年末ということで、業界や親しい方とのパーティーが今年は非常に多い。ちょっとバブル気味?などと思ってしまう年の瀬である。

そういったパーティーの場で、「岡島さん、人脈ってどうやって作っています?」と聞かれることが結構多い(それにしても、ストレートな質問(笑))。

ヘッドハンターという仕事柄、もちろん「オシゴト」として人脈づくりは重要。私の場合、三菱商事、ハーバード・ビジネス・スクール、マッキンゼー、グロービス、という人脈形成上とても有利な環境にいることは確か。その上、天性の人好きという性格と、人に関する記憶力だけは人に誇れる(数字の記憶力はさっぱりダメだが)と思われ、これも人脈形成には大いにプラスとなっている。

もちろん、私の周囲にもスゴイ人脈をお持ちの方は沢山おられるし、そのスゴサも知っている。従って、このエントリーは自分の人脈の広さを披露する、という類のものではない。

自分の好きな友人や後輩や部下に「人脈をどのように作っていったらいいのか」と真剣に聞かれた際に、

「人脈づくりは一日にしてならず。されど効率的に形成するTIPSはあり」

と受け答えし、お話していることをまとめたものである。日々多くの方々とお会いする中での試行錯誤から得たものや、人脈づくりの上手な方から教えていただいた秘伝のタレ的な要素。従って、これも日々進化しているとお考えいただきたい。

尚、以下は、社長ブログを開始する前に書いていたGREEの日記の「人脈構築のTIPS」を本ブログ用に少し書き換えたものであり、以前に日記を読んでいただいていた方は読み飛ばして下さいませ。

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私はヘッドハンターなくせに、所謂「異業種交流会」というのが苦手。旧知の方々はご存知だが、根っからの寂しがりやなせいか、プライドが高いせいか(笑)、とにかく「自分のことを誰も知らないような環境」に飛び込んでいって、名刺をばら撒く的なことができない。

したがって「●●●会にいったら、一挙に知人が増えた」ということはないし、そもそも知らない人ばかりの会には参加しない。

もちろん日々のお仕事では、年間相当数の優秀な方にもお会いし、その出会いは大事にしているし、その優秀な方が知人を紹介して下さったり、上記に書いたような「人脈構築的に非常に恵まれた環境」にいることも確か。

ただ、私自身は、良いコミュニティーに属しているだけでは、人脈を広げたり深堀したり、という人脈のレバレッジ効果
にはつながらないと思っている。特に人脈を維持して、最大限に活用できる資産にするには、それなりの事前準備と継続的な努力が必要だと思っている。


例えば、皆さんも経験があるとは思うが、「この人を紹介して欲しい」などと依頼された時に、「本当に紹介するアクションをとれるか」は、以下次第だと思われる。

  1. 誰から頼まれるか
  2. 被紹介者にも何かメリットがあるか
  3. 自分に紹介するだけの時間とエネルギーがあるか

活躍している方=多忙な方、に何かをお願いして動いていただくには、先方にとってもフェアーな意味でのGive & Take感が必要がある。被紹介者にもオトク感を感じてもらうための理由が必要となるということである。

良い人脈を構築するためには、相手にとってのお得感を醸造できるだけの濃い内容のコンテンツが必要となる。また、ケースにあわせて使いわけできるだけのコンテンツの引き出しの多さも持っていなければならない訳である。

 

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こう書くと、「自分が付加価値を生み出せるようになるまでは人脈構築はできない」という話になってしまう。「それでは時間がかかりすぎるし、今すぐ取り掛かったりできないのでは、TIPS披露にはならいないでしょ。」と言われそう。

ということで、結構メンドクサガリな私が励行している「すぐ取り掛かれる系の人脈構築のTIPS」を、少しご紹介することとする。

 

1.幹事、勉強会の主催者となる

とにかく「面倒だと思われる幹事役・事務局」などを引き受ける。

特に、長続きできるような「勉強会」を小さくはじめ、これを順次大きくしていくよう心がける。継続は力なり。面白いものを続けていれば、次第に数珠繋ぎ的に面白い人が面白い人を連れてきてくれる。(発起人の一人としてはじめながら、私自身が幽霊会員化してしまったものもあり。これについては深く反省)

