40代になってからというもの明らかにラポール形成が楽になった。
 
講義や講演でも自分をいじる「自虐ネタ」の掴みから入る「オモシロ姉さん」的な芸風(経歴はイヤラシイけど意外にいい人)で行けるのは、聞き手の懐を開けるという意味でも効果的なことを実感中。
 
ただ、グローバルな環境だと、やはり初動では自分のスキルや経験をassertiveにコンパクトに伝える必要があり画策中。レファレンスの効果は高いので、知人友人が実績やユニークさの部分を上手くイントロしてくれたりすると、これまた相当楽になる。
 
***
 
「購買支援型」×「常時バージョンアップ型」の自分マーケティングが、結局は求められている。常時バージョンアップを辞めたら、そこで成長が終わると思いながら、挑戦し続けるしかないんでしょうね…
ちょっとキビシめな話なのですが…自己能力の客観評価力って本当に大事だと思う。

「一流の人と二流の人の差は何だろう」て考えると、一流の人は、上には上がいることは知っていて、自分の相対感を理解していながら努力し続けている人が多い。だから「健全な自信」を持っているので、イタイ感じを醸し出さない。

一方、二流の人には、以下のような人が多い気がする。

  1. 大した事ないのに「私ってスゴイでしょ〜。教えてあげる」という上から目線
  2. 「いや、私なんて…」と言いながらの慇懃無礼
これも若ければ、「若いよな〜。青いよな〜。(ある意味)カワイイよな〜」で済まされると思うんだけれど、経験積んでいる人だとすると、かなり「イタイ」。

こういうタイプに圧倒的に多いのが、購買支援の発想がない人。例えば、相手のニーズも探らず、ラポールも形成できていないのに、自分の自慢話を朗々としてしまう感じ。

イタイよ〜って伝えてあげたいけれど、嫌われるだけでこちらには良いことなさそうなので、やめておく…

でも、時々、クライアントさんで、二流感を見極めることができずに、この手のセールストークにハマってしまって、後から相談に来られるケースがある。本当は、何とか早めに救ってさしあげたいんだけれどなぁ…。

良く寝ました。そうしたら、やはり「アイディアの神様」が降りてきました!
 
今週は、講義9コマ(しかも1つは新クラス新ケース)、講演3本、その他諸々と、2012年の中でも最も濃く忙しい週。しかも講演3本はまったく違うアングルのテーマ。
 
こういう時には、とにかくひたすらインプットとアウトプットを繰り返して、いったん寝ることにしています。
寝ている間に脳がインプットを整理してくれるため、新しい構造や切り口やネタなどのアイディアの神様が「起き抜け」に降りてきてくれるというものです。
 
また、私の場合には、どうやら「水」と「神様」の相性が良いらしく、お風呂やトイレでも神様が降りてきてくれるケースが多いです。
 
この神様が降りてきた時に、一気に書き出して、チェックリストを作ったり、相関図を作ったり、ということをひたすらするようにしています。(後々、あーあの時いいこと思いついたと思っていたのに…的なことが多いので)
 
という訳で、こういう週には、枕元などなど家中にメモ用の文房具(水に濡れても大丈夫なものとか)置かれているということになったりします。
 
***
 
アイディアの神様の捕まえ方は人それぞれだと思うのですが、自分なりの神様を呼び込む技術や流儀、を持っていると
「煮詰まりからは必ず脱することができる」と自分で思えて少し楽になりますね〜。
 
みなさんはどんな技術(魔術?)を使っていますか?

「ポジションが人を育てる」私が心から信じていること。

今日ある人と会食して、そのスキルとマインドセットの飛躍ぶりを目の当たりにして、「良い環境を選び、身をおくこと」の重要性をあらためて再認識した次第。

 

グローバルにみて最もストレッチのプレッシャーの高いと言われる企業にいる若手人材。もともとポテンシャルが高い人であることは間違いないが、顧客との共創をどんどん推進して市場を創出し、グローバルにいる上司の期待値(そもそもこれも高いのだが)を遥かに超える結果を出している。
 
人は自分を重要視されると期待に報いたいと思い、がむしゃらに頑張れるのかもしれない。私の想像をも遥かに超える大化けぶりに、「可能性を信じること」「その可能性の目利きをし、ストレッチした課題を提供し続けること」の大事さを痛感。
 
***
 
私自身は目利き力に更に磨きをかける努力をしつつ、皆さんが自分の可能性を信じることを後押ししていきたい
と強く思う機会となりました。
金曜日土曜日と、某商社の幹部研修の講師をさせていただいた。計14時間プラス懇親会。30数年間も第一線で業務に邁進されてきた方々に対するリーダーシップ研修とは何なのか。
 
「お教えする」などというおこがましいものではない。ただただ全身全霊をかけて、以下のような「深い気づき」の機会を醸成できるかどうか、ということだと思う。
  1. 自身のリーダーシップスタイルが「我流」であること
  2. 我流であるが故に、他の条件下で適用できる「汎用性」には疑問が残ること
  3. 自分を客観視することが難しいこと、その機会が減少していること
  4. とにかく多忙で「短期的」「部分最適」の「視野狭窄」に入りやすいこと
  5. 二律背反事象を意思決定するには自分の価値観、経営美学が必要だが、それを考えきれていないこと、言語化できていないこと
  6. 解決すべき問題はより高度化、複雑化するため、常に謙虚に自身の次元を 高めることが必要なこと、高めるための努力方法開発が必要なこと
  7. 変化に適応できる自律型変革人材育成/登用のために、多様性を受容し、確固たる信念を持って環境整備をすることが必要なこと
  8. 自由と規律のある組織文化の醸成人として、大事にすべきものと変化させるべきものを見極めることが必要なこと

そう考えると、少人数の幹部研修という場での私の役目は、「場のプロデュース」ということに尽きるのではないだろうか(もちろんファシリテーションということを通じてではあるのだが…)。

  • 参加者の皆さん自身が深く自分を内省する機会の提供
  • 本音の議論ができる安全な場の提供
  • 参加者相互の信頼感の醸成と共創の空気の醸成
  • 皆さんの視点が縦横無尽になるための刺激(ゆらぎ)の提供…

そして「どうしたら"この場での気づき"を、日々の行動と習慣にしていけるか」という難題を考える場の提供。これこそが最大の任務ではないかと思った次第。

 

***
 
どんな講演もワークショップも研修もそうだが、その効果を最大化するとは、「深い気づきから発生した行動習慣のスイッチ」を、いかにオンにしたまま翌週以降を過ごしていただけるかの勝負なのではないか、と強く思った週末だった。

これから「未来の経営のプロ候補」向け講演。

  • 「今の時代、リスクを取らないことがリスク
  • 「経験できビジネスの心肺機能を成長させられる環境を選ぶ」
  • 志(キャリアビジョン)迷子にならず、目の前の仕事に邁進しながら"好き"を見つける」

