社オプト代表取締役CEO 海老根智仁 氏
* 株式会社オールアバウト 代表取締役社長兼CEO 江幡哲也 氏
* 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン 代表取締役社長CEO 石坂信也 氏

経営関連のパネルについては、経営者のみのカンファレンスであるという場を最大限に活かして相互の学びの場とする、という趣旨から、失敗も成功もなるべく具体的事例で議論する、ということでお願いしているため、基本的にオフレコ
 
そのほうが、机上の空論でなく「で、現実問題はどうなの?」といったことをお互いに聞ける場になるからである。
 
ただ、いつも難しいなぁと思うは、分科会形式だとはいえ100人以上の経営者でこういったテーマを「みんなで考える方式」にするのは、本当に難しい。お互いの立ち位置もよくわかっている経営者だとしても、徹底的に議論するならば30人くらいが最大の人数かな、などと思った次第。
 
「成長の壁」というお題をいただき、IVSのInfinity(無限大)とういことを考慮した時に、以下のようなことを考えた。
  1. Googleなどを輩出した米国に比べ、日本のベンチャー企業はメガベンチャーになりにくいといわれているが、どうしたら「成長の壁」を超えてメガベンチャーを目指せる
  2.  IPOを後も次々に現れる「成長の壁」を常に超えて「勝利し続ける」ためには、どのような戦略・組織メカニズム・リーダーシップが必要なのか

討議の内容については、上述のようにオフレコなので割愛するが、すばらしいスピーカーである3名の経営者の方々はそれぞれ、長期的に企業が収益の柱を次々と生み出していけるよう、以下のようなことを励行しておられることを、事例ベースで共有していただいた。

  • 長期的な仕込みも行うことを投資家にも納得してもらえるような明確な説明と信頼感の獲得
  • 強い人材を創り出すしくみ
  • そのような人材をひきつけ続けるような組織文化の醸成と理念の反復的な浸透
  • 勝ち続けるための経営者自身のリーダーシップ磨き
非常に難しいテーマだったが、示唆に富んだお話しをいろいろ伺え、また参加者の皆さんからも、活発に意義深い質問をいただいた。 最後になりましたが、パネリストの皆様、難解なパネルに真摯に対応していただき、本当にありがとうございました。
 
プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子

私の実家=岡島家は、50年前、日本で初めてAFSプログラムでアメリカ人高校生の交換留学生のホームステイを受け入れたホストファミリーである。

 1954年、AFS日本人一期生として8名の日本人高校生が米国留学。

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(AFSホームページ:「AFS日本協会のあゆみ」より)

この日本人留学生達が「ぜひこの体験を多くの人に広めたい」とAFS日本支部を設立。1957年に、はじめてアメリカ人高校生9人を、日本人家庭が受け入れることとなる。当時は、飛行機ではなく、2週間かけて、船で横浜港まで来たとのこと。

 それから、50年・・・。

 ***

 ということで、AFS受入れ50周年を記念して、本日、この高校生だったアメリカ人留学生の第一期生とご家族、ホストファミリー、上記の写真にいらっしゃる日本人留学生の第一期生が一同に会するレセプションが開催された。

我が家にホームステイしていたMr. Peter Bellと奥様も来日され出席されるとのことで、父とともに出席した。当時受け入れた祖父母も叔父二人も既に他界してしまっており、当時のピーターさんを知っているのは父のみとなっている。

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(左から、私、Peter Bell、父、Karen Bell)
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(上の白黒写真の日本人第一期生の皆様)

 

 

 

 

 

ピーターさんの私への影響

 私が生まれたのは、ピーターさんの来日から約10年後。実は、ピーターさん夫妻にお目にかかるのはこれが初めてだった。だが、物心ついてからというもの、折に触れ祖母や父から、ピーターさんが一緒に住んでいた時の話しを聞いていた。

 

しかも、彼の日本滞在時の日記は、アメリカで出版され、小さい時からその写真を見たり、後に英語で読んでみたりした。現代であれば、ブログに書くといったところだろう。当時高校生だった父はRとLの発音ができないとか(まあ、当たり前だが・・・)、お手伝いのハルさんは働きものだがピーターさんに話かけられると耳まで赤くなっていたとか・・・。

 私の祖父は英語が堪能だったが、祖母は殆ど英語は話せなかったらしい。ただ、彼女は凛としたザ・日本人であり趣味人であったため、常に和服を着て、お茶、お花、習字、日本画、鎌倉彫、佐賀錦(和刺繍)、日本料理、など日本文化の良さを伝えた。