事務局は面倒だが、情報は必ず自分に入ってくる。従って人脈のハブ(要)となることが容易であり、人脈構築の有効な手段のひとつである。

自分が幹事を行っているクローズドな会であれば、参加者のクオリティー管理は自分ですることが可能。人のクオリティーを担保することは、会を継続させる重要な要素。それを自分でコントロールできるのは、こうした会が人脈形成の母集団となるかどうかのキーを握れるということである。

  

2.WISHリスト用意+アピール

「自分が会いたい!」と思っている人をいつもリストアップしておく。そして重要なのは、その人の1 degree くらいの所にいる人に、

「●●●という理由でこの人がとても魅力的だと思っていて、会いたいんだけれど」と折に触れアピールする(ウザクない程度に熱く、かつサラッと)。

会いたい理由がミーハーな理由ではNGであり、理由に説得力があることが必要。「念じれば花ひらく」じゃないけれど、言い続けていると不思議とご縁があるもの。「なんらかの理由で先方も会いたいと思っていた」というケースもありうる。


 

3.筆まめ効果

とにかくお礼状や季節の挨拶状などを出し続ける。時には手紙も有効。その場合には印刷したものでも、手書きで必ず一言添える。挨拶状などを定期的に出し、そこに一言添えてあるだけで、思い出してもらえる効果や、その人のショートメモリーに入る確率は高く、誰かを紹介してもらえたり、何かの機会に声をかけてもらえる効果は格段にあがる。

ご紹介を受けたら経過を「必ず」報告する。「きっかけは●●さん」「●●さんのお蔭で・・・」といわれて嬉しくない人はいない。

 

4.コレゾ、と思った相手にはトコトン興味を持つ

これは基本の基本だろうけれど、とにかく興味を持った相手に会う場合には、その人のプロフィールや志向等をきちっと頭にいれて、いつでも取り出せる状態にする。要は事前準備が非常に大事。常に仮説を持って臨む、という感じ。


相手が「この人は自分に関心を持ってくれているんだ」と思ってくれる状況をつくり上げる。しかも上っ面な話ではなく、本心から語ることが重要。

会話の中でその人が「何気なく言っていた一言」を聞き漏らさず、情報や本を贈るとか、人を紹介するとか、何かの機会に声をかけて誘うとか…


この辺は訓練だけでなく、一種の才能も必要だが、関心と努力も必要なことは確かだと思う。良い人脈をうまく維持している方は、実は頭が下がるほど本当にマメ。
 

5.コレゾ、と思った相手にはキーワードを置いてくる

パーティーなどでたまたま出会えた人が、実は非常に会いたいと思っていた人だったとか、知らなかったけれど実際は非常にイケテイル人だったとか、という場合。この場合には、次に会うきっかけになるような具体的なキーワードを投げかける。

「ぜひまたご飯でも」などというあいまいなものでは次への展開はない。「今、こういう課題に興味があって、●●という勉強会をやっているんですが」とか「(先方の相手が)やっておられる▲▲という取り組みに興味があるんですが・・・」といった風。

タイミングも非常に重要。セミナーや講演の後の名刺交換の長い列に並んだ際に、何か気の効いたことを言おう、などというのは難易度が高すぎ。相手の迷惑にならない、人と重ならないタイミングを見計らう。これまた才能かもしれないが・・・。


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ここまで書くと「何だあたりまえのことばかりじゃない」という感じで「岡島、もっとスゴイこと言ってくれ〜」と怒られそうでもある。

しかし、上記をやり続けておられる方がいらしたら、きっと人脈はかなり広く&濃く、構築されているはず。

 (自分の魅力度を上げる)×(人が面倒クサイと思うことをやり続ける)

って、結構「言うは易し、継続は難し」で、実は効果抜群だと思うのだが・・・。
 

最後に、上記のTIPSを励行する際や、人に誰かを紹介してもらう際に、最も重要なことをひとつ。

「いかに上品に人にお願いをできるか」がとても大事。

これで、成否が決まるとも言える。「あー、私っていつもこの人に利用されているのね」ということがバレバレだったりすると、やっぱり長続きはしないものだと思う。

特にビジネスにつながるとか、お金のにおいがするものであればあるほど、「上品に」お願いする心配りは本当に重要だと思う次第。皆様いかがお感じでしょうか。

 

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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