本日、グロービス経営大学院東京校の卒業式で、271名がMBAを修了。講師を代表した数名としてスピーチさせていただいた「贈る言葉」をブログにもアップします。

(レセプションでは持ち時間3分なので、エッセンスしかお話できていないため、全文は以下をご参照ください!)

毎年させていただいている「自由」の話の2015年バージョンです。

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皆さん、ご卒業おめでとうございます。今年は東京校のGMBA生271人がご卒業とのこと。リーダーシップ科目など多数のコースをお教えしているので、7割くらいの方にお教えしたことがあるようです。本当におめでとうございます。

卒業にあたり「自由」ということについて、お話したいと思います。キーワードは3つ「くじ、とも、くせ」。キーワードは2015年バージョンです(ちなみに2014年は「くじ、いぬ、あめ」)。

グロービスでは自分の使命である「志」について考え、卒業にあたっては、志の表明をされたと思います。表明された志が、固まっている、という方も、まだ暫定である、という方も、いらっしゃると思います。

そこで思い浮かべていただきたいのは「自由」ということです。自由とは、わがまま、好き勝手、という意味ではなく、仏教用語で言うところの「自らに由る(おのずからによる)」という意味の言葉です。ユダヤ教では、死ぬ前に必ず「お前はお前であったか?」という問いが立てられるそうです。

自由とは「自分の使命を見つけ、自分らしいスタイルで問題解決をする人生を、自らの意志で歩む」ということではないかと私は解釈しています。人が決めた人生、人に認められるための人生ではなく、「自分がワクワクするフィールドで課題解決をし、活躍し、価値を創る=自由」ではないかと思うのです。

職業寿命が50年もある今の時代、この「自由」を見つけられるかは人生の豊かさ、充実度を考えた時に、非常に重要になると思います。

この「自由」を勝ち取るための皆さんへのキーワードを3つ。「くじ、とも、くせ」です。「キジ、犬、猿」ではありません(笑)。

まずは「くじ」ーこれは「宝くじ」のこと。「買わない宝くじは当らない」

この2年間のMBA生活での皆さんの最大の学びとは「己を知る」ことだったのではないかと思います。志の醸成や発見はもちろん、自分の能力の客観把握、学習方法、得意な役割、価値観、などクラス内外での被我の比較と内省によって、自己把握ができたはず。ここからは学びを実行する、というステージです。

そのためには、とにかく「打席に立つ」ことが重要。リスクを取り、実行する中でしか、本当の「自由=使命」は見えてきません。転職や起業だけを進めているのではありません。大企業の中での変革、それも大きな話でなくとも、自分の立つ現場でリーダーシップを発揮する=宝くじを買う行動を起こす、ということが重要です。

加えて、「自分の志、自由が何か」ということは、まず何かの宝くじを買って、実行して見る事で初めて見えてくるものかもしれません。私の場合にも、ジャングルジムのように、一見違う方向へと登ってみる行動の結果が、今に繋がっています。キャリアドリフト、Planned Happenstanceのように、変化の速いこの時代、打席に立つことによって初めて遭遇するセレンディピティも多く、そこから想定外の「志」(今は暫定の志の人も)に巡り会える人も多いはずです。

ここで重要になってくるのが「機会開発」=活躍の機会を作る能動的努力です。ここからの皆さんは、能力開発だけでなく、この機会開発=社内外での自身のマーケティング活動によって機会に「想起される」ための努力が、打席数に関係してきます(詳しくは、拙著『人脈力』をご参照ください...笑)。

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次に「とも」ですが、これは「友であり□、お供」のこと。フォロワーやスポンサーのことを指しています。

変化が速く、課題が複雑な今日、課題は一人では解けず、桃太郎の「キジ、犬、猿」のような仲間が必要です。皆さんは、この2年間の多くのグループワークなどで、自分はどんな人と組んだら力を発揮できるのか、見えてきた人も多いのではないでしょうか。

フォロワーがワクワクしてついてきてくれるための「きびだんご」は何か、を洞察し、共感を得る、心のスイッチを入れるためのメッセージが必要になります。ここで語る「成し遂げたいビジョン」は、表層的なストーリーではフォロワーは作れません。自分のリアルな原体験に結びついた、共感を得られるストーリーが必要になります。

