昨年6月から今月まで、総務省の「ICTベンチャーの人材確保等の在り方に関する研究会」の委員をつとめさせていただいた。

この委員会の成果物として作成した「ICTベンチャー人材確保ガイドライン」が、昨日一般公開されたので、ここで、ぜひご紹介させていただきたい。

「このガイドラインは、ICTベンチャーの現役社長/CEOが、人材確保に関して困った/悩んだ際に、解決に向けたアクションを考えるヒントを整理した参考書である」

と1ページ目にも記載してあるが、ズバリ、「ベンチャー企業の採用 虎の巻」である。


採用力の高いベンチャー企業18社(ガイドラインの巻末に企業名公開)の経営者に、委員と総務省の方々でインタビューをかけさせていただき、そのベストプラクティスや失敗事例などを抽出させていただいた。

また、私のようなヘッドハンターや、ベンチャーキャピタリストなど、ベンチャー経営者を支援する立場で組織開発や採用のお手伝いをするプロが持つ「現場のチエ」も、実務的・具体的にご紹介させていただいている。

正直、本来であれば、門外不出の採用力アップ関連の弊社極秘ノウハウも、相当披露させていただいた次第。当然、社内からは「ここまで出したの〜」との意見もない訳ではないが、とにかく「ベンチャー企業の人の採用難が成長のボトルネック」という事態を何とかしたい、という想いで書かせていただいた部分も多い。


上記総務省のHPからダウンロードし、印刷していただけるので、内容については、お読みいただければと思うので、ここでは目次のみ(全77ページ)、ご紹介させていただく。

    1. 採用をどうすべきか・どのような人材を求めるべきか

  1. 他の人に任せたいが、どのような業務をどのように任せればいいのか悩む
  2. 業務を任せるとしたら、どのようなことを求めて、期待した役割を果たしてもらうかわからない
  3. ある程度成長したものの、顧客からクレームがつくなど、以前より業務の 品質・スピードが低下してきたと感じる
  4. また、人員不足が売上成長の足を引っ張っている
  5. さらに、指示が社員に行き届かない・社員の反応が鈍い・社内がぎすぎすしている
  6. 上場に向けた組織拡大・体制の整備・ガバナンスの強化が進まない   

 2. どのように採用するか

  1. どのように採用候補者を探していいか分からない
  2. ターゲットの採用候補者に具体的にどのようにアプローチしたらいいか分からない
  3. その候補者を採用したいが、評価に悩む
  4. せっかく内定を出したのに、断られてしまう
  5. 以上のプロセスの中で手続きがわからない

 3. 入社後に当初の予定通り活躍してもらうためにはどうするか 

  1. 採用した人材が想定していたよりスキルが低かった
  2. 採用した人材にスキルはあるが、経営層が期待していることと当人の認識に ギャップがあるため、
  3. 本来のスキルを発揮できていない
  4. 採用した人材にスキルはあるが、周囲と摩擦を起こす
  5. 採用した人材が辞めてしまう
  6. 手を尽くしたものの、採用した人材が活躍できそうもない

全77ページと、文章量が多いので、「家庭の医学的」に思い当たる症例毎に「逆引き」して使っていただければ、と思っている。

また、成長ステージが比較的若い企業の経営者の方々には、全体をざっと目を通していただき、組織の成長とともに想定される次に来る「成長の痛み」についても、事前に認知しておいていただくという用途にもご利用いただけると思う。

 

***

そして・・・
「このガイドラインを読んで理解はしたが、より具体的な事例が知りたい!」という経営者の皆様に、ここで朗報!

ベンチャー企業の中でも、特に高い採用力をお持ちの6社の経営者の皆様と、本ガイドラインも踏まえて、「ベンチャー企業の人材確保戦略」について徹底的に討論させていただくパネルディスカッションが、総務省関連で2回開催される予定である。 まさにこのガイドラインの具体的事例について、ご披露いただく予定である。

どちらも総務省関連のカンファレンスの中のパネルディスカッションであるが、2つのパネルとも、私がモデレーターをさせていただく予定(どちらも、これからご案内がリリースされると思います)。

■情報通信研究機構(NICT)情報通信ベンチャー・フォーラム2007 
 開催日:2007年3月14日(水)
 テーマ:「ベンチャーにおける人材戦略を考える」

 パネリスト(予定):
  サイボウズ 代表取締役 青野慶久氏
  ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸氏
  ドリコム 代表取締役 内藤裕紀氏

 モデレーター:
  グロービス・マネジメント・バンク 代表取締役 岡島悦子

 

■「Venture BEAT Project」主催 BEAT Forum 
 開催日:2007年3月22日(木)
 テーマ:「成長を目指すベンチャーにおける人材戦略を極める(仮)」

 パネリスト(予定):
  ディー・エヌ・エー 取締役(次世代戦略室長) 川田 尚吾氏
  ECナビ 代表取締役CEO 宇佐美 進典氏
  セプテーニ 代表取締役社長 佐藤 光紀氏

 モデレーター:
  グロービス・マネジメント・バンク 代表取締役 岡島悦子

非常に実務的なマニュアルとしてのガイドラインができたので、いろいろと広報活動のお手伝いをさせていただきたいと思っている。上記カンファレンスによっても、このガイドラインの普及が進み、ベンチャーの社長に実際に利用され、結果としてベンチャー企業の採用力が全体的に底上げされるようにと、切に願っている次第である。

また、このガイドラインが、現場で利用され、現実の変化に合わせ少しずつ加筆修正され、どんどんバージョンアップされていくといいな、とも思っている次第である。

最後になりますが・・・
膨大な作業を進行してくださった総務省情報通信政策局情報通信政策課の三島課長補佐、鈴木さん、委員の皆様、そして年末年始も資料作成に取り組んで下さった㈱チェンジの神保社長、名波さん、本当にありがとうございました!

グロービス・マネジメント・バンク 
代表取締役 岡島悦子

代表プロフィール

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岡島悦子(おかじまえつこ)

プロノバ 代表取締社長/
ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。
「日本に"経営のプロ"を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。

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