が重要なことを理解する。 早回しで成長し、実績を出し、「自分の運命を自分でコントロールできる自由」を手にいれる。

キャリアの早い時期にこうしたことを理解できているだけでも、不毛な悩みから脱出でき(内省は大事だけど)、心の自由度が増し、強いキャリアを作れることとなる。迷いすぎて思考停止しているなら時間がもったいない。

 

多くの方のメンターをやれれば良いのだが、数には限界があるので、講演などで「心の軸を持つきっかけ」を伝えられたらと思う…
2012年8月号の「日経ビジネスアソシエ」に記事が載っております。 
 
市場価値の高い(どんな環境下でもサバイバルできる)人材の条件は、ズバリ、修羅場経験での実績があること。そのためには「若手のうちに(控えでなく)バッターボックスに立たせてくれる環境」を選ぶべきとお伝えしています。
ご覧いただければ嬉しいです。
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リーダーは最初からすごいリーダーな訳ではない。素晴らしいリーダーにお話を伺うと皆さん共通して以下のようなことを(自然 and/or 意識的に)励行し続ける能力を持っておられる。

【自己を昇華し続けるリーダー共通の習慣】

  1. 常に自分が高みを目指すような環境(上には上がいると感じる場)に身をおく 
  2. 1から謙虚に学び、今の自分との差異を細かく分析する 
  3. なりたい自分とのギャップを埋める努力方法を検討する。この努力方法は自分が楽しみながら続けられる方法を選択することが重要。人に宣言して自分を追い込むタイプも入れば、自分との約束が効果的なタイプもあり。
  4. 毎日、毎週、毎月等、一定の周期で、3で決定した行動を実行し、継続し、習慣化する 
  5. 習慣化できていなければ、4を見直し、違う努力方法を試す
言語化するとあたりまえのようだが、上記をどれくらいリアルな解像度で愚直に行えるかがポイント。また自分のタイプにあった努力方法を見立て編み出すことが重要。
 
素晴らしいリーダーとは「大義のために自分を律して楽しみながら努力をし続けられる人」なのではないかと思う。
「遠くにある光がより鮮明に見えている人」でもあるのだろう。
 
***
 
謙虚に自分を見つめ、自分が楽しめる自分なりの方法の行動を習慣化し続けなければと思う…
あけましておめでとうございます。
 
新年がみなさまにとって、ステキな出会いに恵まれ、実り多い幸せな1年になりますよう、心からお祈り申し上げます。
 
2012年、公私ともに次のステップへと「昇華」させる年にしたいと考えています。
 
プロノバもお蔭様で創業5年。私も40代後半を迎え、昔からの野望であった「サロン」づくりに着手したいと思います。経営のプロの集う場、まさに「プロの場」。すばらしいメンターの方々や多くのステキな仲間と、しっかりと構想を練ってまいります。
 
また、世代の責任を果たすべく、「次世代に繋ぐ活動」にも携わっていきたいと考えています。
 
上記のためにも、「知的チャーミングな大人」を目指して、いろいろな意味で鍛錬に励む一年になりそうです。
 
みなさまとぜひ様々な場面で、ご一緒させていただく機会があれば嬉しいです!
 
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
岡島悦子

7月に立ち上がる産業革新機構の支援基準について、パブリックコメントを募集中とのことです。

 

産業革新機構の支援先を決めるクライテリアについての意見を、広く募集する、というもの趣旨のものです。
 
産業革新機構については、7月から本格稼働するようですので、今の所、CEO、COO、「産業革新委員会」委員長、の3人の方の人選が発表されているのみ。
 
本来であれば、主たるinvestment professional、特にMD ( Managing Director)の方々が内定した所で、投資戦略を討議・決定・合意し、支援基準はその後に発表する手順になるべきだとは思うのですが…
 
既存のバイアウト・ファンドやVCファンドは、投資先の業績が芳しくなくファンド業績が厳しい所が多いようです。その結果、リスクマネーの出し手が減っている昨今、産業革新機構の担うべき役割と存在意義は、とても高いのではないかと思っています。
 
この機構の機能に期待をしており、せっかくであれば意義深い機構を創るべきだと思っておられる方々、ぜひ、批判ではなく建設的な「意見書」を出されると良いのではないかなと思います。
 
締切は、ナント、明日6月17日の18時です。私もこれから、何か書いて提出してみようと思っています。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

本当に久しぶりのエントリー。

 

産業活力再生特別措置法(産業再生法)改正案が4月末に成立し、産業革新機構の実現が本格化してきた、ということ等々で、なかなかオープンにできない仕事に忙殺されていました…

 

また、第二創業、変革局面にある企業も多く「こんな時期だからこそ思い切って経営チームを再強化したい」というご相談も急増。経営チームの診断、組織内の抜擢のしくみ構築、役員合宿の企画やファシリテーション、といった仕事も増えています。

 

「とにかく一度相談にのって~」という経営者やファンド担当者からのラブコール(お金にならないことも多いのですが…)が増えている今日この頃。ということで、ブログ更新ができていなかったのですが…

 

***

 

半年に一度恒例のIVS(Infinity Venture Summit) 2009 Springというカンファレンスで札幌に来ています。

 

2004年に11月に始まった旧NILS(New Industry Leaders Summit)から数えて、計10回目というイベントです。私自身は、一度お休みしてしまったので、9回目の参加。そこで「ブログ更新していないみたいだけれど、最近何やっているの???」と、久しぶりに会った経営者の何人もから指摘されてしまったので、

 

小心モノの岡島としては、一応、ご報告がてら、今回モデレーターをさせていただいたパネルについて、アップしようと思った次第。

 

パネルの概要は、以下の通り。

Session 3-a: なぜあの企業は伸び続ける?