しかも、実行のタイミングも重要。くれぐれも間違ったタイミングに一人で竹槍で刺しに行き、犬死にすることのないように。結果を出すためには「しなやかさとしたたかさ」が重要です。

また、皆さんがこれから「自由」を獲得する旅に出るにあたっては、自分を刺激し、気づかせ、機会を提供し合い、引き上げあっていく「仲間」として、メンターやフォロワーの「とも」を意識的に作っていくこともここでは必要になるかと思います。

加えて、今、特に注目されているのは、スポンサー。上記に挙げた「機会開発」のために自分を打席に立たせてくれるようなスポンサーを、どのように巻き込んでいくのかの「したたかな」戦略も重要になります。

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最後に「癖」です。

ここでは「自分に最適な努力方法をいかに見つけられるか」。生涯学習的な努力を「努力」と思わずに済むような「習慣」「癖」のレベルにまで挙げていける「方法」を見つけよう、ということです。

年間200人くらいの経営者のご相談にのっていますが、良いリーダーは「努力し続けられる能力」と「自分に適した努力方法」を確立しています。皆さんには、ぜひ、これを見つけていただきたいと思います。

例えば、学長の堀さんは、この10年間ほどで、ダボス会議などの世界レベルの会議でファシリテーションやスピーチされるほど、英語に磨きをかけていらっしゃいます。堀さんは、英語力のブラッシュアップのために独自の努力方法を確立されています。が、これは万人に効く方法でもないはず。

英語でもダイエットでもスポーツでもそうだと思いますが「持続的に努力できる」方法は、人によって差異があります。脳科学的にみても、学習方法の適性は、人によって異なります(大きく3種類くらいに分類されます)。

この「自分にとって、努力しつ続けられる方法」を確立し、無理なく「やり続ける」、「生活環境にまで埋め込んでしまう」「生活習慣=癖のレベルにまでしてしまう」ことが、長期間でみると大きな差異を生んできているようです。

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以上が、沢山のリーダーと自分自身の経験から、「皆さんが自由を勝ち取る旅」に必要なキーワードではないかと思っていることです。

自分らしいスタイルで、自分のワクワクするフィールドで、仲間とともに「共創」する「自由共創」。この自由共創の実現に向かって、皆さんが活躍し、世界で多くの問題が解決されていくことを心から楽しみにしています。

一緒に頑張る仲間が271人も輩出されたとのこと、本当に嬉しいです。心から応援していますし、私も皆さんと共創の機会を得られれば、と思っています。

本日は本当におめでとうございます!

グロービス経営大学院教授岡島 悦子

「気合と根性の足りない部下が多くて」と仰る某経営者。確かに、激しい戦いを勝ち抜くには、気力も体力も胆力も本当に大事だと思います。

ただ、不感症で消耗しない人しか選べないとしたら、それは「昭和のマネジメント」すぎる、という気がします。それではワンパターンすぎるし、属人的すぎる。むしろ、共感と育みのリーダーシップが求められる今の時代には、「ポテンシャル能力があるかも」という人材を抜擢し、適度に負荷をかけ、ビジネスの心肺機能を向上させる機会を提供するべきだと思います。

負荷をかけられた、そのお稽古場でこそ、「自分の心と体の限界に気づく技術」「素早く充電する自分なりのいくつかの方法」「自分以外の人やツールで補完する方法」が習得できるもの。そういう「技術」を持ったリーダーは、自身の成功の再現性も、心と体の弱い(かもしれない)部下の強化育成の再現性も高いです。

「心も体も強い状態をキープできるリーダー」を、偶然ではなく必然的に輩出するには、属人に頼るのではなく、組織的に育む「技術」が必要なんですよね。

抜擢プログラムで半年間育成支援させていただいた、某社の24人の女性メンバーの方々から、感謝のラブレターとも言えるような感涙もののアンケートをいただきました。

何より嬉しいのは、半年前と比べて、みんな「今と未来の自分を信じる力」が格段に強くなったこと。失敗したくない優等生的ふるまいや、正体不明の不安からも解き放たれて、リミッターが外れた感じ。自分の可能性に蓋をして先延ばしにしてきたことに挑戦してみて、やればできる自分を確信し、チャレンジすることが楽しくなってきたようです。