その上、ピーターさんに、「あなたは、こうやって縁あって日本との架け橋として選ばれたのだから、世界のために貢献するのがあなたの使命である」と切々と話ししていたらしい。また祖母は肉親を長崎の原爆で亡くしており、その原体験を通じて、ピーターさんには世界平和に貢献して欲しい、といったようなことを伝えたらしい。祖母は、当時の日本人女性には珍しい、非常に主張が明確な人であった。ピーターさんいわく、彼女の発言は、その後のピーターさんの人生にも大きな影響を与えたらしい。

コミュニケーションは、言語能力の高さも重要だが、それ以上に、伝えようとする意思とコンテンツがより重要だと感じさせられる実話である。

その後、ピーターさんはエール大学・プリンストンの大学院で国際関係を専攻し、フォード財団で南米等で活躍、カーター政権下では高官としてインドシナ難民問題の解決、世界最大の国際協力NGOであるCAREの代表を長年勤めて来られた。祖母の影響がどれくらいあったかは別として、開発途上国の人権問題、飢餓救済、紛争解決に大きな貢献をされてこられたとのこと。

残念ながら、ピーターさんがこうした世界的な活躍をされていた時代には、私はなかなかお目にかかることはできなかったわけではあるが、子供心に、「何だかウチの家は、世界と繋がっているらしい・・・」と誇らしく思っていた(今思えば、勝手な妄想であるが・・・)。思えば、こうした勝手な妄想が原動力となって、「いつか海外で勉強したい」「いつか海外で活躍したい」という思いに繋がったような気がしている。

その夢のひとつがかない、私がHarvard Business Schoolに入学した時には、この気丈な祖母はもう他界していたが、代わりにピーターさん夫妻は自分の子供のことのように喜んでくれ、私の卒業式にも来たいと言ってくださったくらいである。

***

人の縁とは、本当に不思議なものである。日本と米国という遠い二つの国にいる二つの家族が、縁あって出会い、50年の時間の流れの中で、相互に影響しあう・・・。50年の時を経て、初めて会った子孫でさえも、お互いをextended familyのように感じられる・・・。

私がglobalとかleadershipという概念にワクワクするルーツは、こういった縁に支えられたものではないかな、ということを強く感じたステキな一夜だった。

 

久しぶりに、祖父母に感謝。

㈱プロノバ 代表取締役 岡島悦子

株式会社プロノバ(しつこいですが「プロの場」の意味です)を立ち上げたものの、グロービスと経営共創基盤で「ばっちり」お仕事させていただいているため、オフィスの必要性を感じていなかったのですが・・・

 「代官山サロン*」で一緒にブレストさせていただいている仲間のみなさまから「早くサロンをつくれ~」との厳しい「突っ込み」の声援をいただいておりました。

*代官山サロン:岡島悦子主催のブレスト目的イベント。不定期開催。

 毎回ビジネスアイディアやビジネスプランの持込みがあり、そのブレストに最適と思われるプロを岡島が厳選し、最大8名でブレストを行う勉強会のようなもの。様々な視点を持ったプロが集まるので3時間くらいで、かなり内容の濃いアウトプットが創出される。

ということで、自宅から徒歩3分の所に、ちょっとサロンっぽい小さな仕事場を借りることとしました。実はこの物件、ナント築50年。外見は非常に味わい深く、中身はリノベーションで有名なブルースタジオさんがリノベーションしたばかりのちょっとステキな物件。
 
「早く肝心の代官山サロンをやれ〜」というお叱りの声もあるものの、まずは内輪向けにオフィス開きをやらせていただかなければ・・・と思っていたのですが、相変わらずの自転車操業的な忙しさにかまけてしまっておりました。
 
と、そんな所へ、非常に仲の良い経営者の方々から、本日、ステキな観葉植物とゴージャスなフラワーアレンジメントが届きました!こんなチンマリしたオフィスというか事務所なのに(これがサロン???って言われたらどうしよう・・・)、過分にお心遣いいただいて本当に申し訳ない・・・と思いつつ、あまりにステキだったので、感激。あまりに嬉しかったので、写真を公開させていただきます。
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P&A社長の吉田敬さん(元楽天常務執行役員)、GABA COOの須原清貴さん、PEファンド The Carlyle Group のManaging Director 朝倉陽保さん、同Dirctorの吉崎浩一郎さん、グリー社長の田中良和さん、同副社長の山岸広太郎さん、本当にありがとうございました。
 
なるべく早くオープンオフィス企画を実行できるように頑張ります。うっっっ、代官山サロンも早めに開催いたします・・・
 
㈱プロノバ 代表取締役 岡島悦子

大連の夏ダボス会議で久しぶりにグローバルの洗礼を受けてから、何かと「グローバリゼーション」というキーワードに、今まで以上にアンテナがピクピクする。何だか「グローバル」ということに関連した仕事もここの所、急増。

 
実は私、中国人、インド人、ロシア人、ブラジル人の友人はいるものの、世界30カ国にも行ったことがあるのに、恥ずかしながら今回の大連が、中国初デビュー(除く香港。ちなみに私は台湾育ち)。それどころか、BRICs初デビューだった私。
 