~不況に打ち勝つビジネス力

 

(Speaker)

オプト 取締役会長CSO 海老根智仁氏

オイシックス 代表取締役社長 高島宏平氏

カカクコム 取締役COO 安田幹広氏

オールアバウト 代表取締役社長兼CEO 江幡哲也氏

パンアジアパートナーズ 代表パートナー/代表取締役 椿進氏

 

(Moderator)

プロノバ 代表取締役CEO 岡島悦子

「100年に一度の(金融)危機」といわれる経済の中、ベンチャー業界全体に対し、以下のようなことがよく言われています。(採用マーケットでも、候補者に以下のような理由で断られることも多い)

  • ベンチャー企業全体に元気がない
  • 米国では不況の時期には、優良ベンチャーが出現するのだが、日本ではそういった兆しがない
  • VC自身も既存の投資で業績悪化しているものが多く、投資意欲が激減している
  • IPOマーケットも冷え切っていて新規上場件数も激減している

(上場基準の厳格化の要素もあるが、結果は以下の通り)

(パワーポイントが見にくい場合は、クリックしてください)

ということで、パネリストの皆さんには、以下のような質問をさせていただきました。

なぜあの企業は伸び続ける? 不況に打ち勝つビジネス力

 

  1. 不況に左右されないビジネスモデルにできている理由
    (しくみ、ローコストオペレーション、資本政策など)
  2. 不況を、逆にチャンスと捉え、進めている施策
    (不況が追い風になる事業の強化、顧客特性の変化による新規事業、M&Aなど)
  3. 不況に入って強化した施策
    (資金手当て、コスト削減、人材強化など)

具体的なご回答の内容については、オフレコとのお約束の部分が多いので、ここでは控えさせていただきますが、以下のような点について、具体的にご説明いただいた次第。

  • 創業当時から景気変動に左右されにくいしくみ・プラットフォームを構築してきたことが、今開花してきている
  • この不況の時期だからこそ、「今までやれなかったような改革」に着手してみている
  • 他社との業務提携が、事業シナジーだけでなく、組織の中での健全な競争といった期待以上の効果を生んでいる
  • 暗いニュースばかりが取り上げている中、「賢い消費」や「自分らしい生き方を支援するニュース」などに消費者の視点が移ってきている。それを踏まえて「しかける」ことで、メディアなどにも取り上げられ好循環が生まれている
  • 内需の爆発的な拡大は今後も難しく、グローバル、特にアジア市場を視野に入れる必要が益々あるが、参入・M&Aに際しては失敗事例も留意点も多い

その他、パネリスト同志での相互質問もしていただきました!

IVS出席者も、さすがに10回目ともなると世代交代が起こっており、企業ステージの若い企業の経営者や、事業責任者クラスの方々も増えています。そのためか、こうした経営パネルの内容自体が参加者の皆さんの関心事項と若干合致しないのかもしれない…とも思えます。ともあれ、こういった相互質問のやりとりは、概ね控室でのトークのほうが盛り上がったりするものですね。

会場からのご質問もいただき、最後にパネリストの皆さんに一言ずつコメントをいただきました。

  • 「不況だから」と悲観しすぎるのはそろそろ止めて、ポジティブなスタンスで勝機をさぐる方向に行こう
  • 冷静に差別化の要因を磨き、情熱を持って勝ち続けるまでやり抜こう
  • グローバルなメガベンチャーを目指して行こう
  • ベンチャー業界全体で、過去の教訓や学びを相互に共有し、共創しながら盛り上げて行こう

といった極めてポジティブなメッセージが、皆さんから上がってきました。

私自身も、「ベンチャー業界はもう駄目だ」などという人に会うと「何を根拠にそんなことを?」と熱くなってしまったりします。

親友の渡辺千賀ちゃんも「日本人は、なぜそんなに悲観的なのか。世界同時不況などという話を心底信じているのか」と不思議がっていましたが…

とにかくこうしたカンファレンスが、経営者同士が知恵の共創をできたり、視野が広がったり、友人・知人などに刺激を受けて「自分の会社も頑張らねば」といった勇気をもらったり、という「きっかけ」になれば、本当に意義深いことだと思います。

そして、次世代を牽引するメガベンチャー企業の事例が輩出されることこそが、一番のベンチャー業界全体の盛り上げになるのだろうと、再認識した次第です。パネリストのみなさま、本当にありがとうございました!

小林さん、田中さん、小野さん、そしてNILS/IVS関係者の皆さん、IVS10回目、本当におめでとうございます。本当に「継続は力なり」ですね。

これからのIVSも、良い形での継続、そしてさらなる発展を、心からお祈りしています。

プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子

p.s. 最後のほうに投影したスライドです。Amazon Google Sunなどに投資した米国の伝説のベンチャーキャピタリストが、2008年11月に投資先のベンチャー企業経営者に向けて発信したメッセージです。ご参考まで

【ベンチャー経営者のお悩み】
 
アドバイザーをさせていただいているベンチャー企業の経営者などから、最近沢山の御相談をいただく。
 
「100年に一度の金融危機」の影響も大きく、VCから「今はとにかくCashを大事にしてください」と念を押されているという。こんな時代だから資金調達は大変ではあるし、ごもっともな意見である。ただ、経営者の最大の悩みは、「このままでは縮小均衡に入ってしまうのではないか」というもの。
 
設備投資や広告はもちろん。人材の採用も凍結してしまうのでは、せっかくVCからリスクマネーを入れてもらって、加速度的にビジネスを広げようとしていたのに、経営資源を縛られたままでは、それも立ち行かない…。
 
【ベンチャー企業の採用の現場では】
 
採用凍結をしているベンチャー企業が多い中で、継続的に採用をしている企業には、応募は多い。今まで「こんなレベルの人は受けに来なかったのに」という2レベルくらい上の人材が、応募してきている例は多い。特に、これはマネジャー以上人材のセグメントに顕著である。
 
それもそのはず、12月末には、外資系やコンサルティング会社などのプロフェッショナルファームなどでも、人員削減が行われ、人材市場への人材供給が増えている。
 
一方で、こういう時代には「現有戦力の生産効率をあげることで耐え忍ぼう」という企業が多く、「採用凍結」をしている企業も少なくない。従って、完全に「供給>需要」という構図ができあがっているわけである。
 
但し、「応募は多いのだが、結局のところ採用数が増えない(≒面接に経営資源は沢山使っているが、結局、うちに来ないで、他に行ってしまう人が多い)」というケースも多いようである。
 
「一億総コンサバ化」と私は呼んでいるが、安定した企業とベンチャー企業の双方からオファー(内定)をもらった場合、安定した企業の方を選択してしまうケースが多い。安定した企業の方のポジションや権限が、たとえ小さかったとしても、そちらを選んでしまう人が多いのが、最近の傾向である。
 
【こういう時代下のオススメ】
 
こういうお悩みを抱えるベンチャー企業の経営者に、私がお薦めしているのは「旧知の知人発掘作戦」。 昔の同僚、昔のお客さん、昔コンサルティングしてもらったといった「いつかはこの人と一緒に働きたいなぁ」と思っていた人に、再度声をかけ「口説く」作戦である。
 
まずは3人思い浮かべてもらって、一人一人とランチミーティングをアレンジしてみる。この時、ベンチャー経営者も必ず一人で行くことが、ミソ。「そんなこと、とっくにやってますよ」という方もいるのだが、よく聞いてみると「昔一度口説いて、断られた経緯がある」という程度。
 
実は、その頃とは、同社は規模もドメインも変わっている、といったことも少なくない。経営者側も、いくつかの修羅場を経験して、(僭越ながら)格段に成長しておられる。ましてや、相手側の状況も変化している可能性もある。
 