プロジェクトが佳境な方も、ワーキングマザーも、臨月の方も、地方から毎月通ってきていた方も、みんな言い訳せずにやり抜いたことで、ビジネスの心肺機能と意識と視点がぐっと上がった印象です。

これまで約5000人の女性たちとワークショップをやらせていただいた経験から見ると、女性の場合、ライフイベントが短期間に目白押しで、選択肢が多すぎるから、不安の先取りで悩んでいる人が多いような気がします。選んだ選択肢がベストだったと思いたいのはあたりまえ。でも、本当は、その人にとってベストな選択肢は「みんな違ってみんないい」んだと思います。

今回の彼女たちをみていると「今の自分が好きという健全な心理状態の中で、好きな選択肢を選んだ」と言えるかどうか、そういう自由を手にできているかどうか、が重要な気がします。消去法や安全策の選択肢ではなく、自分が好きな選択肢。

「”女性たちよ、輝け、輝け”、って外野がうるさい」という声もよく聞くききますが、今回彼女たちが手にしたものは「自らの輝きを自らが規定できる自由」なのではないか、と思った次第。一緒に走る仲間の姿から、違う選択肢への受容性と尊敬もぐっと高まった、という点も、本当にすばらしかったなぁ。講師冥利です。

経営トップが「自社の成人病の自覚症状」がなく「ウチはできています」と仰るが、現場からは違う客観評価が聞こえてくるケース、というのがよくある。

実際、中間管理職や現場の方々とのワークショップなどを見た経営陣が愕然とする場面にもよく遭遇する。言葉の定義が曖昧で、経営陣と現場の「成功のイメージ」が揃っていないか、制度導入だけで運用が伴っていない(制度>文化)か、という場合が多い。

経営トップが「変革の必要性」を感じて、変革にコミットされている場合はいい。だが「現場やプロジェクト事務局>経営者」という場合は、経営トップにも分かるように自覚症状を引き出すための「解凍フェーズ」への労力が大きすぎる。

そういうケースでは、静かにその場を立ち去らせていただくという消極的関与になってしまうことが多い。数年後に、ようやく自覚症状に気付いた経営トップから慌てて呼び戻されること、これまた「あるある」系なんですけれどもね…

「『覚悟』のない奴に機会はやれない」という経営者は多い。

だが、経験や自信がないから、未知のものに挑戦する「覚悟」が持てない人は多い。覚悟を問う前に、ポテンシャルを信じて「期待」を示すことで背中を押してあげる誰かが物凄く重要、というあたりまえが欠落しているケースが多い。

リーダーシップのワークショップを多産してわかってきたのは、最初の「覚悟」の踏み絵によって、多くの人材の「潜在能力の可能性」の機会損失が生まれている、ということ。結果として「自分を過大評価しやすいタイプ」しか残らないというモノカルチャーになっている組織も散見される。

最初は誰しも「おだてられて木に登った経験」を何らか持っているんじゃないかなとも思う。「期待」を示すのが上手いリーダーのもとに、大化けする人材がたくさん輩出されているのを見て、これって「偶然じゃなく必然だな」と思う次第です。

年末年始の長いお休み後、2015年の仕事を1月7日から始動いたします!

お休みの間はシンガポール、ニース、モナコ、バルセロナと移動しました。グローバル社会における日本と日本人の役割、日本という方法の有効性と再定義と発信の必要性、について、現地の人たちとの濃い体験を通じて大いに触発され、深く考える機会となりました。冨山和彦氏のG(lobal)とL(ocal)の世界での戦い方についても深堀して考えました。

Gの世界で日本企業が生き残るには、非連続のイノベーションが創発され続けていくメカニズムを組織に内在化する必要があり、組織OSの大幅なバージョンアップが必要。そのためには、やっぱり「人と文化を育てられる経営者づくり」が必要なことを強く強く再認識した次第です。転地療法で、螺旋ひとつ回って一段高い地点の同じ場所に来た心地がしています。

「岡島さんがやっていることはわかりにくい」というお言葉に凹まず、へつらわず、2015年も自分のやっていることを信じて、突き進もうと思います。

多くの人々が、働く幸せ、成長する幸せを感じられるように、経営者のみなさん(と予備軍)のリーダーシップを磨くお手伝い、しなやかにしたたかに、仕掛け続ける2015年にしていきたいと思います。みなさま、本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