言い古されたことではあるが、やっぱり百聞は一見にしかず、ってことで、大連では中国パワーのすごさを痛感した。経営者や学者の中には、海亀(欧米からの帰国子女)が多いということもあるだろうが、商品やサービスが最初から「世界を目指す」視点を持っているものが多く、世界観の持ち方の違いを見せ付けられる。
 
ということで、遅ればせながら、いろいろな角度から、中国やインドについて、catch upしなければ・・・と思っていた次第。
 
「取締役・常務・専務 島耕作」
 
話は変わるが、親しい友人の中では、よく知られた話であるが、私は「お一人様(おひとりさま)」が、非常に苦手。一人で映画、外食、旅行、など殆どできない。まあ、究極のさびしんぼ&自意識過剰か・・・。ということで、家族・友人は、バディーを求めた私の被害者になりやすい(みなさま、いつもありがとうございます!)。そんな中、いくつか自分ひとりでできる気分転換のひとつが「漫画の大人買い、イッキ読み」。
 
その「お一人様時間」が、少しだけまとまってできたため、「取締役 島耕作」を大人買いして読むこととした。ナント、私が知らないうちに、島耕作氏は初芝電産の「専務」にまで上り詰めていた。まずは、平取から読み進めて、追いつかなければ・・・。
 
島耕作の読者の方はご存知だと思うが、取締役となった彼は、中国・上海に赴任する。上海初芝の董事長としての実績が認められ、北京・上海を中心とする全中国担当の常務となり、加えてインドもカバーするようになり、とうとう専務として中国・インド・アメリカを担当する。
 
もちろん、ストーリーはフィクションであるが、筆者の弘兼氏の丹念な取材の賜物であろうディテールが、非常にリアルである。
 
中国における知財の問題、反日感情の問題、中国企業との合弁経営の難しさ、インドセレブ、カースト制度、等の様々なイシューが散りばめられている。北京、上海、中関村ハイテクパーク、蘇州工業団地、西安、ムンバイ、コルカタ(カルカッタ)、ベンガルール(バンガロール)、バナーラス、と様々な地域でビジネス上の事件がおこる(お約束の女性問題も・・・)。これらの事件を通して、その地に生きる人々が生き生きと描かれており、彼らがそう行動する歴史的背景などが浮かびあがってくる。
 
ケーススタディーのようにリアルに描かれている分、単なる知識として学ぶ、というよりは、文脈を感じ取りながら、マメ知識的なことも学べる、という意味で、中国・インドの素人である私にも、非常にとっつきやすい内容であった。どこから手をつけたらいいのかなぁ、といった人には、オススメとも言えるかもしれない。
 
もちろん、内容的にはフィクションであるので、自分自身でも勉強したり、実際に現地に行って体感したり、ということで、中国・インドへの見聞を深めていきたいとは思っているが、その「きっかけ」づくり、という意味では、予想外に収穫の多い「お一人様経験」であった。
 
まあ、また周囲の人々(ウチの夫など)は、岡島に「島耕作の中国・インドはいいよ〜」と宣伝されまくられ、読まされる被害にあっている今日この頃となっている次第。やっぱりお一人様は、とことん苦手なのである。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
11月に第二回目のSILC(Service Industry Leaders Conference)が開催されるが、そこで「国境を越えるサービス」というテーマでのパネルディスカッションのモデレーターを担当する。(昨年開催の第一回の模様はこちら)
 
このパネリストとして、公文教育研究会 取締役社長室長 石川 博史氏にご登壇いただくので、事前取材ということでお話を伺いに行った。私が関心を持っている、グローバリゼーション×リーダーシップという観点からも、非常に示唆に富んだお話を伺うことができたので、エントリーしておきたいと思う。
 
***
 
グローバル展開する公文式
 
良い商品が世界で受け入れられる(国境を越える)のは難しいと思うのだが、人の生活習慣や嗜好に深くかかわる「サービス」が国境を越えるのは、より難しいといわれている。
 
ましてや、文化や人の価値観というものに非常に密接に係わる「教育」の分野であれば、なおさらであろう。
 
このような領域にあって、公文式は、まさに「国境を越えるサービス」を提供し、日本を含む世界45の国と地域で400万人超に教育サービスを提供しているという。

<国内>
教室数:1万7,600教室
指導者数:1万5,200人
学習者数:148万人

<海外>
教室数:7,800教室
学習者数:264万人

<普及地域>
世界45の国と地域(日本含む)
(2007年3月末現在)

(出典:公文教育研究会HPより)

教育に対する社会・親の考え方の違い
 
いきなり自分の話で恐縮だが、実はHBS時代、「公文式の米国進出の難しさ」というケースが、Service Managementのクラスの試験の課題だったことがある。5年以上前の話なのでうろ覚えではあるが、その中にこんな話があった。
 