楽天の三木谷さんは、企業ステージが変化していく中で(ステージに合致した)友人・知人を口説き入社させておられるので有名。その何人かにお話を伺うと「何年もにわたり、継続的に口説かれていた」とのこと。中には約10年にわたって口説かれていたという方もおられる。継続は力なり。こういうことの積み重ねが、あとから「じわっと」効いてくる。
 
先の不透明な時代だからこそ、何が起こるかわからず、特にベンチャー企業では、事業戦略を大きく変革することを余儀なくされる可能性も高い。そんな時代に、自分の参謀となってくれるような
「価値観が近い人」「働きぶりや働き方のスタイルを知っている人」と働きたいと思っている人は多いはずである。
 
一方、口説かれる側の立場に立ってみれば、「口説かれる」というのは悪い気がしないはず。その方の置かれている環境上「今はタイミングが悪い」と断られる場合もあるだろう。
 
だが、「他に誰か思いあたる人はいないか」と聞いてみる手もあるし、「また機会があったらお互い声を掛け合う」という約束をしていることが、意外に花開いているケースもある。
 
***
 
年間300人くらいの方のキャリア関連のご相談にのっているが、その方々の最大の問題は「転職先のDD(Due Diligence)ができていない」こと。
 
投資をしたりする時には、あれだけ入念なDDをする経営者たちも、数回の面談で意思決定してしまう。少なくともここ5年、場合によっては自分の一生を決めるかもしれない決断を、計5〜20時間くらいの「目利き」で決めてしまう、ということ。
 
もちろん私たちのようなヘッドハンターの目利きを信じてくださっている方も多い(感謝)。しかしながら、この仕事を長年やっていると、経営者(場合によっては株主)と候補者の「根っこの部分での価値観」が刷りあっていることが本当に重要であると痛感している。
 
私の場合には、その部分がすり合わせできるまで、何度も何度も、何人の方とも、面談や会食などを繰り返していただいている。
 
***
 
その点、「旧知の知人発掘作戦」は、少なくともお互いの人物に対するDDは、ある程度は終わっている所に、大きなアドバンテージがある。ましてや、経営者が「この人とは一度一緒に働いてみたいと思う3人」に思い描いたということであれば、信頼感の醸成はとても速いはずである。
 
この際に重要なことは、「一緒に働いたことがある」といった固定概念はいったん忘れ、(コンフィデンシャリティには留意してもらうことを約束してもらった上で)
 
  • 自分たちが成し遂げたいと思っている世界観とその背景
  • 大事にしたい価値観
  • 認識している課題
  • 相手に期待したい期待感

を本音ベースで語り、理解してもらうことではないかと、私は思っている。ともすると「一緒にやりたい」という気持ちが先行して「本音」で語れていないケースも散見するし、「口説こう」という気持ちが先行して「現在の問題点」ばかりを話してしまうケースも多いように見受けられる。
 
一見遠回りのように見受けられるが、上記のようなことを理解してもらって、候補者の方が「自分の価値観や問題意識」と当事者として紐づけられるなぁと思い納得する、というのが「説得」のプロセスなのではないかと思っている。
 
***
 
ランチの値段も時間も、無駄な面接を繰り返すことに比べれば、費用対効果は高いと思われる。
 
採用に至らなかったとしても、顧問やアドバイザーとして係わってくれるかもしれない(実際そういった事例は多く、また、そこから社員化している事例も多い)。ビジネスのアイディアや発想の転換のアイディアが浮かぶかもしれない。
 
こんな時代、大量に採用をすることは難しいかもしれないが、ピンポイントで参謀や次世代のホープを採用したいと思っている方は、だまされたと思って、3人の候補者をリストアップし、ランチを試してみていただくことをオススメする次第である
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
お蔭さまで、『抜擢される人の人脈力』の再増刷、第三刷が、先週決定しました!
 
いろいろな企業の幹部研修で、リーダーシップの講師などさせていただいているのですが、私をご存じない受講者の方の中にも「書店でその本を見たことがある」といってくださる方が増えてきています。
 
多めに扱ってくださっている「リアル書店さん」も増えているようで、嬉しく思っています。
 
年度末でお忙しい方が多いかと思いますが、年始同様、年度初めに自分の一年の目標や自己実現目標の再設定をされる方も多いのではないかと思います。
 
4月から新しい節目を迎え、新しいコミュニティでの人脈構築方法を考えたい方、新しいコミュニティにおいての自分の立ち位置・ブランディングを考えたい方に、お読みいただきたいと思います。
 
そして、何より、4月から新しいチャレンジをしようとしておられるような部下、後輩、の方がいらしたら、「あなたの活躍を心から応援しています」という意味で、本書を「ギフト」としてお贈りいただけるようであれば、本当に嬉しい次第です。
 
この4月から人脈レイヤーがあがる方も多いのではないかと思います。新しい能力開発と人脈開発目標に、戦略的&積極的にチャレンジされる方が増えることを祈る次第です。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

だいぶ遅くなってしまって恐縮ですが、、2月15日(日)の朝日新聞 朝刊の書評覧に『抜擢される人の人脈力』の書評を取り上げていただきました。

2009/02/15 朝日新聞 朝刊 12ページ (ビジネス)

 

(梶山寿子 ジャーナリスト)

 

抜擢される人の人脈力 岡島悦子著

 

「戦略的に自分を売り込め」

書評の内容は、asahi.comの記事↓でも、ご覧いただけます。
 
今まで、ネット書店での売上が先行していましたが、お蔭さまで、リアル書店の売り上げのほうも伸びてきたようです。
 
ありがとうございます。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
週末、某所(東北地方のスキー場)で行われたG1サミットに参加してきました。
 
政治家、経営者、経営関連のプロフェッショナル、学者、ジャーナリスト、文化人など、40代中心の各界のプロ100人が集まるカンファレンス。元ドコモの夏野さんが「日本人には珍しい、議論好きな人の集団」と(ほめて)言っておられた通り、2日間、山奥に缶詰で熱い議論が行われました。
 
***
 
私自身は、「日本経済を元気にする処方箋」というテーマ全体セッションのモデレーターをさせていただきました。
 
パネリストは以下の通り

「日本経済を元気にする処方箋」とは

 

【パネリスト】
A.T. カーニー日本代表 パートナー 梅澤高明氏
リヴァンプ 代表取締役・代表パートナー 玉塚元一氏
衆議院議員 西村康稔氏
ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸氏

 

【モデレーター】 プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子

ご覧いただいておわかりの通り、コンサルタント、投資家、経営者、政治家 という業界横断のパネリスト。それぞれのお立場から、今回のカンファレンスの統一テーマである「2020年の日本と世界」について、具体的な提言をしようという試みです。