IVS2014 Fall Kyotoにてモデレーターとして登壇させていただきました。

「企業の成長と経営者の成長」をテーマに、オプト社長 鉢嶺さん、GMOインターネット社長 熊谷さん、日本交通社長 川鍋さん、ヤフー副社長 川邊さんという豪華なパネリスト4人とのセッションでした。

「組織は経営者の器以上には成長しない」と良く言われますが、修羅場や圧倒的経営者との仕事経験を通じたご自身の経営者としての成長の経緯、成長欲求の原動力とモチベーション維持の秘訣等を伺いました。

本当に本質的かつリアル!でした。インターネットへの愛、この時代にビジネス創るからこそ求められるスピード感と高い目標達成への使命感、組織も自身も持続的に成長していくための意識の質的転換、IVSコミュニティの経営者たちへの愛情に満ちた事例の共有…

すばらしいパネリストのみなさんの真摯さと、そのサービス精神に、心から感謝しています。

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安倍総理と、森まさこ大臣主催の女性リーダー会メンバー、との意見交換会に出席。「女性活躍の更なる推進に向けて」の7つの提言を、代表者として総理に提言させていただきました。
 
森大臣と錚々たるリーダーの皆様の定例ミーティングからの具体的かつ幅広い提案。なのに、発表の制限時間は、なんと「3分」、ホントに痺れました!
 
「働き方に中立的な税・社会保障・手当の実現に向けた早期見直し、政府としての経済界への更なる働きかけ(女性管理職比率向上のためのキャリア形成支援、リターンシップ強化、働き方改革、企業トップ・男性管理職の意識改革)と、企業取組みの『見える化』の環境整備、地方における行政との連携による女性活躍環境整備、少子化対策の充実・強化」等について、ポイントのみご説明した次第。
 
安倍総理からは「女性の活躍推進は、今後もアベノミクス成長戦略の中核のひとつ。今までの前提となっていた男性中心の枠組みを(人口減少時代に備え)社会変革していく重要な施策。アリバイ作り的ではなく、本質的な社会変革を加速させていく」との力強いメッセージをいただきました。
 
最後に、森大臣への記者さんたちの「ぶら下がり会見」にも、ご一緒させていただきました。これも人生初の体験でした…(汗)
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Work Life Balance → Work Life Effectiveness 、もの凄くしっくりくる。

ワークとライフを「均等」にバランスを取れっていうニュアンスが、Work Life Balanceという言葉の気持ち悪さの正体だったんですね。

仕事とプライベートはお互い補完し合う関係。仕事が人生の他の側面と対立しないような環境を担保する。仕事での役割と、仕事以外での役割、それらが充実し整合性が保たれると、心身の健康が高まりエネルギーレベルがあがる、相乗効果的「有効性」の概念、とってもハラオチします。

日本語ではEffectivenessが言いにくいので、Work Life Synergy、Work Life Spiralくらいの言葉が浸透しやすいかもしれないですね。

記事の事例にも出てくるけれど、生活者、消費者としての体験が、仕事上のイノベーションのタネになるという「有効性」。多様な視点のある組織をつくる意義はここにあると思います。

多様性活躍推進の目的は、非連続のイノベーションを「必然的」にうむための「組織OSのバージョンアップ」なので、Work Life Effecitvenessとの相性はとても良い。この「有効性」事例を抽出していきたいと考える次第。


http://www.dhbr.net/articles/-/2744

日米人材市場の比較をする際に「日本企業はジェネラリストを作ろ うとしているし、JD (Job Description)の不明確な仕事が多い」から「日本人は自分の仕事上での強みを表現しにくい」と昔から言う人が多い。これ、そろそろ止めませんか?

企業内で新しいプロジェクトに人をアサインする際には、誰かがキーワードを複数いれた『脳内検索』」をしていることが多い。「新規事業開発×プロジェクトマネジメント×B2C×教育×アジア×英語…」。この検索用のキーワードこそ8年前の拙著『抜擢される人の人脈力』で私が「タグ」とよんだもの。ミソは市場価値は「タグの掛け算」というところ。

今の時代、「自分の強み」を「機能(マーケティング)」や「業界(消費材)」だけで語れるほどシンプルではない。得意な機能や業
界も「意味が出る程度=検索キーワードとして機能する細かさ」まで「因数分解」する必要がある。しかも、市場価値のあるタグというのは、分解された機能、業界、だけでなく、例えば、解決課題の種類、志向、スタイル、資質、などのタグの掛け算でもある。

