ご存知、超大物アルファブロガーの小飼弾さんが、404 Blog Not Foundで、『抜擢される人の人脈力』の書評を書いてくださいました。
 
私自身は、ブログはよく拝見しているものの、小飼さんには面識がなく、前のエントリーに書かせていただいている渡辺千賀さんコネクションで御願いしてみた訳なのです。
 
影響力の巨大なブログに、取り上げていただき、かつ、とても丁寧に読み込んでいただいた書評をお書きいただいていて、飛び上がるくらい嬉しいです。
 
おかげさまで、アマゾンでランキングも24位まであがってまいりました…
 

404 Blog Not Found

 カネよりコネの時代に - 書評 - 抜擢される人の人脈力より抜粋

 

いささか気恥ずかしいが、今まで私自身が取ってきた行動が、つぶさに視覚化され、てきぱきと系統化され、あざやかに文字化されたような一冊。人脈本は決して少なくないが、その中ではもっとも「やっぱりこれでよかった」感が強い。

 

(中略)

私自身、自著でこう述べた。

「弾言」 P. 155

弾言します。コネこそカネなのです。

訂正、いや追補させていただく。今やこれすら弾言として弱い。ここまで弾言してしまおう。

コネでカネを作ることは出来るが、カネでコネを作ることは出来ない。 コネの方が、実は重要なのだ。

 

そんなコネの作り方を述べたのが本書であるが、実に意図的かつ自然である。

 

(中略)

 

この人脈スパイラルを起こすのが、目次にもある5つのステップであるが、ステップだけあって順番が実に重要である。各ステップの項目に関しては、おそらく誰でも「あたりまえだよ」と感じると思われるであろうが、私が見るにこのステップの順序を勘違いしているがために「コネが育たない」人が実に多い。

 

その中でも、最重要なのは「自分にタグを付ける」が最初に来ていることである。

 

そう。「コンテンツをつくる」、すなわち「中身をともなう」より先なのだ。

 

おそらく日本人の人脈に関する勘違いで最も多いのは、「中身がともなえば人脈は向こうからやってくる」という思い込みであろう。著者は第二章の冒頭でそれに「白馬の王子様症候群」と名付け、真っ先に切っている。

 

(中略)

 

それを具体的にどうするかはちかちゃんもいう通り本書をご覧いただくとして、例によってこの分野でも「天才は自分のやっていることをいちいち技化したりしない」ということが成り立つ。同じ技でも天才は人に教えられることなく、無意識でこれらの技を実行してしまう。だからこそ本書のようなアナリシスが役に立つ。この点に関しては私も「天才型」で、著者のような人に指摘されてはじめて「あ、そういえばそうだった」と気がつく始末である。

確かに、小飼さんのように「自然に」人脈構築ができる「天才型」の人は、無意識のうちに人脈スパイラル・モデルを回す、といったことをやっているはず。これは、いわば「アート」の世界ですね。
 
このアートを、何とか再現性のあるプロセスに落とし込もうとしたのが本書です。「秀才型」の積み上げ型で人脈構築をする方が、どこまでこの「アートの域」に近づけるか、というのはチャレンジだと思うのですが、今後もいろいろな「天才」を観察しながら、モデルをバージョンアップしていければと思っています。

実にいい意味でマッキンゼー的な本書であるが、マッキンゼー的な弱点が実は一つある。

それは、逆境対策の欠如。人脈というのは追い風のときには「5つのステップ」にそれほどこだわらなくとも結構出来てしまうものだが(「白馬の王子様症候群」はその裏返しでもある)、逆境の時には波打ち際に書いた砂絵のごとくなくなってしまうものでもある。「金の切れ目が縁の切れ目」などという言葉もあるではないか。

私に言わせれば、逆境に洗われて残ったものこそ、人脈として扱うに足りるものである。この「洗い」を経ていない「コネ」を人脈にカウントしてしまうと、困った時に泣きっ面にハチになるので二重に痛い思いをする。

しかし、本書に限って言えばこの指摘の欠如は、むしろ「知らないものは書けません」という著者の誠実さとして感じられた。確かに著者の経歴を伺う限り、「逆境で人脈が磨かれた」機会がそれほどあったようには見受けられない。下手に他者の経験を引用して演繹するよりも、書かずに済ませてしまうのも執筆術の一つである。確かに「大きくなりすぎたコネをどうしたものか」というのは贅沢な悩みなのだし、贅沢な悩みゆえに後回しにしてもよい。

それでも実のところ、私が一番知りたいのは「人脈の築き方」より「人脈の剪定」(connection pruning)なのだが、かくいう私もこと人脈に関して言えば「なにもせずに済ませ」てきた。「人脈は死なず。ただ忘れ去られるのみ」というわけである。あまりに増えたコネがそれを強いて来たところがあるが、逆にこのことは「コネ持ちに対してコネ無しがどうふるまうべきか」も教えてくれる。

まさに「人脈の剪定」については、私も本当に悩ましいと思っています。
 
1日24時間という限られた時間の中で、どんな基準で依頼や誘いを選別するのか、優先順位をどうつけるのかについては、私も今現在、正解を持っていない状況です。
 
多くの人脈を持っている人は、経験値に裏打ちされた「人脈剪定フィルター」が体内化されているのではないかと思っており、そういった意味では、今の私の答えは「直感に従う」ということなのではないか、と思ってはいるのですが、この辺は、もう少し考えてみたいなと思っています。

それが、「コネループ」である。私がここででっちあげた言葉だ。著者はこれの活用が実に上手である。著者のblogを見てみよう。これほど充実した「逆書評」が今まであっただろうか。

ここまでされたら、コネを放置できない。忘れられない。

かくして、私も上手に著者の人脈に取り込まれたわけである。

前述のとおり、人脈に関する本は今や少なくない。しかし、著者ほど言行一致を簡単に検証できる書き手は今のところそうはいないだろう。数ある類書の中で本書を推す次第である。

ありがとうございます!
 
「逆書評」も、さすがにそろそろ読者の方にとっては、そろそろお腹いっぱいなんではないか、という話もあるのですが、親しい方や、書評を書いてほしいなぁと「熱望」していた方々が、書いてくださるのが嬉しく、書き続けてしまっております…。
 
小飼さん、すばらしい書評、本当にありがとうございました。
 
そして、またまた、スゴイ渡辺千賀さんに大感謝。本当にありがとう!
 
プロノバ 代表取締役 岡島悦子

代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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