実質的な議論をするために、なるべくリアルな本音トークをする、という趣旨から、原則オフレコ。したがって、内容については差し控えますが、

  • 世界の多極化と競争の激化、人口減少と人口構造の変化、という環境下で、2020年までの中長期に、日本経済はどのような成長シナリオを描くべきか

について、様々な視点から、ご意見を伺いました。
 
75分という限られた時間の中、広範な難易度の高いテーマであり、セッションとしての具体的な提言をまとめる、という所までは、さすがに行きつけませんでした。
 
しかしながら、さすがに一流のコンテンツをお持ちのパネリスト、経験に基づくリアルな話も含めて、多岐にわたる問題意識と解決の糸口をテーブルにのせていただき、議論していただくことができたと思っています。
 
パネリストの皆さま、ありがとうございました。
 
***
 
今回の2日間の議論を通じて、深く感じたことは「世代の責任」
 
高度経済成長を支えてきた我々より上の世代のビジネスモデルは、世界経済の多極化への対応という意味では、残念ながら機能不全になっている部分もあります。
 
一方、私たちより少し下の世代は、よくよく話を聞いてみると、「生まれてこの方、日本に生きていられるなんて最高!なんて思えたことがないですよ…」とのこと。バブル時代に学生生活や新社会人生活を謳歌できた最後の世代(?!)である私たちとは、「社会の恩恵にあずかった感」がかなり違うようなのです。
 
冗談はさておき…、日本には、素晴らし技術や人的資源・現場力といったものが培われてきていたわけですが、その素晴らしい資産が積み上がったために慣性の法則が効いてしまい、既存の枠組みから脱却できず、いわば過去の資産を食いつぶしながら暮らす、という方向に進んでしまっているような気がします。
 
100年に一度の「金融」危機の影響で、「改革は間違っていたのではないか」という議論や、「富の再配分」的な情緒的な議論ばかりがなされているような気がするのですが、縮小均衡の議論ばかりをしている間に、日本以外の国は強いリーダーシップの元、抜本的な構造改革に着手している状況です。
 
日本も、これからの内需減少の時代に向かって、ぬくぬくとパラダイス鎖国している場合ではなく、
  • 今持っている資産(基礎技術・人的資源・現場の強さ)を最大化する方策を考える
  • 業界再編推進・新産業創造が促進されるような環境整備=「出る杭」的な企業や人材の足を引っ張らないように、多様性を認め、メディアも含めて良い事例を積極的に発信していくしくみを考える

 

ことの必要性があるのではないでしょうか。
 
既得権益にしがみついて人生を終えられる年代でもなく、日本経済の最も恩恵にあずかってきた我々世代こそが、もっとアクティブに声をあげ、実効性のある戦略を描き、具体的なアクションを推進していかなければならないのではないかと、強く感じた次第です。
 
***
 
今回のカンファレンスでは、京都大学の山中教授の「iPS細胞の開発と可能性」の基調講演に、私を含め、多くの参加者が「勇気づけられた」のではないかと思います。(山中先生の研究者とは、思えぬユーモア感とお人柄(キャラ)にも深く感動!)
 
あの場にいた皆さんが、「こういった素晴らしい技術の開発と応用の実行に、何か自分も協力できることはないのだろうか」という共創の気持ちが、自然とわきあがったのではないかと思います。
 
中長期的な国家戦略の構築と実効性のある政策の必要性に加え、こうした「日本には競争力の源泉になる技術も人材も(まだ)ある」という具体的な事例の発信は、強いメッセージになりうる、ということを再認識する貴重な経験でした。
 
私も世代の責任を感じつつ、微力ながらではありますが、事例を創出するためのアクション、事例を発信するアクション、そして自分自身も事例となっていけるよう、日々実行を積み重ねていかなければ、と決意するすばらしい機会となりました。
 
また、来年、この素晴らしいメンバーの方々と、具体的な議論ができるよう現場のコンテンツをしっかりと作り上げていきたいと思います。
 
継続は力なり。来年の開催を今から楽しみにしています。
 
プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子

楽天でご活躍中のマッキンゼー時代の同僚から

『抜擢される人の人脈力』がMBA受験生に受けています。
エッセイを書くのに、自分の売りを見つける・表現するという話しが、はまっているんですね。

という情報をいただきました。
 
MBA受験中の方の生声によると以下の通りとのこと。

人脈とはなんぞや、わかりやすい言葉で すっと頭に入ってきました。なるほど、エッセイにも「自分とはなんぞや」 を表現する必要があるので、かなり為になりました。

(中略)

MBA受験仲間に紹介したところ、皆、絶賛しておりました。

ちなみに、ここで言う「エッセイ」とは、MBA受験のために書く「志望動機書」のような小論文のこと。GMATやTOEFL、推薦状など他の要素もあるものの、この「エッセイ」の出来不出来で大方の合否が決まるといえるような重要な要素です。
 
Harvard は問題数が多いとか、Stanfordはテーマ設定を比較的自由にでき問題数が少ない、とか、多少の差はあるものの、たいていの学校が、以下のような質問に対するエッセイから数問を回答する形式になっています。
  • なぜMBAで学びたいか、なぜこの学校で学びたいのか
  • この学校でどのような貢献ができるか
  • ビジネス上での三大実績は何か、なぜそれが重要か
  • グローバルにリーダーシップをとった経験は何か
  • 失敗経験と失敗経験から学んだことは何か
  • 倫理的ジレンマの経験は何か
  • 長期・短期のキャリア目標は何か

ご覧頂いておわかりの通り、確かに『抜擢される人の人脈力』の「人脈スパイラル・モデル」の5つのステップの説明と合致している項目が多いのです。

  • 自分は何者か=自分のタグは何か
  • 自分はどんな実績とポテンシャル能力を持っているのか=説得力のあるコンテンツは何か
  • キャリアの志向は何で、どう自己実現し、どのように社会に貢献したいのか=目指す人脈レイヤーの1つ上、2つ上の姿は何か
それもそのはず、MBA受験におけるエッセイとは、そのビジネススクールに自分を抜擢してもらうための「購買支援の説明書」
 
「自分を合格させたら、現役中も卒業後も、こんなにオトクですよ〜」とアピールするための資料なのです。
 
もっと現実的には、admissionの担当者が「こんな良い材料があるから、この人を合格にすべきだ!」と推薦してくれるだけの「購買支援情報」を揃えて提出する、というものです。
 
従って『抜擢される人の人脈力』で書いた、抜擢してもらうためには、「購買支援の発想で、自分の強みや志向を棚卸する」というプロセスを、実践して言語化する作業こそが、「エッセイを書く」ということなのです。
 