ダイバーシティ推進のワークショップ等で「あなたの強みは何か」と聞くと、漠然としか答えられない方々が、タグに必要なレベル感を示した上(例えば、ということで私のタグ一覧を開示する、など)でタグを書き出し始めると、自分の意外な強みに気づくケースが多い。「営業」といった大括りでは、意味合いが出ないので、「新規顧客営業」×「地方中小企業」とまで細かくしてもらう。

こうした
タグの3つ以上を掛け算にすると、いきなり希少性がぐっと増すことを再認識できる。もちろん、希少性だけでなく、市場でそのニーズがあるかという「市場性」も重要。しかも、市場性はいつも動いている。今、求められている仕事の「タグ」を投入し、時代に合わせてタグを増やしていくことも、重要だ。

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多くの人に活躍の機会が提供できるという意味で、私は企業の「成長が全てを癒す」と思っている。ただ、こうした企業ばかりでない中で、多くの若者は「成長の機会」を自ら勝ち取っていかなければならない時代になっている。

その際に「何ができるの?」と聞かれた際に、「自分のタグの掛け算」をassertiveに説明できる、あるいはタグが流通していて、誰かの「脳内検索」にひっかかり「登用、抜擢される」ことは、「打席に立つ成長の機会」を必要とするすべての人に必要な「自分マーケティングスキル」なのではないかと思う。

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人材市場でも「クラウドソーシング」が今後どんどん進むだろう。社内外を問わず、クラウドソーシング的に人のキャスティングをすることも増えるだろう。

自分のタグを明確にし、キャリアドリフト的にタグの要素をひとつずつ増やす。例えば「7つある自分のタグの4つの掛け算を満たす人材は社内外に私しかいない」となれば、働き方の自由度もぐっと増す。

これは、ダイバーシティ推進で女性のキャリア開発にあたって私が提唱している
「前倒しのキャリア開発」にも役立つ。一本道の「はしご型」のキャリア開発ではなく、横道にそれたり、違うオプションをとったり、という「ジャングルジム型のキャリア開発」の形成もしやすくなる。

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ダイバーシティ推進、キャリア開発、のワークショップを多数実施し、人材市場のクラウド化といった領域で、経営者たちとのディスカッションをする日々の中で、
「タグの掛け算のキャリア」の重要性をあらためて痛感している。もっと丁寧にこの概念を説明していくと、「新しい時代のキャリア開発」がしやすくなるのではないか、と思っている次第。

経済産業省と文部科学省の「特定研究成果活用支援事業の認定審査委員会」の委員に就任しました。

産業競争力強化法のもと、各大学と民間で出資するVCを新たに設立し、国立大学等の技術に関する研究成果を活用した大学発ベンチャーへのハンズオン投資を通じて、大学周辺にベンチャーの生態系を創出していこうという趣旨。この新たに設立されるVCの認定審査をする外部審査委員です。

リアルなハンズオン支援ができるのか、ガバナンスやモニタリングのしくみの整備徹底ができるのか、民業圧迫ではなく官民ファンドだからこそできることは何なのか、など難易度の高い課題は非常に多いと思います。

長年の悲願として語られてきた「大学を核としたベンチャーのエコシステム」をどうしたら創出できるのか―10数年にわたりVCと共に組織開発のハンズオン支援をしてきた立場から、やれない理由ではなく、どうすればできるのかを考えること―に貢献したいと思っています。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC30018_Q4A630C1MM8000/

変革の成果 = 適切な戦略 × 人を動かす(×スピード)

「人に動いてもらう」ためには、動いてもらうための「心のスイッチ」を入念に考え、論理&共感、北風&太陽、のメッセージや働きかけが必要になる(相手の立場に立った想像力、っていうのはちょっ とビッグワードすぎるので…例えば、対象相手の最大の関心事、自己評価の軸、それを形作る出自や経験、恥の定義、組織文化、社内力学等…といったことの特定)。


共感しないと本質的に動かない組織が増えているにも拘わらず、「心のスイッチ」や「相手の関心事」を深く掘り下げること自体が重要だと理解できていない人が確実に増加してしまっていることを、多くの企業でのコンサルティングの現場でも、リーダーシップ系の研修や授業でも、そしてプライベートな時にさえも、痛感する。


