本当に久しぶりのエントリー。

 

産業活力再生特別措置法(産業再生法)改正案が4月末に成立し、産業革新機構の実現が本格化してきた、ということ等々で、なかなかオープンにできない仕事に忙殺されていました…

 

また、第二創業、変革局面にある企業も多く「こんな時期だからこそ思い切って経営チームを再強化したい」というご相談も急増。経営チームの診断、組織内の抜擢のしくみ構築、役員合宿の企画やファシリテーション、といった仕事も増えています。

 

「とにかく一度相談にのって~」という経営者やファンド担当者からのラブコール(お金にならないことも多いのですが…)が増えている今日この頃。ということで、ブログ更新ができていなかったのですが…

 

***

 

半年に一度恒例のIVS(Infinity Venture Summit) 2009 Springというカンファレンスで札幌に来ています。

 

2004年に11月に始まった旧NILS(New Industry Leaders Summit)から数えて、計10回目というイベントです。私自身は、一度お休みしてしまったので、9回目の参加。そこで「ブログ更新していないみたいだけれど、最近何やっているの???」と、久しぶりに会った経営者の何人もから指摘されてしまったので、

 

小心モノの岡島としては、一応、ご報告がてら、今回モデレーターをさせていただいたパネルについて、アップしようと思った次第。

 

パネルの概要は、以下の通り。

Session 3-a: なぜあの企業は伸び続ける?

~不況に打ち勝つビジネス力

 

(Speaker)

オプト 取締役会長CSO 海老根智仁氏

オイシックス 代表取締役社長 高島宏平氏

カカクコム 取締役COO 安田幹広氏

オールアバウト 代表取締役社長兼CEO 江幡哲也氏

パンアジアパートナーズ 代表パートナー/代表取締役 椿進氏

 

(Moderator)

プロノバ 代表取締役CEO 岡島悦子

「100年に一度の(金融)危機」といわれる経済の中、ベンチャー業界全体に対し、以下のようなことがよく言われています。(採用マーケットでも、候補者に以下のような理由で断られることも多い)

  • ベンチャー企業全体に元気がない
  • 米国では不況の時期には、優良ベンチャーが出現するのだが、日本ではそういった兆しがない
  • VC自身も既存の投資で業績悪化しているものが多く、投資意欲が激減している
  • IPOマーケットも冷え切っていて新規上場件数も激減している

(上場基準の厳格化の要素もあるが、結果は以下の通り)

(パワーポイントが見にくい場合は、クリックしてください)

ということで、パネリストの皆さんには、以下のような質問をさせていただきました。

なぜあの企業は伸び続ける? 不況に打ち勝つビジネス力

 

  1. 不況に左右されないビジネスモデルにできている理由
    (しくみ、ローコストオペレーション、資本政策など)
  2. 不況を、逆にチャンスと捉え、進めている施策
    (不況が追い風になる事業の強化、顧客特性の変化による新規事業、M&Aなど)
  3. 不況に入って強化した施策
    (資金手当て、コスト削減、人材強化など)

具体的なご回答の内容については、オフレコとのお約束の部分が多いので、ここでは控えさせていただきますが、以下のような点について、具体的にご説明いただいた次第。

  • 創業当時から景気変動に左右されにくいしくみ・プラットフォームを構築してきたことが、今開花してきている
  • この不況の時期だからこそ、「今までやれなかったような改革」に着手してみている
  • 他社との業務提携が、事業シナジーだけでなく、組織の中での健全な競争といった期待以上の効果を生んでいる
  • 暗いニュースばかりが取り上げている中、「賢い消費」や「自分らしい生き方を支援するニュース」などに消費者の視点が移ってきている。それを踏まえて「しかける」ことで、メディアなどにも取り上げられ好循環が生まれている
  • 内需の爆発的な拡大は今後も難しく、グローバル、特にアジア市場を視野に入れる必要が益々あるが、参入・M&Aに際しては失敗事例も留意点も多い

その他、パネリスト同志での相互質問もしていただきました!

IVS出席者も、さすがに10回目ともなると世代交代が起こっており、企業ステージの若い企業の経営者や、事業責任者クラスの方々も増えています。そのためか、こうした経営パネルの内容自体が参加者の皆さんの関心事項と若干合致しないのかもしれない…とも思えます。ともあれ、こういった相互質問のやりとりは、概ね控室でのトークのほうが盛り上がったりするものですね。

会場からのご質問もいただき、最後にパネリストの皆さんに一言ずつコメントをいただきました。

  • 「不況だから」と悲観しすぎるのはそろそろ止めて、ポジティブなスタンスで勝機をさぐる方向に行こう
  • 冷静に差別化の要因を磨き、情熱を持って勝ち続けるまでやり抜こう
  • グローバルなメガベンチャーを目指して行こう
  • ベンチャー業界全体で、過去の教訓や学びを相互に共有し、共創しながら盛り上げて行こう

といった極めてポジティブなメッセージが、皆さんから上がってきました。

私自身も、「ベンチャー業界はもう駄目だ」などという人に会うと「何を根拠にそんなことを?」と熱くなってしまったりします。

親友の渡辺千賀ちゃんも「日本人は、なぜそんなに悲観的なのか。世界同時不況などという話を心底信じているのか」と不思議がっていましたが…

とにかくこうしたカンファレンスが、経営者同士が知恵の共創をできたり、視野が広がったり、友人・知人などに刺激を受けて「自分の会社も頑張らねば」といった勇気をもらったり、という「きっかけ」になれば、本当に意義深いことだと思います。

そして、次世代を牽引するメガベンチャー企業の事例が輩出されることこそが、一番のベンチャー業界全体の盛り上げになるのだろうと、再認識した次第です。パネリストのみなさま、本当にありがとうございました!

小林さん、田中さん、小野さん、そしてNILS/IVS関係者の皆さん、IVS10回目、本当におめでとうございます。本当に「継続は力なり」ですね。

これからのIVSも、良い形での継続、そしてさらなる発展を、心からお祈りしています。

プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子

p.s. 最後のほうに投影したスライドです。Amazon Google Sunなどに投資した米国の伝説のベンチャーキャピタリストが、2008年11月に投資先のベンチャー企業経営者に向けて発信したメッセージです。ご参考まで

代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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