***
 
ちなみに、私は過去7年くらい、MBA受験をする方たち数名のエッセイ作成のアドバイスをボランティアでしているのですが、例年見受けられる「失敗パターン」というのは、自分の販売促進に走りすぎのパターンです。
 
「自分を採用して下さい、ぜひ。」というタグばかりが並んでいて、「自分を採用するとなぜお得か」という学校側にとっての購買支援の説明が不足しているパターン。タグはあるけれど、タグを立証するだけの「コンテンツ」が説明しきれていないので、「学校側から客観的に見て、あなたが学校にどう貢献できるのかがわかりにくい」というケースです。
 
アメリカ人は、自分プレゼンテーション的なことを求められる局面が小さい頃から多いため、「相手目線に立ったら、何を説明すべきか」を自然に考えられる人が多いようです。
 
従って、例えばHarvard Business Schoolに送られていくる一万通のエッセイの中で、日本人のエッセイは、相対的に「浮かび上がりにくい」と言われ、 合格する800人に選ばれるのがナカナカ難しいという結果になってしまっているようです。
 
***
 
「100年に一度の不況」と言われていますが、こういう時期には、ビジネススクールの倍率は、非常に高くなります。
 
9.11のテロ後の年もそうでしたが、Wall Streetなどから優秀な人材があふれているということや、あまり前向きな成長に資するような仕事がないと思われ、「景気が回復するまで、学校へ避難し、勉強し、将来に備えよう」という"Back to school"という人が、急増するようです。
 
合格のための競争がますます厳しくなる中で、MBA受験をする方(アメリカの学校に限らずだと思いますが)にとって、『抜擢される人の人脈力』の実践的な自分棚卸ノウハウが、少しでもお役に立てば、本当に嬉しいと思う次第です。
 
今年欧米のビジネススクール受験をされている方々、そろそろ最終締め切りの学校が多いかと思います。せっかくのチャレンジの機会なので、ぜひがんばってください。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
お蔭さまで、『抜擢される人の人脈力』の重版が決定しました!
 
出版から約1か月での重版決定、ということで、関係者一同とても嬉しく思っています。お買い上げいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
 
【本の反響】
多くの方にお読みいただき、200件以上のブログに取り上げていただいたお蔭で、ネット書店が売れ行き好調でしたが、リアル書店の方も伸びてきているようです。
 
ブログに加え、多くの知人・友人の方々からも、メールやご丁寧なお手紙をいただきました。 本の中にも御登場いただいた川口より子先生、一橋大学大学院国際企業戦略研究科の石倉洋子教授、ローソン社長の新浪さん、丸善社長の小城さん、マッキンゼー時代の同僚、勉強会メンバーの方々などからも、温かいコメントのお手紙やメールをいただきました(忙しい方ほど、具体的な感想を書いていただける傾向があるのは、学びでした…)
 
 
【この本の位置づけ】
いただいたコメントの中で
「30代の前半など、自分のキャリアのもっと早い時期にこの本を読みたかった
「成長意欲のある若手に薦めました」
といってくださる方が多かったのが印象的です。
 
もちろん、「本の企画構想から出版まで、2年もかけてないで、さっさと出版してくれれば良かったのに…」といったご指摘もありました!そして、「夫に薦められて…」とか「息子にも読ませています」といったメッセージもいただきました。
 
ということで、いろいろな方からコメントいただくにつれ、私自身は、この本の位置づけを以下のように考えるようになりました。
 
相談を受けた時に、相手に「内省を促すために、そっと手渡すギフト本」
 
活躍している方は、メンターとして頼られたり、成長意欲のある若手が相談に来たり、という経験を沢山されていると思います。
  • 「これからのキャリアをどうしたらよいでしょうか」
  • 「自分の適性がどこにあるか迷っているのですが…」
  • 「もっと成長する機会を得たいと思っているのですが…」

といった具合の、ご相談です。
私もよくご相談を受けるわけですが、ご相談を受けながら、「答えは自分の中にあるのでは?」と思うことが よくあります。この本が、そんな時に手渡される本として、読み継がれていく本になれば…、とひそかに思っている次第です。
 
この本は、読み進めながら、自分のブランディング・人脈・キャリアの志向を、自分自身で棚卸をできるような「しかけ」となっています。ギフト本を受け取った方がご自身でセルフチェックしていただく「きっかけ」になれば、嬉しく思う次第です。
 
ご購入いただいたみなさま、そして、ステキな書評やコメントを下さったみなさま、本当にありがとうございました。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
ご存知、超大物アルファブロガーの小飼弾さんが、404 Blog Not Foundで、『抜擢される人の人脈力』の書評を書いてくださいました。
 
私自身は、ブログはよく拝見しているものの、小飼さんには面識がなく、前のエントリーに書かせていただいている渡辺千賀さんコネクションで御願いしてみた訳なのです。
 
影響力の巨大なブログに、取り上げていただき、かつ、とても丁寧に読み込んでいただいた書評をお書きいただいていて、飛び上がるくらい嬉しいです。
 
おかげさまで、アマゾンでランキングも24位まであがってまいりました…
 

404 Blog Not Found

 カネよりコネの時代に - 書評 - 抜擢される人の人脈力より抜粋

 

いささか気恥ずかしいが、今まで私自身が取ってきた行動が、つぶさに視覚化され、てきぱきと系統化され、あざやかに文字化されたような一冊。人脈本は決して少なくないが、その中ではもっとも「やっぱりこれでよかった」感が強い。

 

(中略)

私自身、自著でこう述べた。

「弾言」 P. 155

弾言します。コネこそカネなのです。

訂正、いや追補させていただく。今やこれすら弾言として弱い。ここまで弾言してしまおう。

コネでカネを作ることは出来るが、カネでコネを作ることは出来ない。 コネの方が、実は重要なのだ。

 

そんなコネの作り方を述べたのが本書であるが、実に意図的かつ自然である。

 

(中略)

 

この人脈スパイラルを起こすのが、目次にもある5つのステップであるが、ステップだけあって順番が実に重要である。各ステップの項目に関しては、おそらく誰でも「あたりまえだよ」と感じると思われるであろうが、私が見るにこのステップの順序を勘違いしているがために「コネが育たない」人が実に多い。

 

その中でも、最重要なのは「自分にタグを付ける」が最初に来ていることである。

 

そう。「コンテンツをつくる」、すなわち「中身をともなう」より先なのだ。

 

おそらく日本人の人脈に関する勘違いで最も多いのは、「中身がともなえば人脈は向こうからやってくる」という思い込みであろう。著者は第二章の冒頭でそれに「白馬の王子様症候群」と名付け、真っ先に切っている。

 

(中略)

 