この傾向の原因は何だろう?私の仮説は「打席に立つ機会の高齢化ではないか、というもの。

この「気づき」、やっぱり打席に立って、一見正解だと思われる処方箋がうまく効かないことを痛感する失敗を経たことで、初めて当事者としてのリアルな「気づき」になるのだと思う。


「失敗が致命傷にならないような若手時代に、いかに打席経験数を増やせるか…」これが多くのことの鍵なのではないかと、心から実感中です。

 

ローソン会長の新浪さんがサントリー社長へご就任予定とのこと。

資生堂×魚谷さん、ベネッセ×原田さん…と「経営のプロ」の外部招聘が加速しています。現経営トップに意思決定権限が集中している企業では、大きな変革のために大胆な外部招聘を実行できている企業が多いようです。特にオーナー系企業でのこの動きが、加速しています。また、外部招聘した経営トップの変革が成功するためには、併せて、ガバナンスのしくみ(例えば、経営トップへの意思決定権限集中のような)の整備も必須です。

株主総会のタイミングを待って正式就任となるためもあるのですが、企業文化とのフィットを確認し、社内での信頼感を醸成するためにも、社外取締役やアドバイザーという立場で半年から1年程度並走し、企業側と経営者側がお互いにチェックしあってからの就任というケースも増加しています。

新しい経営トップには、更なる成長のための大胆な変革(特に、非連続の成長を創り出す)が期待されているだけでなく、Succession Planとしての次の経営トップの内部登用、内部育成が、期待されている場合も多いです。

IVS等の経営者カンファレンスに行くと「岡島さん、本業は何?」と聞かれることがある 。私がやっているのは、実は「経営×人材×課題解決」だけ

過去10数年、毎年200人以上の経営者(ほぼリピートだけれど)の「経営×人材」領域の相談におのりしている。課題の症例数を限りなく沢山見ている。経営者としては初めての症例でも、私にとって
は頻発する症例というケースも多い。課題をヒアリングして、診断をして、処方箋を書く

処方箋は、Executive Coaching、次世代経営者抜擢・配置・育成コンサル、「経営のプロ」人材の外部サーチ、役員合宿サポート、ガバナンスの制度設計、次世代幹部研修、採用支援、報酬体系アドバイス、講演、ワークショップ、等々。多岐にわたるけれど、これはすべて手段。

もちろん、自社で解決手段の実行を全てはできないので、処方箋を明確に作成し、外部のプロフェッショナル・ファーム(戦略コンサル、VC、人材紹介会社等)をご紹介することもある。メンターとなる経営者や、異領域の専門家とハイパーコネクトすることもある。

だからこそ、長年の友人経営者から「姐さんが言っていたのは、この症状のことだったって、最近わかりました〜」と言っていただくことも多い。重篤な患者になる前に、予防の時点でご相談いただけると嬉しいんですよね〜。

【2014年グロービス経営大学院 卒業生へ贈る言葉】

皆さん、ご卒業おめでとうございます。今年は東京校のGMBA生250人がご卒業とのこと。リーダーシップ科目など多数のコースをお教えしているので、このなかの203人の方にお教えしたことがあるようです。本当におめでとうございます。


卒業にあたり「自由」ということについて、お話したいと思います。キーワードは3つ「くじ、犬、雨」ー「キジ、犬、猿」ではありません(笑)。

グロービスでは「志」について考え、卒業にあたっては、志の表明をされたと思います。表明された志が、固まっている、という方も、まだ暫定である、という方も、いらっしゃると思います。

そこで思い浮かべていただきたいのは「自由」ということです。自由とは、わがまま、好き勝手、という意味ではなく、仏教用語で言うところの
「自らに由る」という意味の言葉です。ユダヤ教では、死ぬ前に必ず「お前はお前であったか?」という問いが立てられるそうです。自由とは「自分の使命を見つけ、自分らしいスタイルで問題解決をする人生を、自らの意志で歩む」ということではないかと私は解釈しています。人が決めた人生、人に認められるための人生ではなく、「自分がワクワクするフィールドで課題解決をし、活躍し、価値を創る=自由」ではないかと思うのです。

