大連の夏ダボス会議で久しぶりにグローバルの洗礼を受けてから、何かと「グローバリゼーション」というキーワードに、今まで以上にアンテナがピクピクする。何だか「グローバル」ということに関連した仕事もここの所、急増。

 
実は私、中国人、インド人、ロシア人、ブラジル人の友人はいるものの、世界30カ国にも行ったことがあるのに、恥ずかしながら今回の大連が、中国初デビュー(除く香港。ちなみに私は台湾育ち)。それどころか、BRICs初デビューだった私。
 
言い古されたことではあるが、やっぱり百聞は一見にしかず、ってことで、大連では中国パワーのすごさを痛感した。経営者や学者の中には、海亀(欧米からの帰国子女)が多いということもあるだろうが、商品やサービスが最初から「世界を目指す」視点を持っているものが多く、世界観の持ち方の違いを見せ付けられる。
 
ということで、遅ればせながら、いろいろな角度から、中国やインドについて、catch upしなければ・・・と思っていた次第。
 
「取締役・常務・専務 島耕作」
 
話は変わるが、親しい友人の中では、よく知られた話であるが、私は「お一人様(おひとりさま)」が、非常に苦手。一人で映画、外食、旅行、など殆どできない。まあ、究極のさびしんぼ&自意識過剰か・・・。ということで、家族・友人は、バディーを求めた私の被害者になりやすい(みなさま、いつもありがとうございます!)。そんな中、いくつか自分ひとりでできる気分転換のひとつが「漫画の大人買い、イッキ読み」。
 
その「お一人様時間」が、少しだけまとまってできたため、「取締役 島耕作」を大人買いして読むこととした。ナント、私が知らないうちに、島耕作氏は初芝電産の「専務」にまで上り詰めていた。まずは、平取から読み進めて、追いつかなければ・・・。
 
島耕作の読者の方はご存知だと思うが、取締役となった彼は、中国・上海に赴任する。上海初芝の董事長としての実績が認められ、北京・上海を中心とする全中国担当の常務となり、加えてインドもカバーするようになり、とうとう専務として中国・インド・アメリカを担当する。
 
もちろん、ストーリーはフィクションであるが、筆者の弘兼氏の丹念な取材の賜物であろうディテールが、非常にリアルである。
 
中国における知財の問題、反日感情の問題、中国企業との合弁経営の難しさ、インドセレブ、カースト制度、等の様々なイシューが散りばめられている。北京、上海、中関村ハイテクパーク、蘇州工業団地、西安、ムンバイ、コルカタ(カルカッタ)、ベンガルール(バンガロール)、バナーラス、と様々な地域でビジネス上の事件がおこる(お約束の女性問題も・・・)。これらの事件を通して、その地に生きる人々が生き生きと描かれており、彼らがそう行動する歴史的背景などが浮かびあがってくる。
 
ケーススタディーのようにリアルに描かれている分、単なる知識として学ぶ、というよりは、文脈を感じ取りながら、マメ知識的なことも学べる、という意味で、中国・インドの素人である私にも、非常にとっつきやすい内容であった。どこから手をつけたらいいのかなぁ、といった人には、オススメとも言えるかもしれない。
 
もちろん、内容的にはフィクションであるので、自分自身でも勉強したり、実際に現地に行って体感したり、ということで、中国・インドへの見聞を深めていきたいとは思っているが、その「きっかけ」づくり、という意味では、予想外に収穫の多い「お一人様経験」であった。
 
まあ、また周囲の人々(ウチの夫など)は、岡島に「島耕作の中国・インドはいいよ〜」と宣伝されまくられ、読まされる被害にあっている今日この頃となっている次第。やっぱりお一人様は、とことん苦手なのである。
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

代表プロフィール

2005011ProNova岡島悦子ver2.jpg

岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

最新トラックバック一覧