それを具体的にどうするかはちかちゃんもいう通り本書をご覧いただくとして、例によってこの分野でも「天才は自分のやっていることをいちいち技化したりしない」ということが成り立つ。同じ技でも天才は人に教えられることなく、無意識でこれらの技を実行してしまう。だからこそ本書のようなアナリシスが役に立つ。この点に関しては私も「天才型」で、著者のような人に指摘されてはじめて「あ、そういえばそうだった」と気がつく始末である。

確かに、小飼さんのように「自然に」人脈構築ができる「天才型」の人は、無意識のうちに人脈スパイラル・モデルを回す、といったことをやっているはず。これは、いわば「アート」の世界ですね。
 
このアートを、何とか再現性のあるプロセスに落とし込もうとしたのが本書です。「秀才型」の積み上げ型で人脈構築をする方が、どこまでこの「アートの域」に近づけるか、というのはチャレンジだと思うのですが、今後もいろいろな「天才」を観察しながら、モデルをバージョンアップしていければと思っています。

実にいい意味でマッキンゼー的な本書であるが、マッキンゼー的な弱点が実は一つある。

それは、逆境対策の欠如。人脈というのは追い風のときには「5つのステップ」にそれほどこだわらなくとも結構出来てしまうものだが(「白馬の王子様症候群」はその裏返しでもある)、逆境の時には波打ち際に書いた砂絵のごとくなくなってしまうものでもある。「金の切れ目が縁の切れ目」などという言葉もあるではないか。

私に言わせれば、逆境に洗われて残ったものこそ、人脈として扱うに足りるものである。この「洗い」を経ていない「コネ」を人脈にカウントしてしまうと、困った時に泣きっ面にハチになるので二重に痛い思いをする。

しかし、本書に限って言えばこの指摘の欠如は、むしろ「知らないものは書けません」という著者の誠実さとして感じられた。確かに著者の経歴を伺う限り、「逆境で人脈が磨かれた」機会がそれほどあったようには見受けられない。下手に他者の経験を引用して演繹するよりも、書かずに済ませてしまうのも執筆術の一つである。確かに「大きくなりすぎたコネをどうしたものか」というのは贅沢な悩みなのだし、贅沢な悩みゆえに後回しにしてもよい。

それでも実のところ、私が一番知りたいのは「人脈の築き方」より「人脈の剪定」(connection pruning)なのだが、かくいう私もこと人脈に関して言えば「なにもせずに済ませ」てきた。「人脈は死なず。ただ忘れ去られるのみ」というわけである。あまりに増えたコネがそれを強いて来たところがあるが、逆にこのことは「コネ持ちに対してコネ無しがどうふるまうべきか」も教えてくれる。

まさに「人脈の剪定」については、私も本当に悩ましいと思っています。
 
1日24時間という限られた時間の中で、どんな基準で依頼や誘いを選別するのか、優先順位をどうつけるのかについては、私も今現在、正解を持っていない状況です。
 
多くの人脈を持っている人は、経験値に裏打ちされた「人脈剪定フィルター」が体内化されているのではないかと思っており、そういった意味では、今の私の答えは「直感に従う」ということなのではないか、と思ってはいるのですが、この辺は、もう少し考えてみたいなと思っています。

それが、「コネループ」である。私がここででっちあげた言葉だ。著者はこれの活用が実に上手である。著者のblogを見てみよう。これほど充実した「逆書評」が今まであっただろうか。

ここまでされたら、コネを放置できない。忘れられない。

かくして、私も上手に著者の人脈に取り込まれたわけである。

前述のとおり、人脈に関する本は今や少なくない。しかし、著者ほど言行一致を簡単に検証できる書き手は今のところそうはいないだろう。数ある類書の中で本書を推す次第である。

ありがとうございます!
 
「逆書評」も、さすがにそろそろ読者の方にとっては、そろそろお腹いっぱいなんではないか、という話もあるのですが、親しい方や、書評を書いてほしいなぁと「熱望」していた方々が、書いてくださるのが嬉しく、書き続けてしまっております…。
 
小飼さん、すばらしい書評、本当にありがとうございました。
 
そして、またまた、スゴイ渡辺千賀さんに大感謝。本当にありがとう!
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

20年来の親友でアルファブロガーの渡辺千賀さんが、彼女のブログ On Off and Beyondで、『抜擢される人の人脈力』の書評を書いてくれました。

On Off and Beyond

 [渡辺千賀]テクノロジー・ベンチャー・シリコンバレーの暮らし

 On | 書評:抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリーより抜粋

久しぶりのエントリーは岡島悦子著、「抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー」。著者の岡島さんは20年来のお友達なり。以下、本の中身もさることながら、著者の怪異な力をご紹介する渾身のエントリーです。

まずは本の中身。

「良いポジションを与えられるかもしれない機会」「成長できる機会」運頼みにせず、もっと積極的に、戦略的に、それらを引き寄せる努力をすべき

引き寄せるには、そういう機会を与えてくれる人と知り合う必要がある、ということで、そういう人と出会うための人脈作りのための方法が説明されている。

(中略)

上記総合すると「実力と宣伝と人脈のわらしべ長者モデル」ですな。じゃぁ①から⑤を具体的にどうするの、ということに関して説明してくれる本なわけです。

「自分から売り込まないでもきっと誰かがちゃんと見ていて何とか救ってくれる」という、白馬の王子様願望の高い人は読んで改心するといいと思います。

はい。

ちなみに、「売り込みさえすれば何とかなる」と言っているわけではなく、実力も必要だがそれを人に知ってもらうことも大事なのよね、ということ。両輪ですね。

(中略2)

そして、その彼女が起きている時間の全てを賭してつかんできた人脈の作り方の全てが出ている本なのであります。

(中略3)

というわけで、一家に一台岡島さん、ですね。それはちょっと、という方は一家に一冊、人脈力を。

と、まあ、チカちゃんのブログは相変わらず面白い。
 
シリコンバレーやアメリカ全土のリアルな情報と彼女独自の切り口・視点が興味深い、ということもあるのだと思いますが、何より彼女のユーモアたっぷりの語り口が、熱烈な渡辺千賀ブログファンを呼び込んでいるのだと思います。
 
***
 
ちなみに、このエントリーの中で、本の紹介とともに、上記のちょうど「中略2」のあたりに、著者紹介ということで「岡島悦子の怪異な力」についてご紹介いただいています…

というわけで、ここからが岡島さんの怪異な力。それは「寝ないで働ける」ということ。最近はそれでも一日4-5時間は寝ているらしい(3-4時間だったかも)が、私が知り合った20台前半の頃は

「1週間で10時間寝ればOK」

と豪語していた…(以下、省略)