この「自由」を勝ち取るためのキーワードを3つ。「くじ、犬、雨」です。「キジ、犬、猿」ではありません。

「くじ」これは「宝くじ」のことです。
「買わない宝くじは当らない」。卒業する皆さんにとっては、一番重要なことかもしれませんが、野党で批判しているだけでは、自由は獲得できません。リスクを取り、実行する―与党、主体者、となることが必要です。転職や起業だけを薦めているのではありません。大企業の中で、自分の立つ現場で、宝くじを買う行動を起こす、ということが重要ではないかと思います。

加えて、「自分の志、自由が何か」ということは、まず何かの宝くじを買って、実行して見る事で初めて見えてくるものかもしれません。私の場合にも、ジャングルジムのように、一見違う方向へと登ってみる行動の結果が、今に繋がっています。

「犬」、ここは、クラスでもお伝えしてきた「フォロワー」と「犬死に」の話です(笑)。変化が速く、課題が複雑な今日、課題は一人では解けず、桃太郎の「キジ、犬、猿」のような仲間が必要です。

フォロワーがワクワクしてついてきてくれるための「きびだんご」は何か、を洞察し、共感を得る、心のスイッチを入れるためのメッセージが必要になります。しかも、実行のタイミングも重要。くれぐれも間違ったタイミングに一人で竹槍で刺しに行き、犬死にすることのないように。
結果を出すためには、「しなやかさとしたたかさ」が重要です。

また、皆さんがこれから「自由」を獲得する旅に出られるにあたって、自分を刺激し、気づかせ、機会を提供し合い、引き上げあっていく「仲間」として、メンターとフォロワーを意識的に作っていくこともここでは必要になるかと思います。

最後に「雨」です。これは
「雨が降るまで、雨乞いする」ということです。変化の速い時代、変化に適応して、問題解決の手段を変化させていくことは、重要ですし、これからの必須条件になっていくかと思います。但し、問題を解決するためには、「やり続ける」ことも重要。新しい問題解決をする際には、往々にして、反対者も抵抗者も多いものです。人の意見は謙虚に受容しつつ、でもそれが本当に「自分のやりたい自由な心の声」なのだとしたら、「やり続ける」こと、雨乞いし続けること、も必要ではないかと思います。

以上が、自由を勝ち取ってこられた沢山のリーダーと、自分自身の経験から、必要なキーワードではないかと思っていることです。


自分らしいスタイルで、自分のワクワクするフィールドで、仲間とともに「共創」する「自由共創」。この自由共創の実現に向かって、皆さんが活躍し、世界で多くの問題が解決されていくことを心から楽しみにしています。

一緒に頑張る仲間が250人も輩出されたこと、本当に嬉しいですし、心から応援しております。本日はおめでとうございます!

グロービス経営大学院教授
岡島 悦子

「いつか一緒に働きたいですね〜」

クライアント経営者には、必ずお伝えしている必勝法。

尊敬できる人から、こう言われて嬉しくない人はいない。今やっている仕事から抜けられない等、タイミングが合わないということもよくある。この魔法の言葉は、頭に残りやすい。

キャリアの節目で「そういえば」と想起されて「結果として一緒に働くことに繋がった」という成功事例は、とても多いのです。秘伝のタレのひとつ。

この度、アステラス製薬の社外取締役への就任が正式発表となりました。6月の定時株主総会での選任後、就任予定です。マッキンゼーの大先輩で長年のメンターのメディバ 大石 佳能子さんからバトンを繋いでいただいた形です。

連結売上高1兆円超、純利益1000億円超、従業員数17000人超、の文字通りのグローバル大企業の取締役就任という重責を担わせていただくことになります。「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」という理念、「明日は変えられる」というスローガンにも、心から共感するグローバル・カテゴリー・リーダーの実現を目指す研究開発型のグローバル製薬企業です。

ここ数年、内外の数々の製薬企業の役員合宿やリーダーシップ研修に従事はさせていただいているものの、ヘルスケアについては素人ですので、私自身も勉強させていただきながら、イノベーションを産み続ける人と組織開発、等の経営的視点から、謙虚に大胆に貢献させていただきたいと思っています。

今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

この度、丸井グループの社外取締役への就任が正式発表となりました。6月の定時株主総会での選任後、就任予定です。

連結売上高4000億円超、従業員数6000人超、の大企業の取締役就任という大役。一部上場企業の取締役として、私自身も勉強させていただきながら、謙虚に大胆に貢献させていただきたいと思っています。