「アメリカ人は、学校が休みのシーズンでなくても、親の休暇にあわせて長期間、子供に学校を休ませてしまうことがままある。こうすると必然的に公文式の教室も長期に休ませてしまうこととなる。この結果として、子供が教室に習慣的にやってくるモメンタムを失ってしまい、日本の公文式に比べ、途中解約の件数が格段に多い」
 
取材で伺った際にも、このような「各国における親の教育観の違い」によるご苦労の事例も数々伺った。夏休みには長い休暇をとり、その間は勉強なんて「もってのほか」、という国もあれば、長い休みの時にのみ集中して勉強させたい、という国もあるとのこと。このような各国でのチャレンジについては、木下玲子氏著の「寺子屋グローバリゼーション」に詳しく記載されているとのこと。
 
公文式国際化の成功要因
 
パネルディスカッションの前に、あまりここでネタバレさせてしまってはいけないとは思うのだが・・・。お話を伺って、成功要因の肝と思われることが2つほど心に残ったので、記しておきたい。
 
1)「目の前の子どものために、自分は何をすべきか」という価値観の共有・浸透
 
ご存知の通り、公文式は公文式の創業者である公文公(くもんとおる)氏がその長男のために考案した算数の自習教材が原点。長男の毅氏は、小学校6年生の時には高校2年生レベルの微分・積分を修了するまでにいたったとのこと(私なんて、いまだに微分・積分がどんなものかもあまりピンと来ていなくって、さっきこっそり夫に教えてもらいました・・・)
 
50年以上たった今でも、すべてがこの方式。すなわち、どのレベルでもどの国でも、指導者と学習者は、あたかも親子のような関係。すべての指導者は何か壁にぶつかったら「目の前の子供のためにはどうしたらいいのか」を考える、というのが基本行動として徹底されている。
 
サービスマネジメントの基本は、企業のビジョン・ミッションが明確で、現場で働く従業員にそれが浸透しており、従業員満足度が高くなり、顧客満足度が高くなる、という所謂サービスプロフィット・チェーンといわれる一連の流れが一貫していることである。公文式の場合には、「目の前の子供のため」と思える指導者たちが寺子屋方式で子供達に対面している。そもそも「目の前の子供の成長のために寄与したい」という人々が(どちらかというと自ら志願してきて)指導者をやっている、という所が、強い共通の価値観の源となっている。サービス・プロフィットチェーンが成功している典型的な事例と言えるだろう。
 
これは、受験に勝てる子供をつくる、というのではなく、「”読み書き計算(そろばん)”的な子供の基礎能力を強くすることに寄与したい」という人間の根源的なモチベーションに働きかけるような価値観を「よりどころ」としているからこそ、公文式は国境を越えることができた、というのが一番の肝なのだと、お話を伺って思った次第である。
 
もちろん、「公文式学習法」 の普遍的な競争力、先にのべたような「教育に対する価値観問題」を解決するための手段や、指導者の方々を集めた世界的な勉強会などの「コミュニティー」をつくっていく取り組みなど、いろいろな創意工夫ののしくみにも、グローバルでサービスを展開する企業に参考になることは沢山あるのだと思うが、言うのは簡単だが実行するのは大変難しいと思われる「サービス提供者が、心からビジョン・ミッションを体現している」という所が、公文式グローバライゼーションのKSFだと思う次第である。
 
2)カリスマ経営者からの継承
 
グローバリゼーション、というお題とは、少し違うイシューではあるのだが、もうひとつ興味深い、と思った点は、カリスマ経営者からの脱却、ピンチをチャンスに変えて来られた企業、という点である。
 
同社は、95年に創業者である公文公氏、97年にご長男の公文毅氏がご逝去される、という局面を経ておられる。強い創業者が、歩くDNAとして価値観の象徴となっている企業では、創業者が経営者でなくなった途端、求心力が失われる、というケースは非常に多い。
 
もちろん、公文の場合にも、事業継承の危機はあったのかもしれないが、その後、価値観の共有、言語化、浸透、に着手され、従来以上にグローバリゼーションも含め成長を加速化されている。
 
上記1)のポイントが、創業者が経営者でなくなった後も、強く継承されているわけであり、これがまた、グローバリゼーションを牽引する礎ともなっていると思われる。グローバリゼーションも進む中、経営者継承をどのように行いつつ、価値観の求心力を担保するのか、という点も非常に興味深い点であり、ぜひパネルディスカッションの中で深堀させていただきたいと思っている。
 
***
 
数学先進国として名高い、計算の本家本元の「インド」にすら受け入れられる公文式。パネルディスカッションでは、具体的な事例などについて、大いに伺ってみたいと思って、大変楽しみにしている次第である。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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