そもそも、チカちゃんとは、天然記念物的希少人数の三菱商事 女子総合職の先輩後輩で、そこからの長ーいおつきあい。三菱商事に入社したのだけは、私のほうが早いのですが、その後はマンション購入も、MBA留学も、マッキンゼー入社も、結婚も、独立も、完全に私のほうがチカちゃんの後追いで、まさに「人生の先輩」って感じです。
 
エントリーには、ああ書いていただいていますが、本当のスゴさと「怪異な力」を持っているのは、チカちゃんの方だったりするんですけれどね。実は、今日、グロービス経営大学院でサービス・マネジメントの講義をしていたのですが、クラスが終了した後に
 
「岡島さんって、いまでも1週間10時間寝ればOKだったりするんですか?」
 
と2人から聞かれました。26人のクラスで、2人も私に「わざわざ」質問に来てくれる(本当はこのクラスに読者はもっといるのかも…)って、すんごい確率ではないかと思う次第。あらためて、チカちゃんのブログの影響力の大きさを、実感した瞬間でした。
 
渡辺千賀、やっぱり、おそるべし…
 
チカちゃん、渾身のエントリー、それも2009年ファーストエントリーでの、書評&著者紹介、本当にありがとうございました!
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
新年にあたり、経営チーム組成コンサルティングを生業とする者として、2009年の「経営のプロ人材市場動向」の予測をしてみたいと思う。
 
いつの時代も予測とは、難しいものである。今年は不確定要素がますます多くなっていることから、なおさらかと思う。
 
しかしながら、こんな時代だからこそ、今現在見えている足元の状況から類推できる予測を、希望的観測も含め、あえて記しておきたいと思う。
 
今年、企業の変革を考えておられる経営者、ご自身のキャリア変革を考えておられる「経営のプロ」または、その予備軍の方に、検討材料のひとつとして参考にしていただければ幸いである。
 
***
 
まず、このエントリーでは、足元の現状について確認し、次回以降のエントリーで、今年の市場予測について書いてみたいと思う。
 
【現状の確認】
 
まず、全体の傾向値としては、昨年末同様、供給>需要と、企業側の買い手市場が続く、と予想される。
 
経営のプロ層の供給過多
 
「経営のプロ」層においては、景気の影響に加え、経営のプロにどうしたら200日安心プランを用意できるかのエントリーにも書いた通り、「「経営者浪人」が増えている。
 
再生・第二創業・事業承継といった課題を持つ企業において、創業経営者や株主との意見対立により経営チームが割れ、昨年6月の株主総会時や12月末に、経営者の一部が退職するケースが増えたという現象である。
 
但し、経営人材については、事業再生の局面などで、今までの経営陣の枠組みではどうにもならず、
真の経営のプロ人材を投入する必然性が出現している企業もある。
 
従って、供給>需要、であることは事実ではあるものの、どちらかというと「機会のミスマッチ(供給と需要のタイミングや、人材像が合致しない)」が起きている、という見方のほうが正しいかもしれない
 
***
 
一方、ベンチャー企業では、資金繰りが相当厳しくなっているケースが増えている。
 
資金需要があっても、ベンチャー・キャピタルの投資クライテリアは軒並み厳しくなっている。
 
成長性が見込まれる企業であっても、純資産ベース以上のバリュエーションはつけない、といったVCも多く出現しているようで、相当買いたたかれる覚悟でなければ、VCからの資金調達は難しくなっている。
 
銀行も、新規融資は言うに及ばず、融資契約の更新を拒否されるケースなどの「貸し渋り」状態にあっている企業も増加している。
 
こうした資金繰り悪化の状況の中、ベンチャー企業の中には「自分が退職すれば、固定費がぐっと下がるので」とか、「成長戦略をリードする期待役割で入社したが、少なくとも3年くらいは成長戦略を実行する状況にないため」といった理由から、経営陣の一部が12月末に退職されてきているケースも増えている。
 
多くのベンチャー企業では、現状の資金繰り難と近い将来の資金繰りの不透明感の中から、
  • とにかく現金を大事にする
  • とにかく固定費を抑え、売上減となっても、増益だけは確保する

 

といった動きが多く、「採用凍結」としている企業も少なくない。
 
***
 
以上のように、市場には、「経営のプロ」人材の供給が、明らかに増加している
 
もちろん、ビジネス人脈なども豊富に保有されている方々なので、「個人事業主」として、数社の社外アドバイザーや顧問などされながら、次の機会を模索中という方も増えている。
 
「こんな優秀な人が、今は充電中なのか…」といった人材が、経営者浪人しているケースも散見される。
 
本来であれば「三顧の礼」で迎えるためにスカウトして来なければいけないような人材が、市場に流出してきている、という意味からすると、次回以降のエントリーで言及するが、余力のある企業にとっては、良い経営陣を追加する、千載一遇のチャンスでもある。
 
 
経営のプロ予備軍層の供給過多
 
「経営のプロ」予備軍層も、同様に、供給過多となっている。
 
非正規雇用者のみならず、正規雇用者においても、製造業を中心に人員削減が行われ始めているのは、ご既承の通り。
 
これに加え、「経営のプロ予備軍」とも言える、ハイポテンシャル人材を採用していた外資系企業、例えばGEなどでも人員削減が行われている。知識や専門スキルはあるが、目標達成のためのexecution能力が不足している人材などが、削減の対象となっているケースも多いようである。
 
 
また、投資銀行などの外資系金融機関は言うに及ばずである。
 
加えて、マッキンゼー、BCGなどのトップコンサルティング・ファームでも"Up or Out"的な枠組みが久し振りに適用され、一定量の人々が退職してきている。
 
多くのプロフェッショナル・ファームでは、2008年の業績が悪化しているということではなく、2009年の業績予測が厳しいため、もう一段人員を絞り、更なる少数精鋭化を推し進めようという動きのようである。
 
 
このように、経営のプロ予備軍を採用する企業側では、一時的な採用凍結によって、コスト削減をし、残された人的資源の効率の最大化をはかり、収益悪化だけは何とか防ごうという企業が増加している。
 
従って、次世代の「経営のプロ」となるような「経営のプロ予備軍層」においては、ますます需要は激減しており、完全に供給過多な状況となっていると言える様相である。
 
***
 
「100年に一度の危機」という言葉がよく報道されており、「ここ3年から5年くらいは、景気回復はない」という方も、「実は地獄の釜の蓋が開いたくらいで、不景気は5年どころか、もっと続く」という識者の方もおられるようである。
 
しかしながら、ノキアの躍進を見てもあきらかなように、真の「経営のプロ」を投入することによって、難局を乗り切れたり、付加価値創造を行った結果として雇用創出をできたり、ということで、ピンチをチャンスへと転換していけるケースもあり得ると思う。
 
こうした、「経営のプロ人材」の需要創造の20009年予測を、その2以降のエントリーで行ってみたいと思う。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子
 

代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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