丸井グループ 青井代表とは、多様性推進のイニシアチブ等でも議論を重ねさせていただいています。また、同社の女性活躍推進の施策をお手伝いしてきたという経緯もあり、心から貢献したいと思っている企業です。発表にあたって、社員の方々からも、複数のメッセージをいただき大変嬉しいです。心を引き締めて務めさせていただければと思います。

今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

今年は年間でなんと合計145回の講義・講演をさせていただいている。

今日はその140回目で、教授を務めるグロービス経営大学院のリーダーシップクラス、最後の授業。


世の中には経営の集合知がどんどん溜まり、しかも開示されていっている。特に、組織が持続的な成長をしていくためのインサイト、即ちイノベーションし続けるための組織開発と経営開発の集合知の集積はすさまじい。


この集合知をどう使うかー適材、適所、適時、利用ーが大事なわけだが、幸いなことに、私は多くの企業で経営者のリーダーシップ発揮の伴走者として3適利用の試行錯誤に関わらせていただいている

大学院では年間300人くらい、そして講演なども合わせると、毎年約3000人の方にお会いしている(名刺の減り具合から測定)。例えば、大学院のクラスには、日々お会いしている経営者の企業の社員の方も沢山受講されている。


講演や大学院で私自身がやっていることは「次の人を創る」という気づきと武器のご提供のお手伝い。持続的な成長のためには組織のあちこちに次のリーダーになるフォロワーが必要。

今期のリーダーシップのクラスでは、「次の人」を促成栽培させようとあせりすぎて、難度の高い技の話にかなり振りすぎたかもしれない
と思い、ちょっと反省中。最後の授業、prepared mindのmindset、経験の機会を自ら創出する行動、守破離の大事さなど伝え、償いたいなと思っている次第。

今回も主催者の小林雅さんにお声がけいただき、IVS(Infinity Ventures Summit)でセッションのモデレーターを務めさせていただいた。

ご一緒させていただいたスピーカーは、

セッションテーマ: 「強い経営チーム・組織を創る」

GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長 グループ代表 熊谷 正寿 氏
GMOインターネット株式会社 専務取締役 安田 昌史 氏


LINE株式会社 代表取締役社長 森川 亮 氏
LINE株式会社 執行役員 HR担当 落合 紀貴 氏
 

ヤフー株式会社 副社長 兼 最高執行責任者 川邊 健太郎 氏
ヤフー株式会社 ピー プル・デベロップメント本部長 本間 浩輔 氏

という、超豪華な皆さま。

 

IVSを終えて再認識したのはー今の時代、ベンチャー企業で働く人に最も求められる資質は「スピードの速い変化を楽しめるか」 ということ。LINEの森川さんもYahoo!の川邊さんも、このことを指摘されていた。これ、大企業でも実は同じなのだが、現状、これを評価軸として置いている大企業は少ないはず 

2004年から始まったIVS(当時はNILS)と今を比べると 、参加企業が増えたのは勿論のこと、テクノロジーやデバイスの変化のため、同じ企業でもまったく同じドメインという企業はもちろ ん存在しない。

成功すればするほど最適化が進み、大企業病化やイノベーションの ジレンマという宿命が待っている。しかも人間は「習慣の動物」。 そこで、新しいことにワクワクできるか、未知のことを不安に感じ るかは、個人の資質による。が、これも経験で克服できる。

私の提唱している「前倒しのキャリア」もその方法のひとつだ
が、人生の早めの時期に、転校、海外留学、異動、他流試合、等の環境が変わる体験、アウェイの経験をすることによって「変化によ る発見の楽しさ>不安」という体験がベースにできると、変化耐性 やビジネスの心肺機能が高まり、多様性への受容性も高まるのだと 思う。

個人の意識としても、人が変わるためには「時間の使い方、場所、 つきあう人」のどれかを意識的に変えるべきーと大前研一氏は説いている。小さなことで言えば、引越などでもいいのかもしれない。

スピード速くイノベーションをし続けている企業には「組織のゆらぎ設計」の文化と制度がある。
「変化を楽しめる人」をどう採用できるか、どう創れるか、がこれからのベンチャー企業の組織設計のKSFの一つになるのではないか、と思う次第。

 

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代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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